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 [LIFE]ロカビリー・スピリッツを親から子へ継承した 父と娘の人生ドキュメント

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[LIFE]ロカビリー・スピリッツを親から子へ継承した 父と娘の人生ドキュメント

2020.03.25

80年代、日本はもちろん世界を驚かせた伝説のロカビリーバンド『BLACK CATS』のドラマー、青野浩司(※『BLACK CATS』在籍時は久米浩司)さんと、令青野青和の時代にロカビリー・スピリッツを継承した新星バンド『The Biscats』ボーカルのMisaki さん親子。青野さんが若い頃に選んだロカビリーという生き方。そのスピリッツを、音楽とライフスタイルに受け継いだ娘…そんな父娘2 世代に渡り、ロカビリーに若い人生をかけた親子の対談ドキュメンタリーです。

ロカビリーのスピリッツは子守唄が養ってくれた!

MADURO(以下M) 今回トライアンフのバイクで一緒に撮影していますので、まずはバイクについてお話を聞かせてください。

美沙稀(以下美)『ルパン3世』の峰不二子がバイクに乗ってるスタイルが格好いいと思って、「自分自身が乗るならトライアンフのカフェレーサーがいいな♡」とずっと憧れていました。『The Biscats』の新曲『ハートのエース』でも、歌詞とPVにトライアンフが登場しています。私もカスタムしたトライアンフを製作中です。

青野 80年代にロンドンのエースカフェで見たカフェレーサーと呼ばれるカスタムバイク、そのライダーたちのファッションや雰囲気の格好良さに驚かされました。『BLACK CATS』のロカビリーミュージックでも、バイクの影響はずいぶん受けました。

青野親子

M そもそも、娘さんがロカビリーの音楽をやるようになったのは、ドラマーだったお父様の青野さんからのオススメですか?

青野 まったく違います(笑)。娘が小さいころから自宅にレコーディングスタジオの環境がありました。いつも娘はスタジオで遊んでいたので、スタジオでかけていた曲が子守唄がわりになっていたかもしれません。私から「ロカビリーやってみたら?」なんて言ったことは一度もありません(笑)。

M すると、Misakiさんはどうしてロカビリーの音楽をやろう!と思ったのでしょうか?

 音楽活動を始めた当初は、JーPOPやアイドル系の楽曲でライブをしていたのですが、なんだかしっくりこなくて…。それで「私にとって一番馴染む音楽ってなんだろう?」と悩んでいた時期があって、実は一番身近にある子守唄だったロカビリーに行き着いたんです(笑)。

青野親子
青野浩司さん:80年代に若者を熱狂させた原宿の洋服ショップ「クリームソーダ」の店員で構成された伝説的ロカビリーバンド『BLACK CATS』のドラマーを経て、現在は人材派遣会社など幅広いビジネスを展開。『The Biscats』のボーカル、Misakiこと青野美沙稀さんの父親にして、ロカビリーの良き師匠。

M 美沙稀さんにとって、ロカビリーはどんな魅力があるのでしょう。

 やっぱりリズムですね。元々小さい頃から聞いていたので身体に音が馴染むし、グルーブ感のあるところが最高です。ウッドベースのサウンドやギターのフレーズといったロカビリーならではの音色やフレーズも格好いい!

青野 ですが、ロカビリーをやりたいと相談された時には「えっ?」と驚きました。技術的にも簡単ではないジャンルですし、そもそも今の若い人でロカビリーができるのかもわかりません。それからは、『BLACK CATS』時代のネットワークを辿って、仲間に協力してもらい、娘のソロ・デビューにこぎつけることができました。

M 青野さんの『BLACK CATS』も再結成され、ライブ活動も再開しましたね!親子でロカビリーというのは格好いいですね。

青野 私たちのライブに来てくれるお客さんも親子2世代、3世代という人たちが多くなってきました。親がクルマの中で聴いていた曲を覚えたとか…。ライブでは親子で一緒になって歌って踊ってくれたりするんです。

 『BLACK CATS』再結成のライブで初めて父のバンドを観たのですが、格好いい!と驚きました。カリスマドラマーはとして、ファンの方々にとリスペクトされていることを、まざまざと見せつけられました!

M ロカビリーについて、お父さまから厳しいレッスンやご教授はあったのでしょうか?

青野 いえ、ロカビリー音楽の技術的なことは教えることはありません。動画やネットで調べれば、何でもわかります。しかし、ロカビリーだけでなく、どんなジャンルでも『スピリッツ』…つまり「ロカビリーってこんなに楽しいんだぜ!」と伝えられるエモーショナルなことが大事なので、技術よりもエモーショナルな演奏や発信に関してはきちんと伝えたいと思いました!

美 そのスピリッツを一番肌で感じられたのが、昨年、バンドで出演させていただいたラスベガスのロカビリーフェス 『Viva Las Vegas』でした。また80年代のアメリカの伝説的ネオ・ロカビリーバンド『ストレイキャッツ』の再結成ライヴを観に行ったり。演奏はもちろん、お客さんの反応や会場の雰囲気、グルーヴ感を観察したり、とにかくエモーショナルな部分まで体験してきました。

親から子へのスピリッツは自然と伝わるものではない

M 青野さんの息子さんにもインタビューさせていただきましたが、息子さんにはビジネスのスピリッツを継承し、娘さんには音楽のスピリッツを継承だなんて、羨ましい家族です!

青野 ひと言で言葉にできるほど簡単ではありません!。息子の場合はでき上がった事業を渡したというわけでなく、それこそ現場をたくさん経験させ、夜は自宅のリビングで話し合い、一緒に作り上げていった。つまり、大変さや苦労もたくさん経験させています。娘の音楽活動にしても大変な経験や苦労をしてきて、今の状況があるのだと理解しています。親のスピリッツは、苦労や大変な思いを抜きにして、そうそう簡単にすぐに継承できないと思います(笑)。

ですね! そんな苦労や経験の中から、父親として、子供たちのこれからの人生の中で、一番大切にしてほしいことは何ですか?

青野 ズバリ、『実行力』を身につけることではないでしょうか。ビジネスを継承していくには、かけ声だけでなく、実行力を伴うことが一番大切だと感じています。娘がバンド活動を継続していくためにも、『実行力』は欠かせない資質です。

青野親子
Misaki(青野美沙稀)さん:10代からモデルとしてデビュー。その後、ソロ・アーティストとして2枚の作品をリリースし、ロカビリーシーンで注目の存在となる。2019年春、新たなJ ロカビリーバンド『The Biscats』を結成。新曲「ハートのエース」では、トライアンフの新作バイクスラクストンRS とのコラボも実現。その『ハートのエース』が収録された1st ミニアバルムが3月25 日に新レーベル『ROCK ‘A BEAT TOKYO』から発売。

M 息子さんと娘さんでは、育て方に違いはありましたか?

 お兄ちゃんは徹底的に厳しく育てられて、私はとても甘やかされたと感じています(笑)。

青野 娘はとにかく「手に負えない女」に育てたかったのです(笑)。息子が生まれたのは私がバンドマンだった頃。娘が生まれたのはバンド活動からビジネスへと手を伸ばし始めた頃なのです。なので、親として子供に対するマインドも息子と娘ではかなり違っていたと思いますが、基本的には放任主義(笑)。「好きなことを勝手にやればいい!」と、自主性を引き出し、重んじてきました。男は家庭を背負っていかないといけないので、その辺りは厳しく育てました。

M どこの家庭も反抗期というのはあるかと思いますが。

 私がモデル活動で忙しくて家に帰るのが面倒になった時、一度だけ怒らさせてしまったことがあります(笑)。

青野 女の子だし、殴りつけるわけにもいきませんからね

 投げ飛ばしたんですよ(笑)。ちょうど洗濯機の上に落ちて、ヒトの形にへこんでました(一同爆笑)。

青野 洗濯機の上で逆さまになってるのに睨み付けてくるんですから、あれには怒るよりも呆れました(笑)。

M 息子さんとは共にビジネスを、娘さんとは音楽を共有していけるとなると、これからも家族の夢はSDGs的に広がりますね!

青野 そうですね。私はバンドマンとしてはやり尽くしたところもありますが、娘はバンド活動や音楽にこれからの人生をかけていくわけですから、少しでもアドバイスしたり、協力できることがあれば、やってあげたい!と。とにかく父が役に立てばな!と心から思っています(笑)。

青野親子

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