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【インタビュー】ボンゴ ブローニィ ✕ VAN LIVING 簡単なDIYで楽しめるリビング化の発想とは?

【インタビュー】ボンゴ ブローニィ ✕ VAN LIVING 簡単なDIYで楽しめるリビング化の発想とは?

3月、2日間にわたり埼玉県飯能市の「メッツァ RV パーク」で開催された、愛犬と楽しむ車中泊イベント「VAN WAN LIFE」(バンワンライフ)。イベントに参加・出店していた石渡尉浩さんの車内は、車中泊仕様によくあるベッドルームではなく「リビング」だという考え方とは?

クリエイティブな心を満たす、シンプルなボンゴ ブローニィ

石渡尉浩(いしわたり やすひろ)さん。1966年神奈川県出身。会社員をしながら、カセットテープのイミテーションを使ったアクセサリーショップ「マキモドシ」を運営している。
仲間内で「カルマン」と呼ばれる石渡尉浩さん。そのあだ名は、彼が20代の頃に乗っていたフォルクスワーゲン カルマンギア(※)から。先輩にそう名付けられ、気づけば40年ほど、今ではその愛称がすっかり定着しています。
※フォルクスワーゲン カルマンギア = 1950~70年代に製造されたクーペ。
そんな石渡さんの現在の相棒は、2007年型のマツダ ボンゴ ブローニィ。中古車で乗り始めて7年目となるこのクルマには、従来の「車中泊仕様」という概念にとらわれない、自由な発想がありました。まずは彼の愛車が今の形になるまでを聞いてみました。
石渡さん 「20代の頃のカルマンギアに始まって、アメ車のバンに乗ったりもして、これまでずっとクルマは好きでした。途中、都内でアパレル店を自営していた時期が10年ほどあって、その間はクルマを手放してしまい、乗っていなかったんです」。
― そこからなぜ、このボンゴブローニィに辿り着いたんですか?
石渡さん 「埼玉県に引っ越したタイミングで『やっぱりクルマを買おう』と思って。ちょうどVAN LIFE的なことをやりたい時期だったこともありました。当初はフォルクスワーゲンのタイプ2バス(※)が欲しくて探したんだけど、価格を見て驚いてしまって(笑)。さすがに高価過ぎて手に入らないと思ったし、そういうクルマにDIYで穴開けたりとかもできないじゃないですか」。
※フォルクスワーゲン タイプ2 = 主に1950年代~70年代に製造されたバンやワゴン。近年は中古車価格が高騰している。
― それで国産の商用車に注目したということですね。
石渡さん 「そう。なるべくフォルクスワーゲン タイプ2の形に近いものを探したら、ボンゴ ブローニィに辿り着きました。中古車販売店を一生懸命探して、ようやく名古屋に1軒、良い店を見つけたんです」。

「商用車ばっかり扱っている店だったので、『自家用で使う』って言ったら驚かれました(笑)。でも、その店主がめちゃくちゃいい人で、電話で問い合わせた後、動画や写真を細かく送ってくれて。ディーゼル車を希望したら「これが一番いい」と勧めてくれた一台で、実車を一度も見ずに買いました」。
― ちなみに、いくらぐらいで購入したんですか?
石渡さん 「当時、乗り出し価格で70万円だったかな」。
― その価格は魅力的ですね。名古屋で買って帰りはそのまま運転して帰ってきたということですが、どんな印象のクルマだったでしょうか?
石渡さん 「初めて乗ったその時は音が『うるせぇー』と思いました(笑)。でも、もともとカルマンギアに乗っていたし、エンジンの音は嫌いじゃなかった。お尻の下にエンジンがあって、うるさくて熱い。それがクルマらしくて面白いなって思いましたね」。
レトロなアイテムも好きで車内に飾っている。

穴を開けるところから始まった、DIY初心者のバンライフ

― このボンゴ ブローニィを買ってすぐにDIYでカスタムをし始めて、初めからうまくいったのでしょうか?
石渡さん 「それまでクルマのDIYなんてやったことなくて。最初は天井のカスタムからやり始めたんだけど、ボディの鉄板に穴が開かない。その時持っていたのは、おもちゃみたいなIKEAの電動ドリルだけ」。

「もう『完成まで何年かかるんだろう』って思いながら、『もしかして道具が悪いのか?』と思いはじめたりして。それでちゃんとしたドリルを買ったら、穴がスポスポ開く(笑)。本当にそんなレベルからのスタートでした」。
― その時はどんな内装に?
石渡さん 「最初はセオリー通り、伸びるベッドを作ったり、水回りを作ったり、棚を作ったりしていました。ただ、イベントに乗って行くと、見てくれる人が『凄いですね』と褒めてくれながら、『自分には無理だな』って言われることが多くて」。
― がんばるほどリアリティ無く見えてしまったのでしょうか。
石渡さん 「そう、自分のクルマがVAN LIFEのハードルを上げちゃってるんじゃないかと。だったらもっと敷居を低くしようと思って、一旦、作ったものを全部下ろしちゃったんですよ」。

ベッドルームではなく「リビング」を作ろうと思うきっかけ

このイベントで石渡さんのボンゴ ブローニィは、「VAN LIVING」という楽しみ方を提案しました。快適に”眠る”ベッドルームではなく、車内で”くつろぐ”リビングにするという発想。VAN LIVINGについて石渡さんに伺います。
― せっかく作ったベッドルーム、全部下ろした後はどうしたんですか?
石渡さん 「キャンプ用のコットを入れたり、家にあるソファを置いたりして、一生懸命DIYをやらなくてもバンライフができることを発信するようになりました」。
― VAN LIVINGというスタイルは、その頃に生まれたのでしょうか?
石渡さん 「そうですね。よくイベントで『中にも入ってみてください』と言うんだけど、そこがベッドルームだとなんかモヤモヤするんですよ。僕は平日は会社員で、クルマの中に住んでいるわけじゃないし、寝る時間だってほんの数時間。そのための部屋をベッドルームだけに使うのはもったいないし、人(お客さん)を入れるならベッドルームじゃない方がいいに決まってる。それで『リビングにしよう』と決めたんです」。
― シンプルながら、VAN LIVINGというのは素敵な発想ですね。
石渡さん 「勝手に言い始めました(笑)。このリビングに置いているものは、農家さんが使う収穫用のカゴに、蓋や脚をつけてテーブルにしたり。そんな誰でも作れるような物しか置いていません。車内のレイアウトも自由なままにしたいんですよね」。
― 床がフラットなのも、リビング感ありますよね。
石渡さん 「このボンゴ ブローニィは小径ダブルタイヤのモデルを選びました。タイヤハウスの出っ張りが無いから、最初から床面がフラット。下にカーペットを敷けば走行中でも家具は意外と動かないし、急ブレーキさえ踏まなければリビングの状態を保てます。元から商用車だから、あまり加速もしないし(笑)」。
― 今はDIYを一通り終えたのでしょうか?
石渡さん 「最初の車中泊仕様からいろいろやり尽くして、それを一旦全部下ろして、今は何か新しいことをやろうとは思ってないかな。ただ、飽きっぽいんで、飽きたらまた変えればいいかな」。

どこでも行けて、どんな状況も楽しめるVAN LIFE

今回のVAN WAN LIFEイベントでは、ボンゴ ブローニィの展示だけでなく、「マキモドシ」というショップ名でワークショップも開いていた石渡さん。世代によっては懐かしい、カセットテープ(イミテーション)を使ったキーホルダーや、カードケースを作ることができました。
「マキモドシ」のワークショップコーナー。
石渡さん 「もともと音楽が大好きで、アナログのレコードやカセットテープで育った世代です。カセットテープの形って可愛いじゃないですか。何かに利用できないかなと思うところから始まって、このワークショップのスタイルになりました」。
― ワークショップを出店するための荷物も、ボンゴ ブローニィは活躍してくれそうですね。
石渡さん 「荷物もたっぷり積めるし、どこに行くにも便利です」。
― 長距離のドライブはどんな感じですか?
石渡さん 「一番遠くだと、九州の佐賀県まで行きました。高速道路の巡航速度は80キロがベストかな、そのくらいなら音もうるさくないし、僕はのんびり走るタイプなのでちょうど良いかな」。
― 総走行距離が16万キロを超えるクルマですが、エンジンなどクルマのトラブルはなかったですか?
石渡さん 「無いですね。その九州に行った時は大雨で関門海峡が封鎖されて大変でしたけど、このクルマならどこでも寝られるし。トラブルではないけど、寝る前にSAで軽油を入れた時に、給油口のキャップをスタンドに置き忘れてきちゃったみたいで。なんだかずっと軽油臭いなと思ったら、なんと蓋が無いまま走ってました」。
― アメリカ人みたいですね(笑)。やっぱり日本の商用車は頑丈なんですね。
石渡さん 「ただ、去年からエアコンの風を送るモーターが壊れちゃって。もう生産していなくて部品も無いみたいだから簡単には直せないんですよ。今年の夏までにはなんとかして直そうと思ってますけどね」。
気負ったところが一切ない、石渡さんのVAN LIFE。「VAN LIVING」とともに日本全国を旅しながら、その快適な空間はこれからも石渡さんの気分に合わせて、ゆるやかに姿を変えていきそうです。
撮影/垣野雅史
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