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 人生100年時代を生き抜くためのお金の教育について/第23回

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人生100年時代を生き抜くためのお金の教育について/第23回

2021.01.25

世界に通用する教育を考える「21世紀脳を持つインターナショナルな子供の育て方」連載23回目は、日本教育が遅れを取っているお金の教育についてです。

お金はなくてはならないものなのに、 日本にはお金に関する教育はありませんでした。海外では豊かな人生を送るために子供たちはお金の役割、お金との付き合い方を学んでいます。

金融リテラシーがないために損をしている日本人。
その解決策となる教育とは?

子供たちが21世紀を生き抜いていくために必要な教育の中に「お金の教育」があります。今人生100年時代と言われていますが、その長い人生を自分の子供たちがお金の心配をし続けながら生きて欲しいですか? もちろんお金に不自由することなく安心して暮らしてほしいですよね? その場合まず、私たち大人が「お金」に対するマインドセットを変えていかなければなりません。「金の切れ目が縁の切れ目」「地獄の沙汰も金次第」。日本でもお金に関することわざはたくさんありますが、どれもあまりポジティブなものではありません。お金のことを話すのは恥ずかしいことというような意識も心のどこかにあります。ですから小さい子供にお金の教育なんてできるはずがなかったのです。

ところが海外では幼稚園や小学生くらいからお金の勉強を始めます。アメリカでは2002年に議会が金融教育のための委員会を組織しており、州ごとに金融教育をしています。例えばローラスの校歌を作ってくださったつんくさんはご家族でアメリカに住んでいますが、小学校4年生の息子さんが学校の授業で株について学び、お金持ちになりたいからインベスターになりたいと言ったこと、また株のトレードのシュミレーションをグループ学習でしていることに衝撃をうけたとブログに書かれていました。お金はコツコツ働いてコツコツ貯めるもので、投資は危険だし不労所得は邪道というマインドと全く違います。

インターナショナルスクール
運用リターンによる家計資産額の伸びの比較。

イギリスでは2010年に金融教育の機関ができ、2015年には公立学校で必修化しているのです。貯金、出費、借り入れ、税金、年金、投資等お金との付き合い方、社会におけるお金の役割など実生活に役立つような金融教育になっています。日本でも中高校生くらいで金融教育はやっているようですが、インフレや金利などマクロ的なものになります。スタンダード&プアーズ(※1)の2015年の金融リテラシー(※2)調査において、日本の金融リテラシー度はG7の中では6番目、世界においては38位という結果になっています。また日本人の貯蓄好きは有名ですが家計の金融資産に関する日銀の調査で日本の家庭では現金・預金が54%と高く、株式などの投資が9・6%。一方、アメリカの家庭では現金・預金13%、株式などの投資が32%と全く正反対の結果がでているのです。さらに驚くことには運用リターンによる金融資産額は1998年〜2018年の約20年間でアメリカが2・7倍に伸びているのに比べ、日本は1・4倍と厳しい結果が出ています。

計算すると20年間でアメリカ人は日本人の約4倍資産を増やしているのです。投資した額を1000万円と仮定するとアメリカ人が1700万円増やしているときに日本人は400万円しか増やしていないということなのです。日本でも手遅れにならないうちに「お金の教育」をしっかりすべきです。また、日本では家で子供とお金の話をするのはタブー視されてきましたが、家庭こそ金融リテラシー、金融ケイパビリティ(※3)を育む機会がたくさんあります。子供と一緒に旅行の計画や予算を立てたり、出費を見直したり、欲しい物を買うために家でアルバイトをさせたり。また投資に関係した親同士の会話を聞くのも勉強です。このように実生活でお金について実践的に学びながら、育った子供たちの中には11歳で株式投資を始めたウォーレン・バフェット(※4)のような大投資家になる人が出てくるかもしれません。

ウォーレン・バフェットやビル・ゲイツ、ジェフ・ベゾス(※5)など投資やビジネスで成功した億万長者は慈善団体に何千億円も寄付しており、社会に莫大な還元と貢献をしているのです。お金は不浄なものなどではなく世界中の問題を解決する黄金の鍵です。欧米では、そういう寄付の文化も金融ケイパビリティの1つとして定着しているのです。

スタンダード&プアーズ(※1)
金融商品または企業・政府などの信用状態に関する意見および投資情報を提供する、世界最大手の格付け機関。

金融リテラシー(※2)
リテラシー(Literacy)とは、読み解く能力のこと。金融リテラシーとは、金融に関する知識や情報を正しく理解し、主体的に判断することができる能力。

金融ケイパビリティ(※3)
OECD (経済協力開発機構) は、金融ケイパビリティについて、日々の資産管理、ファイナンシャルプランニング、金融商品の適切な選択、金融知識の理解の4つを構成要素として挙げています。

ウォーレン・バフェット(※4)
アメリカ合衆国の投資家、経営者、資産家、慈善家。世界最大の投資持株会社であるバークシャー・ハサウェイの筆頭株主であり、同社の会長兼CEOを務めます。アメリカの長者番付フォーブズ400では1986年に5位に入って以降、毎年ベスト10内に入り続けています。

ジェフ・ベゾス(※5)
アメリカ合衆国の実業家、投資家。Amazon.comの共同創設者でありCEO、取締役会長、社長。

インターナショナルスクール

ローラスインターナショナルスクールオブサイエンス 学園長
日置麻実さん

東京、神奈川に8校のSTEMインターナショナルスクール、英語スクールを運営。日本に未来のイノベーターをたくさん輩出することを使命とする。上智大学外国語学部英語学科卒。

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