TOP / LIFE / 子供たちが海外で学ぶことが、なぜ必要なのか?Part1 /第19回
子供たちが海外で学ぶことが、なぜ必要なのか?Part1 /第19回

子供たちが海外で学ぶことが、なぜ必要なのか?Part1 /第19回

世界に通用する教育を考える「21世紀脳を持つインターナショナルな子供の育て方」連載19回目は、「海外で学ぶことが、なぜ今必要なのか?Part1」。

日本経済の低迷同様に、成長できない日本の教育事情…その大きな原因は、昭和から変わらない詰め込み式教育に…日本経済の成長が停滞しつづけた「失われた30年」。日本は今沈みゆくタイタニック号のようです。日本の良い大学をでて、日本の一流企業に就職すれば一生安泰。それはもはや幻想です。子供たちがグローバルな世界を勝ち抜いていくための戦略は?


日本経済の低迷同様に、成長できない日本の教育事情…その大きな原因は、昭和から変わらない詰め込み式教育に…


「日本人がいない!」。2年ほど前ロンドンを訪れ、買い物をしていたときに感じたことです。今から30年ほど前、夫の駐在で家族でイギリスに住んでいました。その頃は日本経済は絶頂期にあり、日本企業が大挙して世界中に支社を出していましたので、ロンドンも日本人で溢れかえっていました。 有名ブランド店が立ち並ぶリージェントストリートやハロッズなど沢山の商品を抱えて闊歩しているのは今や日本人ではなく中国人。そして空港などに掲げられている巨大広告はソニーやNECなどの日本企業ではなくサムソン一色になってしまっていました。「失われた30年(※1)」は日本にいるとあまり感じることはありませんが外国にでると痛感せざるをえません。今世界には技術革新の波が押し寄せており、凄まじい勢いで変わっていますが日本はその波に乗れているのでしょうか? ここにいくつかのデータがあります。まず1つ目は先日発表されたIMD(※2)国際競争力ランキングです。約30年前の1992年日本はトップでしたが、今や30位まで落ちています。世界の企業の時価総額(※3)ランキングでは1989年、世界のトップ20社のなんと14社が日本企業で占められていました。今やトップ50位までにトヨタのみが入っておりますが、42位となっています。1人あたり名目GDP(※4)も2位から26位へ転落し、ここ20年間の経済成長率に至っては最下位のマイナス20%。唯一のマイナス成長国です。また先進国で平均賃金が下がっているのは日本だけ。このように経済大国としての日本の凋落は酷く、日本にとっての不都合な真実は限りなくありますが、特に取り沙汰されることもなく日々の生活の忙しさの中に埋もれていってしまっているのです。むしろテレビ番組などでは「日本スゴイ!」の手前味噌番組が多すぎてうんざりします。


インターナショナルスクール
IMD国際競争力30年間の推移。

今の日本はタイタニックのようなものです。大きな豪華客船が何らかの原因で船体に穴が空き少しずつ沈んでいるのに、中の乗客はそれに気づかず、「船が沈んでる!」という警告にも聞く耳を持たないで「この船が沈むはずない!」と未だに優雅に食事やダンスを楽しんでいます。それでは一体どうしたらよいのでしょうか? 


日本の教育や雇用におけるシステム、環境、マインドセットは何十年も変わらず現在に至ります。先生が黒板に板書しながら一方的に教え、生徒は教えられたことはすべて素直に吸収し、覚える。テストでいい点をとり、偏差値を上げるべく受験勉強に邁進する。日本の良い学校に入り、日本の名門大学に入学し、日本の一流企業に就職できれば一生安泰。それはいわゆる安定志向と呼ばれるものでした。しかしながら、そのような安定志向はもはや幻想にすぎないのです。トヨタでさえ、終身雇用は難しいとのコメントを出しています。今、日本の一流企業は世界の変化、時代の流れについていけず、急激に世界で存在感をなくし衰退しています。また今までの仕事もAIやクラウドソーシングに取って代わられていくことでしょう。グローバル化や少子化、そしてオンラインシフトがますます進む中、働くこともよりボーダレス、シームレスになり国内外、外国人、日本人の垣根がなくなり地球という舞台で、世界中の人々と競争する時代が既に来ているのです。ローラスではそんな時代を見据え、生徒がグローバルな時代を勝ち抜いていけるような様々な武器を持ってほしいと思っています。また生徒が世界へ羽ばたいていくための戦略を練っています。そのひとつが海外の大学への準備です。続きは次回にお話しさせていただきます。


【注釈】
失われた30年(※1)

1990年代初頭バブル景気が崩壊した後、20年以上日本経済の停滞が続いたことを「失われた20年」と呼ぶが、その後も現代まで復調せずに、IMFの予測などからも「失われた30年」と言われることも…。


IMD(※2)
International Institute for Management Developmentの略。スイスのローザンヌに拠点を置くビジネススクール。世界有数のビジネススクールとして有名。


時価総額(※3)
株価×発行済株式数で計算され、企業の規模や評価を示す際の指標。


名目GDP(※4)
GDPは、国内総生産のこと。国内で生産されたものやサービスの付加価値を表し、その国の経済力を示す目安でめある。名目GDPは、経済活動の水準を算出したもの。生産数量に市場価格をかけて生産されたものの価値を算出し、す全て合計したもの。


インターナショナルスクール


ローラスインターナショナルスクールオブサイエンス 学園長
日置麻実さん

東京、神奈川に8校のSTEMインターナショナルスクール、英語スクールを運営。日本に未来のイノベーターをたくさん輩出することを使命とする。上智大学外国語学部英語学科卒。

  • SHARE   
  • facebook
  • twitter
  • LINE
  • Pinterest
同じカテゴリの記事一覧
RECOMMENDS