【試乗比較】普通二輪免許で乗れるトライアンフ「SPEED 400」「SCRAMBLER 400 X」レビュー

イギリス最大のオートバイメーカーで120年以上の歴史あるブランド、トライアンフ。クラシックバイクが好きな人には大排気量・高性能バイクというイメージですが、今回発売されたのは中型クラスの2モデル。その2台を試乗・比較してみました。

中免で乗れるトライアンフを比較レビュー

言わずと知れたイギリスの伝統的なモーターブランド、トライアンフ。その歴史の長さから空冷バーチカルツインのバイクを思い浮かべる人から、最近ではスーパースポーツスタイルまで幅広くラインアップ。

しかし意外にも、近年のカタログには公道を中免（普通自動二輪免許）で乗れるモデルが無かった。今回は中免で乗れる水冷単気筒の2モデルがリリースされたことで、トライアンフを選択肢に入れられる人もグッと増えました。

バイクらしいシンプルなシルエットで、スタイルも申し分ないこの2モデル、どういった個性があるのか比較してみました。

軽量コンパクトで足つき性抜群なSPEED 400

SPEED 400はとにかく車体が軽量でコンパクト。初心者でも安心して乗れます。車重の170kgは、だいたいヤマハSR400と同じくらい。コンパクトにまとまっていて、大型バイクに乗り疲れたライダーにも魅力的でしょう。

このコンパクトさは足つき性も良く、790mmのシート高は身長172cmの筆者が信号待ちで、股をタンク寄りにすると両足が着いて少し踵が浮く程度。400ccクラスではかなり良い。

鼓動感があって低回転でのトルクを感じられるエンジンは、後述のSCRAMBLER 400 Xと共通。DOHC4バルブはスムースながら、高回転で引っ張るエンジンではなく、速く走らせるには小まめにシフトアップしていきますが、逆にシフトを怠けてもアクセルに付いてくるので楽。

スペック上のハンドル幅で見るとSPEED 400は795mm、SCRAMBLER 400 Xは825 mm。SPEED 400の方が明らかに幅が狭いながら、ハンドル位置が低いSPEED 400では切りこんでしまわないように少しコツが要るのかも。決して低く過ぎず十分楽なポジションなのですが、フロントサスペンションとのバランスもあって、この低めで広めの対応は慣れが必要でした。

カチっとした車体でひらひらと軽快に乗れるので、街乗りからワインディングまで楽しめそう。個人的にはハンドル幅をつめて脇を締めたくなりますが、クイックに思えるほどの軽快さを楽しめるのがSPEED 400の個性なのでしょう。

バランスが良く疲れ知らずなSCRAMBLER 400 X

エンジンはSPEED 400と同じながら、道を選ばないSCRAMBLER 400 X。その大きな違いは、フロントタイヤが19インチで大径、ハンドルポジションも高めに設定されています。そして、兄弟車ながらホイールベースが41mm長い1418mm。乗った印象では、SCRAMBLER 400 Xの方が「バランス良いなぁ」という感じです。

見た目にはマフラーエンドも細めの2本になっていて、ひとつ上のクラスの車格に見えるのは好み。

デザインや乗り方の好みはありつつ、筆者はSCRAMBLER 400 Xでの乗車姿勢が楽で、ハンドリングも素直に感じました。これなら通勤から長距離ツーリング、あるいは少しラフな林道でも走っていけそうです。

ヨーロッパで人気のスクランブラーは、車体が重く、大きく、足つき性で諦める人も多いと思いますが、SCRAMBLER 400 Xはまさに中型バイクの良さを引き出している感じ。ちなみにシート高は835mmで、SPEED 400よりも45mm高いので、比較すると足つき性の分は悪いながら、一般的な大型スクランブラーよりは全然良いです。

モデル思想から2モデルの細かなディメンションは結構違いますが、単気筒水冷DOHC4バルブというエンジンを共有している両車。とてもスムースな乗り味で、あえてどちらかで迷うなら、シートに跨ってみた直感だけで選んでも間違い無さそう。

個人的にはフロントに大径ホイールを履くSCRAMBLER 400 Xが走りやすく、見た目も好きと思えました。

2モデルともコスパ良い選択肢

トライアンフという伝統ブランドで、69万9000円～78万9000円という価格は、幅広い世代に支持されそうです。

SPEED 400

グリップエンドミラーが標準。メーターやスイッチまわりがシンプルで好感持てます。

マフラーフランジにトライアンフらしさを感じるエンジンは２モデル共通。イギリスで開発され、インドのバジャジが製造している。

トライアンフ
車名／SPEED 400
価格／69万9000円
エンジン／水冷単気筒DOHC4バルブ 398.15cc
最高出力／40PS（29.4kW）@8000rpm
最大トルク／37.5Nm@6500rpm
トランスミッション／6速
タイヤ／フロント110/70/17、リヤ150/60/17
車重／170kg

SCRAMBLER 400 X

ナックルガードとバーパッドは標準装備。標準のミラーも見やすいです。

タンクのニーパッドとゼッケンプレートもSCRAMBLER 400 Xのみに付いている。

トライアンフ
車名／SCRAMBLER 400 X
価格／78万9000円
エンジン／水冷単気筒DOHC4バルブ 398.15cc
最高出力／40PS（29.4kW）@8000rpm
最大トルク／37.5Nm@6500rpm
トランスミッション／6速
タイヤ／フロント100/90/19、リヤ140/80/17
車重／179kg

●トライアンフモーターサイクルズジャパン

撮影／能勢博史

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