TOP / LIFE / 第16回/コロナ感染症によって我がスクールのデジタル教育環境は一気に10年先まで進みました!
第16回/コロナ感染症によって我がスクールのデジタル教育環境は一気に10年先まで進みました!

第16回/コロナ感染症によって我がスクールのデジタル教育環境は一気に10年先まで進みました!

世界中の多くの皆さんが自宅待機を余儀なくされた新型コロナ感染。その影響は、もちろん学校教育にも。常日頃から宿題や課題などiPadやPCを使ったデジタルラーニングを取り入れていた我が校でも、自宅でも授業が全て行えるように、さらにデジタル化が急速に進みました。もっと日本の教育もデジタル化推進がより早く進むことを望みます。

緊急事態宣言が明けた6月1日朝、我がインターナショナルスクール、ローラスでもマスクをした生徒たちが次々に登校。2ヶ月ぶりの登校で生徒たちが興奮して、先生たちに抱きついてしまうのではという心配を見事に裏切り、ソーシャルディスタンスを守った落ち着いた再開になりました。それもそのはず、生徒たちはオンライン授業で毎日会っていたのですから。


3月下旬、緊急事態宣言のウワサがちらほら聞こえてくる中、ローラスの初等部はオンライン授業の準備を始めました。ローラスの授業はSTEMカリキュラムですので、元々ITに強い先生が多かったこともあり、わずか2週間でオンライン授業の準備を整えることができたのです。オンライン授業が始まると朝9時までに先生が、その日のレッスンのビデオと課題をオンラインにアップロード。生徒は午前中ビデオを視聴し課題に取り組み、提出物をアップロードしていきます。そして午後2時にGoogle meetでホームルームがライブで行われます。いくつかのグループに別れてゲームをしたり、おしゃべりしたりとソーシャルタイム(※1)を楽しみます。先生の作ったビデオの数々はとても工夫が凝らされており、グリーンスクリーンを使ったり、背景を宇宙やビーチにしたり、アニメーションや効果音を使ったりして、生徒たちが飽きないように趣向を凝らしていました。また課題も楽しいモノばかりで、この春の新1年生はまだ実際に会ったことがないクラスメイトたちに自己紹介ビデオを作り、プロフィールを発表。高学年の授業ではOne harmony(ワン ハーモニー)という音楽の課題をこなしました。それぞれのパートを歌って録音したモノを生徒全員で合唱しているように先生がまとめ上げて、オンラインで披露されました。サイエンスの授業では海水の淡水化をテーマに、淡水化するための装置デザインがオンライン上に提出されました。まさに生徒たちが皆立派なデジタルエンジニアになりました。


常日頃からiPadやPCを使ったデジタルラーニングの授業はあったので慣れてはいるものの、スクールでの毎日の学びが全てオンラインになってしまったことは、皆にとってショック以外何物でもありませんでした。コロナによって時代の変化を否が応でも思い知らされ、デジタル化を迫られました。このコロナの状況下の2ヶ月間だけで、我が校の教育に10年先までに匹敵するデジタル変革をもたらしました。また生徒たちに大きな成長と時代変革のインパクトを与えました。


インターナショナルスクール


デジタルの世界では、人は物理的には孤独です。その孤独の中で学ぶことが、子供の自立を促すことになりました。オンラインでは、毎日全員が時間割りに沿って1日の授業が進んでいきます。オンライン授業によって、生徒が自分の課題を見ながら1日の予定を自ら立てることができるようになりました。またPython(※2)をキャッチアップしなくては…とか、ライティングではもう少しディテールを書かないと…とか、学習の改善点を自ら発見できるようになったと父兄から喜びの報告も。今までのリアルな授業では手をよく挙げて積極的にアピールできる生徒が目立ち、発言の機会が偏っておりました。でも、オンライン授業で発言の機会がフラットになりました。課題についてプレゼンを動画に撮って提出する宿題も多く、全員が動画を提出するカタチになり、普段あまり発言しなかった消極的な生徒がユーモアに富んだとてもいいプレゼンをする姿も見受けられました。今回の自宅待機によるオールデジタルラーニングの授業で毎日課題を必死でこなすうちに、生徒たちは必然的にITのスキルが身に着いたようです。


最初のうちは恐る恐るビデオをアップロードしていた生徒たちは、今では課題の動画に音楽を入れたり、授業以外で遊びながらお互いに動画を送り合うまでに成長。この2ヶ月間のデジタルラーニングを頑張った生徒たちが得た学びは、ますますデジタルシフトが加速していく未来に向けた大きな自信となりました。まさにニューノーマル(※3)な時代の、ニューノーマルな学びとなりました。


ソーシャルタイム(※1)
社交の時間。学校では休み時間や放課後などが子供同士の社交の時間になりますが、ローラスではホームルームがそれに相当。


Python(※2)
今最も人気のあるプログラミング言語の1つ。AI(人工知能、機械学習、深層学習)など最先端分野の開発にも使われています。Pythonは文法が簡単なため、 プログラミング初心者でもアプリケーション開発ができるのです。


ニューノーマル(※3)
世界的な大きな変革によって新しく生まれた様式や、新しい常識。今回の世界的な新型コロナウィルス感染で、人々の働き方や購買行動が大きく変化しました。ニューノーマルな働き方としてのリモートワーク、ニューノーマルな買い物としてEC主導、ニューノーマルな人との距離感としてのソーシャルディスタンス。他にもミーティングや飲み会などあらゆる生活習慣がニューノーマルに。


インターナショナルスクール


日置麻実さん
ローラスインターナショナルスクールオブサイエンス 学園長
東京、神奈川に8校のSTEMインターナショナルスクール、英語スクールを運営。日本に未来のイノベーターをたくさん輩出することを使命とする。上智大学外国語学部英語学科卒。

  • SHARE   
  • facebook
  • twitter
  • LINE
  • Pinterest
同じカテゴリの記事一覧
RECOMMENDS