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【行ってみた】ビンテージがズラリ!「世界のカバン博物館」には長嶋茂雄さん愛用品から芸術品のようなトランクまで

【行ってみた】ビンテージがズラリ!「世界のカバン博物館」には長嶋茂雄さん愛用品から芸術品のようなトランクまで

東京・台東区の浅草寺近くにある「世界のカバン博物館」には、超高価な芸術品のようなトランクから、あのマジソンバッグ、そして長嶋茂雄さんやアントニオ猪木さんのバッグまで。ここは凄い穴場でした!

カバン好き必見!世界中の貴重なビンテージがひしめく博物館

カバンメーカー、エース 東京店の7階にある世界のカバン博物館。

ここはエースの創業者である新川柳作さん(1915~2008年)が1958年に欧州視察旅行の際、ドイツの皮革博物館に10点ほどしかカバンが展示されていなかったことから、自身で世界中のカバンを集めて展示するという構想を思い立ちます。後の1975年、当時としては珍しい企業内博物館として「世界のカバン館」を開設。2010年から現博物館として運営されています。

驚くことに誰でも無料で入れる、世界のカバン博物館。グッときたカバンをピックアップしてみました。

象革のスーツケース、ブリーフケース、ポートフォリオ

イタリアのコーナーにはなんと象革のスーツケース、ブリーフケース、ポートフォリオが。1960年代、ヴァレクストラ社による製造。今では絶対にあり得ない象革のカバン、初めて見ました。

当時は上流階級の男性に人気を博したよう。ヨーロッパではハンティングが貴族的な遊びだった時代を感じさせるカバンですね。

ジャガード織+山羊革のワインボトルバッグ

同じくイタリアで製造された1960年代のワインボトル・バッグ。ジャガード織に山羊革をトリミングしたワインボトルを入れる専用バッグは、小サイズに1500mlのマグナムボトル、大サイズに3000mlのダブルマグナムボトルをそれぞれ2本ずつ入れられるというもの。間近で見るとその大きさに驚かされます。

当時の貴族たちは週末の旅行やピクニックに、こんなにも大量のワインを使用人に持たせていたんですね。

イリエワニ革のキャビン・トランク

高価で貴重なカバンが並ぶ中で、この博物館一高価なものがフランスのコーナーにあるキャビン・トランク(上画像の左下)。ワニ革の中でも希少性が高く最高級とされる、イリエワニ12匹分の革を使用した芸術品のような佇まい。

1978年、世界の王侯貴族やマリリン・モンローなどのセレブリティーを顧客としたモラビト社に、この博物館の展示用としてオーダーされたものだそう。現在世界に3個ある中の1個で、現在の価格で2000万円相当という逸品。

ABS樹脂+マグネシウム合金のスーツケース

アメリカのコーナーには現代のカバンに近づくモダンなものも。ジェット旅客機が就航した1950年代以降、アメリカでは海外旅行の大衆化(マス・ツーリズム)の時代が到来。このスーツケースはシュウェイダー・ブラザーズ社がABS樹脂とマグネシウム合金を組み合わせ、現在に至るスーツケースのプロトタイプ。

ちなみに、このようなプロトタイプのスーツケースにキャスターを付けるアイデアを出した人が、エース創業者の新川柳作さんで、その後タテにして引きやすくするオーダーも出したそう。スーツケースって日本人のアイデアで進化したんですね。

エアライン・バッグ

1960年代、当時憧れだった海外旅行。その大衆化を牽引したパンナム航空のエアライン・バッグ。まさに憧れのシンボルとして、ある年代以上にはグッとくるバッグ。

ちなみにエアーフランスのバッグの製造はフランスですが、空の旅繋がりでアメリカコーナーに置かれています。

ゼロハリバートンもビンテージがずらり

アルミ合金製スーツケース、ヴァニティーケース

ゼロハリバートン のアイコンとして知られる、耐久性を向上させるための2本のダブルリブが導入されたのが1946年。そのダブルリブを取り入れたアタッシェケースとヴァニティケース。

創業者ハリバートン氏による堅牢性と気密性の高いアルミ合金製ボディーは、今も引き継がれています。

それにしてもこの年代のゼロハリ、ヤレ具合が最高! クルマのキャリア上に積んでみたいなぁと妄想しながら目が釘付け。

ゼロハリによるカスタムバージョン

ゼロハリは中のクッション材をカスタムして、どんなアイテムでも完璧な保護と運搬をできるカバンという面も。画像上はゼロハリバートン社が自社で作った「ウイスキージャックダニエルケース」と「ジッポーケース」。

そして、機械っぽいものはギターエフェクターかと思いきや、なんとマッサージ器らしい。ケースが先か、マッサージ器が先なのか。スッポリ収まる謎を考えるのも楽しい。

マニアでなくても味わい深い長嶋茂雄さん&アントニオ猪木さんの愛用バッグ

長嶋茂雄さん愛用スポーツバッグ

長嶋茂雄さんが実際に使用していたスポーツバッグ。エースのロゴが入るこのバッグは、1975年から1980年までの背番号90時代に愛用されたものだそうです。

週刊ベースボール誌の表紙はちょっと年代が合ってないですが、往年の長嶋茂雄さんを知るジャイアンツファンにはたまらないはず!

アントニオ猪木さん愛用ボストンバッグ

こちらも昭和を代表するスター、燃える闘魂・アントニオ猪木さんが使用していたもので、本人から寄贈されたボストンバッグ。ブラジル帰りとあって、牛革に細かな彫り細工が施されたもの。

カバンの前で佇む筆者は、カール・ゴッチとの実力世界一決定戦の二番勝負ポスターデザインにも大興奮。

本物が並ぶ!日本の大ヒット製品も

マジソンバッグ

ある一定年齢以上の方には懐かしいマジソンバッグ。エース広報の森川さんによると、それまでバッグに英字がデザインされたものが無かったそうで、1968年の製造開始から1970年代にかけて大ヒットとなった。

ちなみに当時2000万個も流通したと言われ、空前の大ヒットとなったマジソンバッグ。しかしそのおよそ半数は他メーカーのコピー(偽物)だったそうです。

アタッシェ・ケース

筆者がカッコ良いと思ったアタッシェ・ケース。1969年度のグッドデザイン賞受賞製品です。当時の日本人の体格や書類量をリサーチして、パーツの軽量化やサイズの適正化を図り開発されたのだそう。

時代が巡り、今ではノートPCを入れて運ぶのにちょうど良さそう。シュッとしていてカッコ良いですね。

エースの歴史は日本ブランドカバンの歴史

7階の博物館を一巡したら、8階の新川柳作記念館を見るのもおすすめ。ここはエース創業からの歴史が細かく記されていて、初めてナイロンバッグを作った同社の製品などが見られます。

日本の高度成長時代の製品や広告など、プロダクトデザインに興味がある人には見どころの多い展示でしょう。
エースには北海道で製造されている日本製トラベルバッグブランドのプロテカがあり、今年はちょうど20周年なのだそう。初代プロテカのスーツケースは、いすゞ117クーペなどカーデザインで高名なジョルジェット・ジウジアーロ氏によるデザインからスタートし、日本生まれらしい最先端機能の歴史も追っていける展示になっています。

こうして見ると、現代のスーツケースって日本人が作ったんだなぁと感慨深い。
スーツケースをゴロゴロ引いているMADUROの愛さん。石畳に引っかかることなく進むのに驚き、手を離してもどっかにいってしまわないキャスターストッパーに感動。最近のスーツケースって進化しているんですね~。

というわけで、世界のカバン博物館、新川柳作記念館は見どころが多く、思っていた以上に楽しめました。入館は無料なので、浅草観光と合わせて立ち寄ってみると面白いですよ。
世界のカバン博物館
所在地/東京都台東区駒形1-8-10 エース 東京店
入館料/無料
開館時間/10:00~16:30
休館日/日・祝日(年末年始及び不定休有)
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