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子供達が海外で学ぶことがなぜ必要なのか?Part 3/第25回

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子供達が海外で学ぶことがなぜ必要なのか?Part 3/第25回

2021.03.31

世界に通用する教育を考える「21世紀脳を持つインターナショナルな子供の育て方」連載25回目は、「子供達が海外で学ぶことがなぜ必要なのか?Part 3」。

「子供たちがグローバルな世界を勝ち抜くための戦略」のお話のPart2で、大学入試における日本と海外の違いについてです。日本の大学入試には詰め込み式勉強が必須になりますが、海外、特にアメリカやイギリスでは学力もですが、それ以上にどう過ごしてきたかが重要になっていきます。


日本の学生が英語を話せない原因は大学入試にあり!
このままの体制では人が育たず国が崩壊していくかも!?


子供たちが将来、海外で学ぶためにも避けて通れないのが入学試験です。Part 1、Part2から少し間をおいてしまいましたが、今回は海外の大学入試が日本とどのように違うのかについてお話しします。中でも世界的に一番関心の高いアメリカの大学入試を取り上げてみたいと思います。日本の大学入試はご存知のように、試験の当日の一発勝負。その1回の試験に今までやってきた勉強のすべてを賭けます。しかも問われるものは「学力」のみです。


しかしながらアメリカの大学の選抜基準は多岐にわたります。基礎学力を測るSAT(※1)という共通テストがありますが、SATの結果はあくまで選考材料の1つに過ぎません(インターナショナルスクールでAレベル(※2)DP(※3)をパスしていればSAT受験は必要ありません)。SATの得点がほぼ満点でもハーバード大学に入れなかったのは人種差別だと提訴するアジア系アメリカ人たちが話題になっていますが、大学側は応募者の全人格を総合的に評価し選抜していると主張しています。 実際SATの他に高校での内申書、教師からの推薦状、課外活動ースポーツやボランティア活動の実績、エッセイ(※4)が全部審査の対象となります。よく日本ではアメリカの大学は入るのが簡単で卒業するのが難しいと言われていますが、この大学の出願に必要な書類を見ると私のようなレイジーな人間には一発勝負の日本の入試のほうがはるかに楽な気がします。


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エッセイも大学入学審査では重要な項目の1つです。

この中でも課外活動は大変重要です。スポーツで地域の大会、あるいは全国的大会でいい成績を収めたとか、数学オリンピックでメダルを取ったとか、ピアノのコンクールで賞を取ったとか、長期に渡ってボランティア活動に励んだなど、学業以外でどんな活躍をしたのかが評価されるのです。そしてこれは審査の対象となるエッセイにも密接に関係してきます。エッセイは合否を決める大変重要な要素になってきます。自分がどのような人間なのか、何に情熱を持っているのか? どんな困難に直面してどうやってそれを乗り越えたのか? 社会的な関心は何か? どのように社会の問題解決に貢献したのか?などを表現し、課外活動を通して修得したリーダーシップ、問題解決力、自分がどのような人間で、大学にどういうポジティブな影響を与えられるのかをアピールする場なのです。


イギリスでも同じくエッセイは審査の対象ですが、どちらかと言うともう少し自分の専攻すべき分野のアカデミックなエッセイを求められるようです。アメリカでは、大学の4年間で幅広い教養を身につけ、大学院で専門の研究をするのに対し、イギリスでは日本のように大学で専門分野に分かれることを考えれば納得がいきます。当然アメリカの大学を目指している学生たちは中学校、高校で何をしたらいいのかを大学入試から逆算して、勉学で秀でるばかりでなくスポーツなどの課外活動やボランティアなどの社会貢献に力を入れているといえます。これならば人生の一番大事な時期に勉学以外の大事なことに目が行き、小さなところから世界を変えようとするマインドセットを培う事ができるのです。


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課外活動も非常に重要で活動の実績やそこで培ったことが審査の対象になります。

本題から外れてしまうかもしれませんが、そう考えていくと大学入試で何を課すかが将来その国を担っていく人間を育てていく、ひいては国そのものを造ることに繋がるのではないでしょうか? もちろんアメリカの入試が最善というのではありませんが、皆が闇雲に教えられたことに疑問をもたず暗記して勉強してきた結果が今の日本です。学生が英語を全く話せなくしているのも変な文法問題と英文和訳メインの入試英語です。大学入試に英語でのプレゼンテーションをいれたらどうなるでしょうか? 日本人の英語力は飛躍的に上がると思います。時間はかかりますが日本を変えたければ、大学入試を変革することが一番の近道かもしれません。


SAT(※1)
Scholastic Assessment Testの略称で、「エス エー ティー」と読みます。アメリカの高校生の中で大学進学希望者を対象とした共通テスト。


Aレベル(※2)
AレベルはGeneral Certificate of Education, Advanced Levelの略で、大学入学資格として認められる統一試験のこと。イギリスでは大学進学のために2年間Aレベル(ASレベル・A2レベル)を学習します。


DP(※3)
Diploma Programme(ディプロマ・プログラム)の略。国際バカロレア(IB)に基づいた大学入学準備コースで、一般的には2年間。対象年齢は16~19才。最終学年で試験を受け、一定の成績に達するとディプロマ資格(大学入学資格)を得られます。


エッセイ(※4)
Personal Statement, Personal Eesayとも言います。アメリカの大学へ出願する全ての学生が提出を求められており、合否を決める重要な要素に。


 


インターナショナル


ローラスインターナショナルスクールオブサイエンス 学園長
日置麻実さん

東京、神奈川に8校のSTEMインターナショナルスクール、英語スクールを運営。日本に未来のイノベーターをたくさん輩出することを使命とする。上智大学外国語学部英語学科卒。

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