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 [LIFE]21世紀脳を持つ子供の育て方第11回「サンディエゴのハイテクスクールでわかったこと」

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[LIFE]21世紀脳を持つ子供の育て方第11回「サンディエゴのハイテクスクールでわかったこと」

2020.02.07

今、話題になっているアメリカのサンディエゴの『High Tech Haigh』を訪問。 そこでこれからの時代の子供たちに必要なアイデンティティを育てるかを学んできました。

昨年12月の中旬、カリフォルニア州サンディエゴにある『High Tech High』を訪問しました。日本からサンディエゴの直行便で空港に着き、まず目に入ってきたのは壁に書かれている〝Go Explore〟(未知なる世界へ飛び出よう!とか探検に行こう!の意味)という大きなサイン。到着ロビーには曲がりくねった長いはしごのオブジェが吹き抜けの天井を突き抜けるように青い空に向かってディスプレイされており、何か楽しいことがサンディエゴで待っている期待感が高まります。

インターナショナルスクール

今回訪れた『High Tech High』は、〝Most likely to succeed〟(※1)というドキュメンタリー教育映画で一躍有名になった学校で、Project Based Learning(PBL)(※2)と呼ばれるプロジェクト型学習を授業の中心においた大変ユニークなスクールです。何故1年で一番忙しい師走の時期に訪問したかというと、このスクール全体のエキジビションが学期末の年末に行われたからです。この学校のあるPoint Romaの街は瀟洒な住宅街なのですが、メキシコまで車でわずか20〜30分ほどのところに位置しているので、街中の建築物はどれもスペイン風です。 High Tech Highの正面玄関を入ると、とても学校とは思えない風景が目に飛び込んできました。天井は吹き抜け、教室の壁はドアもガラス張り。開放的に解き放たれたモダンな空間です。サンディエゴは海軍の街で沢山の基地があり、High Tech Highの校舎は海軍の使わなくなった倉庫を再利用していて、他に例を見ないくらいの巨大スペースです。そんな巨大スペースに数限りない沢山の生徒のプロジェクトの作品が上からぶら下がっており圧巻です。中には直径2メートル以上ある大きな時計、自転車のタイヤを組み合わせ連動して動かす作品、廊下を跨いだ大きな橋のオブジェなど巨大作品も多く、大変印象的でした。

インターナショナルスクール

さてエキジビションですが、特に心に残ったのが小学校でした。High Tech Elementary(小学校)はHigh school同様にチャータースクール(※3)で、公平にくじ引きで地域の様々な子供が入学してきます。また国境が近いこともあり、多種多様性に富み65%近くが非白人です。そのような背景からか、小学校1年生のプロジェクトはアイデンティティについてでした。教室に個人個人のブースがあり、そこで訪問者が質問をします。「自分のアイデンティティの中で何が一番重要ですか?」「それは何故ですか?」「人を知る前にその人を判断すべきでないのは、どうしてですか?」「自分のアイデンティティの中で、何を学びたいですか?」などです。あらかじめ質問のリストがあるのですが、生徒たちはこのような質問に答えられるようなプロジェクトをしています。日本の学校で「あなたのアイデンティティは?」なんて質問はまず出ないでしょう。国際化の波が押し寄せている現代に自分のアイデンティティについて深く学ぶことは、Self esteem(自尊心または自分を愛する気持ち)を高めるためにも、人をリスペクトするためにも必要です。

また小学校5年生の展示と発表はエベレストについてでした。エベレストについての地理的なこと、雪崩についてのサイエンス研究、そしてエベレストに関わった人の伝記、resilience(精神の強靭さ)についてのエッセイや詩の展示など。とても上手いクロスカリキュラ(※4)のPBLになっていたと思います。

素晴らしいエキジビションでしたが、何事にもPros and cons(長所と短所)があります。我がローラスでは生徒が興味を持って挑戦できるプロジェクト型の学びを大事にしながら、しっかりとした基礎学力をつけるための教科学習をバランスよく学べるように、時代に合わせて変化し、努力しています。

Most Likely to Suceed(※1)
直訳すると、最も成功する可能性の高い教育。AIなどデジタル科学技術が急激に発展し、ものすごい勢いで変化しているデジタルシフトな時代において、100年以上変わらない従来型の古い学校教育の課題を明らかにしていくドキュメンタリーフィルム。世界中で上映されて話題に!

Project Based Learning(※2)
プロジェクトを通して、生徒たちが課題解決のために探求心を持って学び、時代に合った知識や未来に役立つスキルを身に着けていくこと。

チャータースクール(※3)
アメリカで1990年代に始まり2000年代に入ってから増えている新しいタイプの公立校。独自性と、アートや数学やコンピュータなど特定の分野に特化したカリキュラムの教育を行う研究開発校。公立の認可と支援を受けて、保護者、地域住民が設立運営。全米では現在7000校以上のチャータースクールがある。

クロスカリキュラ(※4)
国語、算数、理科などの教科の垣根を超えて、横断して包括的に学ぶカリキュラム。

インターナショナルスクール

日置麻実さん
ローラスインターナショナルスクールオブサイエンス 学園長
東京、神奈川に8校のSTEMインターナショナルスクール、英語スクールを運営。日本に未来のイノベーターをたくさん輩出することを使命とする。上智大学外国語学部英語学科卒。

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