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2022.03.02
1万円台で楽しめる!高級レストランガイド 第3回 東京・八重洲/八重洲 鮨 海味
デートや接待など、シチュエーションに合わせて使えるお店はいくつでも押さえておきたいところ。この連載では、1万円台のお手頃さで味も雰囲気もバッチリのお店をご紹介します。
ミシュラン二つ星常連の青山の名店が八重洲で手がける高級寿司
ミシュランで10年続けて二つ星を獲得している青山の名店「海味」。
その初となる兄弟店が、東京の八重洲に店を構えています。
東京駅からほど近い立地に、青山店と同じように控えめなたたずまい。くつろいだ空間で細部にまでこだわった極上の寿司をいただける「海味」の八重洲店を今回はピックアップ。
おすすめのコースのなかから17,900円の「香味」コースをご紹介します。創意工夫の張りめぐらされた、挑戦とさえ思える料理の数々をご堪能ください。
先付けは真鯛の昆布締めとアラを使ったスープ、そしてそら豆の蜜煮。鯛の産地はその日の仕入れによって変わり、この日は淡路産のもの。昆布締めに添えられた梅肉と芽ネギのピリッとした刺激が舌を目覚めさせてくれて、そこに昆布の旨味やスープのこく、そら豆の甘みと苦みがあいまってたまりません。
身欠き鰊(にしん)と新筍、京にんじんの炊き合わせ。鰊は干したものを米のとぎ汁で数日かけてゆっくりと戻してあり、なめらかな甘さが感じられます。熊本県産の筍はほくほくとしていてまさに旬の味。いまの季節にぜひ味わっていただきたい逸品でした。
北海道産の毛蟹の洗いに菜の花のおひたしを添えて。さっと湯引きした洗いは、つるつるとした鮮度はそのままに蟹の肉感を楽しめます。菜の花のおひたしは素朴な味わいで静かに蟹の美味しさを引き立てる名脇役のたたずまいでした。
小瓶いっぱいのキャビアを赤酢のシャリでいただきます。このキャビアは宮崎県産で、約30年にわたる養殖研究のすえにたどりついた逸品。「深い眠り」とたとえられる伝統の熟成方法で作られたキャビアは、塩のみのシンプルな味付けながらいくつも層が折り重なるような深い味わいを堪能させてくれます。
握りは淡路産の春子鯛(カスゴダイ)から。春子鯛はチダイの一種で、小ぶりな身ながらも肉質がしっかりとしておりボリューミーな食べ応え。黄身のおぼろがかけられており、春子鯛の上品な甘みをより引き立ててくれます。
宮城県・塩竈産の本マグロの漬け。辛子とマスタードスプラウト(からし菜)が乗せられており辛子、漬け、赤酢、そしてまた辛子と四拍子の味わいが楽しめます。赤身の漬けは寿司では定番ですが、大将の創意工夫が光るひと品でした。
こちらはタマカイ。タマカイは高級魚とされるクエの一種で上品な甘みが特徴です。そこにペルシャ産の岩塩でアクセントを加えてあり、こちらも先付けの鯛や先ほどの漬けと同じく魚の旨味に交じって走る刺激がたまりません。
光りものは天草産のコハダ。魚そのものの身の味を残したいという狙いで3日程度と浅めに〆られており、まろやかな味わい。食後に残る柚子のフレーバーが爽やかなひと品でした。
赤貝は名産地である宮城県、閖上(ゆりあげ)のもの。赤貝というと潮の香りを感じさせる濃厚な味が特徴ですが、こちらの赤貝は匂いや味はむしろ控えめで赤酢のシャリときれいに溶け合うような繊細さ。ほどよい歯ごたえの食感とベストマッチという印象です。
北海道・根室産のイクラを使った小丼がここで。キャビアだけでなくイクラもしっかりと楽しめます。プツプツと弾けるイクラと赤酢のシャリの柔らかさは相性抜群。
和歌山県産の鰆を炭塩でいただきます。煎られて黒い炭塩は見た目もワイルドになりますが、味も香りもインパクト大。淡白な口当たりの鰆がこんなに豪快な味わいになるのかと驚かされます。
ここで、モウカの星とバチコ入りの塩辛という個性派のおつまみ二品が登場。モウカの星は宮城県・気仙沼で食べられているサメの心臓を使った珍味。胡麻油でいただきます。バチコとはナマコの肝で、特徴的な香りと味がお酒によく合うひと品です。
山口県・宇部産のクルマエビ。大ぶりな身は食べ応え満点。ここまで供されてきた握りですが、どれも味だけでなく形がとても美しく、舌だけでなく目でも楽しませてくれます。この道20年の大将の腕が光ります。
山口県産ののどぐろを黄身醤油でいただきます。のどぐろは皮目の部分だけがわずかに炙ってあり、濃厚な黄身醤油と相まってステーキかと思わせるような圧巻の味。1カンの寿司とは思えないほどの重厚さでした。
創意工夫が爆発していたのどぐろに続いて、今度は王道の大トロが。こちらも宮城県の塩竈産です。大トロというとやはり脂の乗りが楽しみですが、それに加えてしっかり身の旨味も感じさせてくれました。
蒸しアワビの肝ソースがけ。ほどよい塩味と苦みのきいたソースが肉厚なアワビに濃厚な味わいをプラスしてくれています。
長崎県産の穴子と玉子。穴子には柚子が振ってあり、ツメの甘みのあとに爽やかな食後感が広がります。玉子はすべすべとした食感と、上品さを逸脱しない範囲で濃密に固められた甘みが印象的でした。
締めは鉄火巻きで。ふわふわとしたトロがシャリに溶け合うなか、シャキッとした胡瓜がいいアクセントになっています。
季節によって変わるデザート。この日は苺でした。果肉は大ぶりでも味は大味にならず、ほどよい甘みと酸味が楽しめました。
お酒のラインナップからは三重県の地酒「作 Impression」を。純米吟醸のN、純米のGなどを取り揃えています。酸味と発泡が特徴で、女性にも人気のお酒です。
その他、米どころである南魚沼の「一本〆」、岐阜の「天領 飛切り」など各地の名酒もばっちり押さえてあります。
店内の様子。ゆったりとカーブするL字型のカウンターは全11席。
個室は2名様よりご利用いただけます。接待などで利用するときなどに最適です。
4名様から8名様での利用にも対応可。ご家族連れなどでの利用も歓迎とのことです。
東京・八重洲/寿司
八重洲 鮨 海味
Data
☎️03-6262-0890
東京都中央区日本橋3-4-14 八重洲N3ビル B1F
営業/11:30~14:00、16:00~24:00
※新型コロナウイルス感染拡大等により、営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。ご来店時は事前に店舗にご確認ください。
定休日/無休
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