TOP / CAR & BIKE / 【インタビュー】漫画家 小田原ドラゴン × キャンパーアルトピアーノ 新たな車中泊の旅に向けて
【インタビュー】漫画家 小田原ドラゴン × キャンパーアルトピアーノ 新たな車中泊の旅に向けて

【インタビュー】漫画家 小田原ドラゴン × キャンパーアルトピアーノ 新たな車中泊の旅に向けて

愛犬ちょんぴーとホンダ「N-VAN」で巡った日本一周のセミドキュメンタリー「今夜は車中でおやすみなさい。」が、単行本11巻でついに完結。その後、車中泊仕様の「キャンパーアルトピアーノ」に乗り換えた漫画家・小田原ドラゴンさん。最終巻出版後の近況と、乗り換え後の使用感を聞いてみました。
漫画家
小田原ドラゴン
1970年9月23日生まれ、兵庫県出身。
1996年ヤングマガジン増刊赤BUTA(講談社)にて「僕はスノーボードに行きたいのか?」でデビュー。2018~2020年「ぼくと3本足のちょんぴー」やわらかスピリッツ(小学館)、2020~2024年「今夜は車内でおやすみなさい。」ヤンマガWeb(講談社)連載。他代表作に「おやすみなさい。」「チェリーナイツ」「小田原ドラゴンくえすと!」など。

N-VANからキャンパーアルトピアーノに乗り換えて

小田原ドラゴンさんが選んだキャンパーアルトピアーノはGL/ATの4WDモデル。
2020年夏に購入したホンダN-VANで車中泊をしながら、日本一周した小田原ドラゴンさん。X(@odawaradoragon)の読者には周知だが、昨年(2023年)暮れにはトヨタ タウンエースがベースの「キャンパーアルトピアーノ」(以下:アルトピアーノ)に乗り換えていた。それから8か月ほど経って・・・
「まぁ口約束なんですけど、婚約してた人との話が破談になって。だからまた新たに(嫁を)探したいなというのはあります」。

N-VANからアルトピアーノに変わったタイミングでは、2人と1頭での車中泊もイメージしたんですか?

「いや、ないです。でもやっぱりN-VANだと仕事しながらはちょっと狭いなと思って。もうちょっと横幅が欲しい。あと10cm横幅あれば、もっと楽なのにとかっていうのはずっとあったので」。
「それで(アルトピアーノに)乗ってみると収納がないので、実際にはあんまり変わらないんすよね、広さ的に」。
オプションの電源ユニット。走行時にサブバッテリーへ充電し、エンジン停止後も電源供給が可能、最大500Wまで使用できる。

気になる車内の居心地は、広くなった!?

フルフラット時最長2050mmの全長を確保し、大人2人が就寝可能。継ぎ目や段差がほとんどなく、寝る時にに快適。
前のN-VANの時も足伸ばして寝られたんでしたっけ?

「はい。あんま変わらないですね」。

それは意外。でも運転した感じはさすがにアルトピアーノの方が余裕があるんじゃないですか?

「いやー、もうちょっと快適に走ってくれれば。あまりにも遅すぎて、ちょっと衝撃でしたね。北海道行くと快適なんですけど」。

まっすぐな道をずっと一定の速度で走るのはアリなんですね。スタッドレス付けっぱなしなのは、また北海道に行くため?

「これは去年12月に納車された時、スタッドレス買ってそのままつけっぱしなだけ」。

運転席の真下にエンジンがあるというのはどうですか?

「夏場暑いみたいなのはまぁまぁあります。オプションで断熱(材)とかもあるんですけど、よくわかんないです」。

トータルではN-VANがかなり優秀だったという感じですかね?

「使い方によりますね。車中泊とかキャンプをしないで、都内で乗るのはちょっと(快適じゃない)。でもやっぱり北海道とか行くと快適なんですよ。もう一個上の(グレード)ってなるとハイエースとかになると思うんだけど、まあ、ハイエースまではいらないかなっていう」。
――馬力と車重のバランスなのか、特に上り坂があまり得意ではないとのこと。4ATの4WDモデルということも多少影響があるのかもしれない。ちなみに燃費はリッター約7.8km(本人実測)。

ダイネットには簡単にできて仕事も快適

ベッドモードからダイネットモード(テーブル設置)にするのは結構簡単なんですね。ここで1日何時間くらい仕事するんですか?

「漫画制作する時間は1日8時間くらい。やっぱりテーブルとシートがあると仕事はしやすいし、姿勢が楽です」。
ペンタブを置くDIYで滑り止め(黒いゴム)を付けて仕事をしやすいようにしている。
N-VANと比べると、創作意欲みたいな気持ちは変わったりするんでしょうか?

「特には変わらないけど、インパクト的にはN-VANの方があったかも。やっぱり軽バンで日本一周するっていうのは当時自分的にもインパクトがあったし、書きやすかった。まぁなんとなくですけど」。

私なんかは車中泊したいなと思っていても実際にできてないんですけど、非日常感みたいなのって慣れてきちゃったりりするものですか?

「慣れます。体も慣れる。だから非日常感的なものは本当に最初の数日だけ。あとはもう車中泊が日常みたいになってくる。で、よく日本一周してる時はX(ツイッター)で『先生たまにはホテルに泊まってください』みたいなことを言われるんだけど、実際はクルマの中の方が寝られるっていう」。
ホテルのベッドの方が寝られないっていうのは、分かる気がします。結果的にペットと泊まれるホテルも、予約取らないとあまり行かないものですね。

「犬と一緒にクルマで旅していると、もう犬がクルマの中の方が落ち着くし。だからなんの問題もないんだけど、寒いとか暑いとかは多少あります」。
オプションのシャワーシンクは選ばず、空いたスペースにポータブル電源を入れている。ジャクリの1000W(奥)がちょうどピッタリ。200W(手前)と合わせて、仕事をする上でも貴重な電源が確保されている。
クルマの中で仕事する時に、あともう少しカスタムしたいという箇所はありますか?

「今はほとんど買ったまんまの状態なんだけど、5月に北海道ぐるーっと回った時に、あれいるな、これもいるなみたいなのがあったので。棚とか自作したいなっていうのはあります。収納がないんで、収納を作りたい」。

作り付けるとしたら、バーナー置いているあたりとか?

「運転席の後ろ側の横のところとか、かな」。
湯を沸かしてコーヒーを淹れるためのバーナーとシェラカップ。小田原ドラゴンさんは仕事中や休憩に淹れたてのコーヒーをよく飲む。

婚約の破談とその後

天井のLED照明はブルーLEDとホワイトLEDと切り替えられる。ホワイトは夜間でもかなり明るい。
婚活でいろんな女性の方と話しをしていて、一緒に車中泊してみたいっていう話はないんですか?

「いやー、あっても困りますよ。あれはやっぱり一人じゃないと耐えられない。最初の1日~2日は良いかもしれないけど、この狭さだとね」。

婚活では話題にも出ないんですか? 小田原ドラゴン作品を読んでいないんですかね?

「どうなんですかね。そういえばこないだ、破談になった婚約者が7月に東京に来るっていうことになってたんだけど、その時東京ディズニーリゾートに行く予定だったんですよ。で、取っていたチケットが余ったから、面白いかなと思ってXで(同行者を)募集したんですよ。それでびっくりしたんだけど、80人くらい応募してきたほとんど、全てと言っていいぐらい、タダでディズニーに行けるからっていう理由で応募してきて」。

えー、小田原ドラゴンという人を知らないで応募してきたっていうこと?

「いうてもチケット代って1万円くらいじゃないですか。普通知らないおっさんとディズニー行くかね? なんなんだこの人たちはって(笑)」。

盟友・石川キンテツさんとの別れ

――この夏、小田原ドラゴンさんにはもう一つの事件があった。盟友だったライター・石川キンテツさんの訃報である。

「あ、面識がありましたっけ?」

私はお会いしたこと無いです。ただいくつか作品の中にも描かれていたので、随分昔から知ったつもりになってるような親近感がありました。だから驚きましたよ。小田原さんには相当ショックだったんじゃないかと。

「普通人が亡くなると、思い出してこうしんみりしたりとかっていうのあるじゃないですか。ちょっと涙ぐんだりとか。でも思い出すエピソード全てがしょうもなすぎて、そういうのはないっていう」。

――8月、小田原さんは婚約の話が破談となったことをキンテツさんにLINEで報告したものの、まったく返信が無かった。不審に思い、Xでキンテツさんの住所を知っている人を募集し、アパートを見つけることができたという。その住所を知る人は、生前キンテツさんがキャバクラ嬢のバースデーイベントに行くために、お金を貸していた人だった。

――そしてすぐにキンテツさんのマンションに急行したものの、既に亡くなっていた。
引用元/実話BUNKAタブー連載「うだつのあがらない生活」(コアマガジン)より。
漫画みたいな話ですけど、盟友としてのキンテツさんを偲ばないことはないでしょう。

「あれからキンテツの話をポッドキャストでしたりとかしているんだけど、やっぱりしょうもない話になっちゃって。それで不思議なんだけど、そのたびにガーっと雑音が入ったりして」。

――キンテツさんは誇り高い男だった。生前、しょうもない話で作品のネタにされると、その度に遠回しな抗議のそぶりを見せていたらしい。だからなのか、その魂は小田原さんの前に現れるのだろうか。

「でも僕、生前にキンテツ本人から自由に作品に使っていいっていう『石川キンテツフリー素材権』を5万円で買っているんですよ。だからまた描いてみてもいいのかもしれない」。

小田原ドラゴンさんのファンには、それでキンテツさんを偲ぶことができると思います。

次の旅は10月頃に北へ

あまり多くのオプションは選んでいないが、この窓用4連排気ファンは役立っているという。
10月以降はどこに行かれる予定ですか?

「北の方。雪の北海道とかは行くと結構いいんですよ。行ってる時は大変なんだけど、後から写真見返すと楽しいっていうか。その後、来年は南の方行こうかなと」。

道の駅とかでの描写も味わい深くて面白いですけど、地方のスナックとかキャバクラみたいな話とかっていうのは、毎回本当に面白いですね。

「キャバクラに行ったからといって、特になんなんだった話はではあるけど。だいたい地方のキャバクラとか行っても通えないじゃないですか」。
それにしても車中泊の旅で地方のキャバクラを巡っている話は面白いと思います。いっそ車中泊で嫁探しとかっていうのを、ライフワークとしてどうですか?

「70歳近くになってもやってるやつ?」。

そういう体で、実際にはご結婚されていてもフィクションなら。

「まぁ嫁は許さないですよ(笑)」。

そういうの込みでお嫁さん立候補としてきてるのかなと思ってたんですけど、そうじゃないんだとしたら、作品のファンは『邪魔するんじゃないよ』って感じの話ですよ(笑)。
小田原ドラゴンさんの作品。
左:ちょんぴーとの生活を描いた『ぼくと三本足のちょんぴー』(小学館 全3巻)。ちょんぴーへの愛情がひしひしと伝わるハートフルなドキュメント。右:自身の車中泊で日本一周の試みをベースにしたセミドキュメンタリー『今夜は車内でおやすみなさい。』(『ヤンマガWeb』(講談社 全11巻)。誰もが抱える葛藤と、自由への憧れに共感必至。
撮影・文/垣野雅史
  • SHARE   
  • facebook
  • twitter
  • LINE
  • Pinterest
同じカテゴリの記事一覧
RECOMMENDS