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愛犬と車中泊で日本一周をした漫画家 小田原ドラゴンさん インタビュー

愛犬と車中泊で日本一周をした漫画家 小田原ドラゴンさん インタビュー

ホンダ「N-VAN」で車中泊の旅をしながら、その道中で起こる出来事をセミドキュメンタリーで連載マンガに描き下ろしてきた小田原ドラゴンさん。愛犬「ちょんぴー」を連れて北海道や日本一周をしてきた時のエピソードを、あらためて聞いてみました。
愛犬ちょんぴーは、もうすぐ12歳。犬種はミニチュア・ピンシャー。
漫画家
小田原ドラゴン
1970年9月23日生まれ、兵庫県出身。
1996年ヤングマガジン増刊赤BUTA(講談社)にて「僕はスノーボードに行きたいのか?」でデビュー。2018~2020年「ぼくと3本足のちょんぴー」やわらかスピリッツ(小学館)、2020~2023年「今夜は車内でおやすみなさい。」ヤンマガWeb(講談社)連載。他代表作に「おやすみなさい。」「チェリーナイツ」「小田原ドラゴンくえすと!」など。

車中泊で作品を描きながら日本一周を完走

そもそも車中泊を始めたきっかけはあったのでしょうか?

北海道に行きたかったんだけど、犬連れだと泊まる宿が限られるから。それで、車中泊だったらちょんぴーと一緒に行けると思って。

車中泊といっても単に「車内で寝られればいいや」って感じだったので、最初は寝袋を用意したくらい。初めて北海道に行った時は別のクルマだったけど、後部座席を倒してもデコボコしてフラットにならなくて、背中が痛くて眠れなかったですね。

その後、2020年の夏にN-VANを購入して、翌年からちょんぴーと一緒に日本一周の旅に出ました。(※)

※編集部注:一連のエピソードはセミドキュメンタリー『今夜は車内でおやすみなさい。』(講談社)として連載された。新型コロナにより中断しながらも完走。

ちょんぴーと一緒だから見えた景色がある

日本一周をしていた時、ちょんぴーはどんな様子でしたか?

運転中は寝袋に入って寝ていることが多いですね。1時間半おきぐらいで外に出して、散歩させたりおしっこさせたりしていました。

車内で仕事をしていても、遊んでくれと駄々をこねたり、落ち着かなくなったりすることはあまりなかったです。逆に、家で仕事してるときのほうが、遊んでくれとうるさいことがある。クルマの中だとお互いの距離が近いから、落ち着くのかもしれません。

ちょんぴーと旅して良かったことは?

犬は散歩させないと駄目じゃないですか。1日1時間とか2時間くらいは歩くんですけど、犬がいなかったら、毎日そんなに歩かない。ちょんぴーがいるから、毎日たくさん歩いて、いろんな景色を見ることができました。

旅といっても観光名所とかには行かないんです。住宅街とか人が普通に住んでいるところを歩くので、そういう普通の街の景色が見られたのは良かった。街によって雰囲気もちょっとずつ違うし。観光だけしていたら分からなかったと思います。

散歩しながら写真も撮るので、その膨大な写真を後で見返すのも楽しいです。

ちょんぴーとの旅で大変だったことは?

めちゃめちゃ大変っていうことじゃないけど、毎日散歩させるっていうことは、それなりに大変なことでもあります。特に雨の日はどうしようって。

北陸を旅している時は雨が多かったので、散歩もなかなか行けなくて。ちょんぴーもストレス溜まって落ち着かなくなってました。あと、日本一周している時は自分の本を手売りしていて、読者の人が本を買いに来てくれるんだけど、ちょんぴーは警戒心が強くて人に吠えてしまったりするから大変でしたけど、でもそのぐらいです。
ちょんぴーは1歳の時にがんで前足を一本切断した。前足が体の中心になるよう上手く歩き、三本足が普通の状態なので、散歩も元気に歩く。

車中泊の際、トイレはどうされていたんですか?

ちょんぴーはトイレの心配はなくて、僕のほうが苦労しました。家のトイレでしかウンコできなかったので。

途中から、パチンコ屋さんでウンコをするっていう技を身につけて、だいぶ慣れました。パチンコ屋さんのトイレってキレイなんですよ。ただ、ある時いつものようにパチンコ屋さんにクルマを停めてウンコしてたら、館内放送で僕のクルマのナンバーが呼び出されたんです。「ついにウンコだけしに来たのがバレたか!」と思ったら、車内に犬が置き去りにされていたのを見て呼び出されただけでした。

車中泊は今や生活の一部になっている

N-VAN内の仕事環境。小さなテーブルの上にPCとペンタブ、ポータブル電源が大小2台。座椅子は試行錯誤の末、今のモデルに落ち着いている。

作品はクルマをどこに停めて描いていたのでしょうか?

人が少ない平日の道の駅や、普通の公園の駐車場とか、いろいろですね。イオンの駐車場も活用していました。イオンだと休憩の時にフレッシュジュースが飲めるし、お腹減ったらすぐ食べに行けるし、便利です。道の駅は夕方5時ぐらいに閉まっちゃうのが難点。夜は自販機だけになって、田舎の方だと、自分一人だけみたいになってしまうことが結構ありました。

最近の印象に残る車中泊はどこに?

先日、また北海道に1カ月くらい行ってきたっていうのもあるけど、遠くに行く車中泊より、なんか微妙な場所っていうのもあるじゃないですか。例えば、以前住んでた都心に行く用事で、今住んでいる場所からだと2時間ぐらいかかっちゃうんだけど、行ってすぐ帰るのがしんどいから車中泊で1泊してのんびり帰ろうとか。そういう車中泊も良いですよね。

車中泊のためにN-VANを選んだ決め手は?

軽バンにはしようと決めていたんです。あの小さい空間にいろいろ詰めて、そこで仕事もできるようにしたら楽しいんじゃないかなぁと思って。N-VANは軽だけど車内空間が広いし、足を伸ばして寝られるのが良かった。その当時は一番新しいタイプの軽バンでした。

でも、N-VANで仕事をしながら日本一周して、1日8時間とか座椅子に座って作品を描いていると、やっぱり腰が固まってきちゃいますね。いろいろ試行錯誤して、座椅子も3回替えて、これが今のベストなんだろうなっていう環境はできたんだけど、それでも長い時間描いているとしんどい。

実は、それで新しくトヨタのタウンエースがベース車の「キャンパーアルトピアーノ」を買ったんです。今年の7月に購入して、納車まで1年かかるって言われたんですけど、少し早まって今年中に来るかもしれない。新しいクルマは広いし、テーブル付きでダイネットにできるから、普通に足を下ろして座れるんです。今よりは全然ラクになると思います。

新しいクルマで車中泊マンガを描く予定は?

特に車中泊マンガを描こうという気負いはないけど、新車も買ったし、機会があればまた旅をしながら描きたいと思っています。

車中泊マンガは実際の出来事を描けばいいから、凝ったストーリー考える必要もないし、ラクなんですよ。車中泊マンガなら他の連載を持ちながら描けます。
小田原ドラゴンさんの作品。
左:ちょんぴーとの生活を描いた『ぼくと三本足のちょんぴー』(小学館 全3巻)。ちょんぴーへの愛情がひしひしと伝わるハートフルなドキュメント。右:自身の車中泊で日本一周の試みをベースにしたセミドキュメンタリー『今夜は車内でおやすみなさい。』(『ヤンマガWeb』(講談社 既刊6巻)。誰もが抱える葛藤と、自由への憧れに共感必至。
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