[九島辰也のDRIVEN MADURO]ポルシェ好きパパ必見!少しマニア向け試乗インプレッション
昨年11月LAオートショーでワールドプレミアされた新型ポルシェ911、コードネーム992の国際試乗会に参加しました。場所はスペインのバレンシア。その郊外と、リカルド・トルモという1周4kmのサーキットを使ってのテストドライブです。モデルはカレラSとカレラ4S。ともにLAオートショーでお披露目されたもので、スタンダードのカレラやカブリオレなどはまだ先のようです。エンジンはともに3ℓ水平対向6気筒ターボ。最高出力は450hpを発揮します。
さて、ディテールはともかく、今回は走らせた印象に言及しましょう。
まずドラポジはこれまでとなんら変わりません。ヒップポイント、ステアリングの握り具合、フロントウィンドウ越しの視界は従来型と同じ。ついでにいえば、キーシリンダーの位置も変わりません。
走り出して感じるのはさらに高まったボディ剛性で、これまでも「堅牢なボディ」と形容してきましたが、それを上回ります。それでいて足がしなやかなのも付け加えましょう。サーキットでは路面に張り付くような動きですし、段差の上下動もほとんど許容します。フロント20インチ、リア21インチという新しい試みは成功です。
さらに進化したのは正確性を高め、クイックレスポンスになったステアリングとスポーツプラスモードでのアクティブなギアのプログラミング。どちらもサーキットではレーシーさ全開で、「ここ!」というタイミングでギアの上げ下げをし、かつブリッピングを奏でます。もはやパドルも無用ですね。
PORSCHE 911 CARRERA S / ポルシェ 911 カレラ S
価格未定
開発陣が用意した2つの特別ステージ
試乗車はLAショーでデビューしたカレラSとカレラ4S。今回は一般道のほかにサーキットとウェット状態にしたゴーカートコースが用意されていました。性能を体験するのに十分な設定です。
このクルマをテストするにはそれなりの環境が必要
目玉は1周4kmちょっとのサーキット走行。レーシングドライバーであるインストラクターの後をなぞりますが、かなりのペースであることは言わすもがな。その領域で性能を発揮します。ここではハンドリングの正確さとブレーキ性能の高さが際立ち、従来型よりもパワステはクイックになりました。
定番をおさえながらも未来感も感じさせるデザイン
ダッシュボードは横一線を強調したデザインで、ナローの時代をオマージュしたもの。なので、過度な演出はなくシンプルに仕上がっているのが特徴です。
目の前の5連メーターは今回も健在。真ん中だけリアルであとは液晶。右2個分でナビを映すことも可能です。そしてダッシュボードセンターには横長のモニターが備わります。センターコンソールのスイッチが少ないのは、そのほかのスイッチがこの中に移動したから。
脱いだらスゴイ! のは一目瞭然なんです
サーキットもワインディングもそうですが、操縦安定性も特筆ポイントといえます。今回リアがワイドボディに統一されたほかに、じつはフロントのトレッドもワイド化されました。その恩恵は大きそうです。ロールを抑え、スッと鼻先がステアリングを切った方向へ向くときの感覚はたまりません。
そんな基本性能の向上とともに注目すべきトピックスは、ウェット性能の飛躍的な進化です。LAオートショーのときに、彼らが語っていた真意がここで体感できました。
具体的にはホイールハウス内に仕込まれたセンサーが濡れている路面を感知すると、まずドライバーにウェットモードにダイヤルを合わせることを促します。そこでモードを切り替えると、PSMやPTMといった統合的な電子デバイスが作動し、信じられないほど安定した走りをみせます。4SではなくRWDで、です。アクセルを踏んだまま微妙にイン側にフロントが入っていこうとしても、そこで抜群の制御が働き、リアが飛び出ることはありません。もちろん、アクセルに対する出力は制御されていますが、この動きはまるでマジックです。
といったように全天候型ともいえそうな進化を遂げた911は、今回もまた人気者になるのは必至。スタイリングも嫌味なく未来的に進化していますから。サーキットのプレゼンテーションルームではカブリオレが展示されていました。これももうすぐ。個人的にはタルガの登場が待ち遠しいですね。とにもかくにも、911にハズレくじはなさそうです。
ある意味ここも911の定番アイテム
当たり前のことですが、911のリアにはエンジンが積まれます。よってフロントボンネット下にはご覧のようにトランクルームが備わることになります。相変わらずの深さを有しており、意外にも荷物を積めるのがポイント。
プラス2となるリアシートは、今回バックレストと座面の幅がそれぞれ2mmづつ拡大されました。だからといって座り心地がよくなるわけではないですが、この辺は気配りと言えるでしょう。
見えないところはハードウエアでキツキツ
写真は992型の断面図。ボディパネルの下はかなりキツキツにハードウエアが装備されていることがわかるでしょう。ハーネスや電気系コードでいっぱいです。
理にかなった仕組みで名場面での性能を発揮
リアスポイラーにはたたんだ状態以外に2つのポジションがあります。90km/hで立ち上がるエコポジション、150km/hからのパフォーマンスポジションです。ただし、スポーツ、同プラス、ウエットモードでは90km/hでパフォーマンスポジションになります。目的はダウンフォースの発生で、濡れた路面でのトラクションを確保します。
歴代モデルを並べるとわかる進化の度合いとその意味
1963年デビューからの伝統ある911のモデルチェンジらしく、992の試乗会場には歴代モデルが並んでいました。個人的に目を奪われるのはナローですが、どれも個性的。徐々にエアロダイナミクスがよくなっていること、サイズアップしていることを確認できます。
911ファミリーの構築はまずはカブリオレから
会場にはなんとカブリオレも展示されていました。これに関しては特にアナウンスはありませんでしたが、意外とすぐに展開されそうです。911ファミリーが構築されるのも時間の問題。カブリオレやタルガ、GT3、GT2、ターボSの登場が待ち遠しい。
問い合わせ先
ポルシェカスタマーケアセンター ☎0120-846-911