千載一隅の超絶クルマ「スーパーカーの天才が作る次世代の最新スポーツカーとは!?」
Gordon Murray Automotive T.50
20世紀最後のスーパーカーと
その設計者をご存知ですか!?
突然ですが、ゴードン・マレーという人を知ってますか? えっ、知らない!? あっそう、んじゃあマクラーレンF1というクルマも知らないですよね? おっと、ご存知ですか、やっぱりMADUROパパはクルマ好きなんですな。そう、あの1992年に発表されたロードゴーイングF1マシン…当時1億円もした名車です(詳しくは、おせっかいな解説3を参照)。
そのマクラーレンF1を作ったのが、ゴードン・マレー氏です。この20世紀最後の名車を作るために、マクラーレン・カーズ社はチーフエンジニアとしてゴードン氏を招聘。氏は「マクラーレンF1の最大の美点は、パッケージングでなければならない」と語ったとおり、F1マシンをそっくりカウルに納めた空間的機構レイアウトはまさに秀逸! なにしろ小型スポーツカーのサイズに6リットルV12エンジンを搭載し、3名を乗車させたうえにラゲッジスペースさえも納めたんですから。ゴードン氏の傑作は時代が変わっても色褪せることなく、その価値と氏の名声は世界中のスポーツカーファンの間で語り継がれているのです。
さて、そんな鬼才がこの夏、またまたとんでもないクルマをリリース。T.50は車重たった986㎏のくせに700馬力なので、まともに公道を走れるのかクルマ好きのMADUROパパは心配でしょう!? その秘密(=性能)は次のページで語っていますので、熟読してくださいませ。
ゴードン氏の天才的なパッケージングで
実現した驚異の3シートレイアウト
T.50のボディサイズは現行のポルシェ911よりも小さく、ミッドシップにV12エンジンを搭載するのに、中央の運転席とその両脇やや後方に2座席…計3シートレイアウト。その3つのシートはすべてバケットタイプで、素材はカーボンファイバーです。トランスミッションは6速MTなので、ここ最近オートマしか運転していないパパは、発売の2022年までに“マニュアル”を練習しておきましょう。
ゴードン氏の才能が凝縮した
ハイパフォーマンスに感服
クルマは道路上を加速、旋回、減速、そして停止します。それらはまぎれもない〝運動〟ですから、物理の法則から逃れることはできません。つまり、軽ければ軽いほど加速から停止における運動性能に優れる…と、ニュートンも言っております。その点このT.50なんですが、車重はなんと、たったの986㎏しかありません。で、3.9リットルV12エンジンとマイルドハイブリッドシステムのブーストモードによって、700馬力を発揮するんですから、そりゃあそりゃあとんでもなく速いに決まってます。でもね、あまりに軽すぎると、それこそ空に飛んでっちゃうかもしれません。
そこでゴードン氏はボディ後部に大型ファンを付け、ボディフロア下の空気を強制的に後方へ吸い出すようにしたんですな。すると、強烈なダウンフォースが生まれて、T.50は道路上を確実に疾走するってワケ。これってかつて氏が設計したF1マシンで採用した装備と同じ原理ですから、効き目は抜群です。T.50は決して空を飛びません。あ〜良かった、これでパパもホッと一息…おっと、T.50は3名乗車なので、ママもキッズも安心です。
そんな鬼才ゴードン・マレー氏の新世代超々スーパースポーツカーのお値段は、日本円で約3億2735万円!発売は2022年からの予定なので、それまでにお金をせっせと貯めてはいかがでしょうか。限定100台とはいえ、万がイチ買えたとしたら何十年経っても値落ちはしないので、投資としてもよろしいんじゃないでしょうか。
先進のエアロダイナミクス性能と
徹底した軽量化戦略が融合したボディ
独自設計のカーボンファイバー製モノコックを採用したボディは、有機的(イキモノ的)なフォルムが魅力。往年のマクラーレンF1もそんな感じだったので、きっとゴードン氏がお好きなデザインなんでしょうな。軽量化は徹底されており、ボディパネルはカーボンファイバーで、ブレーキはカーボンセラミック。ガルウィングを跳ね上げるとジェット戦闘機を思わせるようなインテリアが出現し、ドライバーの琴線を刺激します。
ゴードン・マレー・オートモーティブ T.50が3分でわかる「おせっかい解説」
①ゴードン氏の意地が蘇った!?先進的エアロダイナミクス性能
車体後部に装着されている直径400mmのファンに注目。走行中このファンを回転させることによって、ボディフロア下の空気を強制的に後方へ吸い出します。すると、ボディと地面の間の空気が薄くなり、ボディは地面に吸い付くように安定! 実はコレ、ゴードン氏が1970年代に設計したF1マシン、ブラバムBT46Bの仕組みと同じなんです。"ファンカー"という異名をとったBT46Bは1978年のスウェーデンGPで初投入されていきなり優勝したんですが、「ルール違反じゃね!?」とクレームがついて、それっきりF1参戦は無し! う〜む、42年経った今、ゴードン氏はその遺恨を晴らしたのでしょうか!?
②時代を超えてエポックメイキングなクルマを作り出す天才デザイナー
南アフリカ出身のカーデザイナー。1969年にレースエンジニアとしてブラバムに就職すると、めきめきとその才能を発揮します。三角形の断面を持つピラミッドモノコックやファンカーとして知られるマシン(おせっかいな解説1参照)、またいち早くウィングやカーボンブレーキディスクを導入するなど、画期的なアイデアと技術で1970年代前半から1980年代前半にかけてF1界で大活躍。マクラーレンを経由して、1991年からはロードカーデザイナーに転身し、名車マクラーレンF1を作り出します。現在はゴードン・マレー・オートモーティブの責任者として、さらなる名車を設計し続けています。
③ゴードン・マレー氏が手がけた正真正銘のスーパーカー
F1マシン設計者である氏はドライバーの乗車位置、エンジン搭載位置など、クルマのパッケージングはF1そのままで、それをそっくりそのままカウルに収めてロードゴーイングカーを作ったのです。BMW製の6リットルV12エンジンは636馬力を発揮し、最高速度は391km/hを誇ります。車両価格は当時の相場で約1億円でしたが、売れば売るほどマクラーレン・カーズ社は赤字だったそうです。そんな常識はずれのクルマを作れたのは、ゴードン氏の才能と技術はもちろんですが、巨大なオイルダラーが資本の超お金持ち企業のTAGがバックについていたから。そうしたDNAは、T.50にも脈々と受け継がれているのは間違いありません。
SPEC
Gordon Murray Automotive T.50
ゴードン・マレー・オートモーティブ T.50 236万ポンド(約3億2735万円)
ライトウェイトスポーツカー並みのボディサイズ(車重は軽自動車並み)に、700馬力のV12エンジンを搭載。そのパフォーマンスを遺憾なく発揮させるために、強力なダウンフォース獲得用の大型ファンを搭載。速さを追求するため、天才的な発想&技術と莫大なお金を注ぎ込んだ超々スーパースポーツカーです。エンジン:V型12気筒、排気量:3994cc 最高出力:663ps/11500rpm、最大トルク:467Nm/9000rpm、全長×全幅×全高:4352×1850×1164mm、車両重量:986kg。