お茶屋の娘が教える!冬の京都は、精力鍋! すっぽん、熊、猪、鴨、鶏すき…野趣溢れる滋養たっぷり系
すっかり寒くなってきたました。となると冬の料理といえば、やっぱり温かいお鍋ですよね。冬の京都は、お鍋もいろいろ美味しいところがあります。精力溢れる地元の旦那さんたちは、野趣な鍋で、身体をポカポカ元気にしています。
そこで、まずは絶対に食べて欲しいお鍋が、比良山荘(※1)の月鍋。なかなか予約が取れないのですが、絶対に行っていただきたい! 私が今まで食べたお鍋の中で、一番美味しいお鍋なんです。月鍋は、月の輪熊の鍋。熊の肉って、鍋にするととても美味しいんです! 熊のお肉の回りは、脂が3分の2くらいあるんですが、お鍋に入れると、それがフワッと溶けるんです。味は全然脂っこくないんです。この味のインパクトが凄い! 熊のお肉と青ネギを入れて、その後にクレソンを入れてます。で、一皿食べたら、私は熊の鍋の中に、追加して猪のお肉を入れます。いわゆる熊コラボぼたん鍋です。熊の出汁に猪のお肉がすっごく合うんですよね。で、お肉を食べた後に、最後に栃餅を入れて雑炊にするんですが、それがとてもお肉の旨味を吸っていって、たまらない味わいになるんです。この鍋を食べた次の日は、肌がツルツルピカーンと輝いています。それと、こちらの店の廊下にはワインセラーがあって、ラインナップが素晴らしいので、月鍋とワインの組み合わせもぜひ試してみて欲しいですね。
それと逆鉾(※2)のちゃんこ鍋も人気です。ニンニクがとても効いていて、初期の風邪なら一発で治りそうなくらい! 名物の女将さんがいらっしゃって、お忍びで著名人も来ています。私はちゃんこ鍋なら、ここの味が一番好きです。シンプルでパンチが効いている。団子が絶品。値段が高くないのもいいです。
最初に比良山荘の熊鍋に、猪を追加でぼたん鍋にするのが美味しいと言いましたが、ぼたん鍋単体なら、畑かく(※3)もおすすめ。とにかく山の慈悲のお鍋! 山菜とごぼうがたっぷり入っていて、お味噌の味が染みわたり、食べやすい味。お店は山の中にあり、囲炉裏があったりして、雰囲気がとてもいいんです。
すっぽん鍋なら絶対に、大市(※4)。著名人が多く来店。水炊きは、西陣 鳥岩楼(※5)。子供の頃は、ここで鶏すきもよくいただいていました。京都といえば、鱧! 夏のものになりますが、鱧しゃぶもおすすめ! 祇園の割烹なか川(※6)が最初に始めたのですが、他には、たん熊(※7)でも出しています。たん熊は、すっぽん鍋もやっています。旬席鈴江(※8)の鱧しゃぶも美味。でも、値段も高い…。予約も取りにくいんですが、今からなら来年の予約が取れるかも! 鱧しゃぶは、お店によって出汁が全然違います。甘辛い出汁の鴨しゃぶもあります
最後に、私が子供の頃から大好きなのが、割烹やました(※9)のどじょうの柳川鍋。焼き鱧も美味しいお店で、ひと通りいろんな料理を食べた後の、〆の鍋。ここは気取っていなくて、地元の人がよく行くお店ですね。舞妓さん芸妓さんもよく訪れています。気軽に食べたいものを頼める雰囲気がいいんですよね。料理長に「今日はね、これが食べたいねん」。「いいよ〜」って、カウンターでのやり取りがいいんです。京都には海がないので、京都の地産地消と言えば、基本的に山の味覚が中心になります。比叡山に入れば、熊や猪が穫れる。山菜や京野菜がある。海鮮ではない、山の慈悲のお鍋をぜひ召し上がっていただきたいです。
比良山荘(※1)
鹿や猪、熊など創意工夫あるコース料理がいただけます。月の輪熊とイノシシ肉の鍋は絶品。
https://tabelog.com/shiga/A2501/A250101/25000772/
逆鉾(※2)
1966年創業のちゃんこ鍋や。鶏ガラ醤油ベースのスープの鍋です。歌舞伎役者や芸舞妓さんにも人気。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260201/26001195/
畑かく(※3)
大正7年創業の元祖ぼたん鍋のお店です。白味噌仕立の鍋が京都らしい。11月から3月まで食べられます。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260503/26001522/
大市(※4)
340年の歴史を誇る、すっぽん一筋のお店。メニューはすっぽん鍋のコース1本だけという潔さ。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260203/26000493/
西陣 鳥岩楼(※5)
京都の人は鶏肉を「かしわ」と呼んで、水炊きやすき焼きにしていただきます。西陣でかしわ料理といえば、ここ。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260501/26001030/
割烹なか川(※6)
京料理の割烹であり、京都の夏の風物詩でもある鱧しゃぶの元祖。鱧づくしのコースが人気です。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260301/26002780/
たん熊(※7)
昭和3年創業。四季折々の趣向を凝らした真心の伝統を受け継いだ京料理として知られている。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260201/26001494/
旬席鈴江(※8)
素材の素晴らしさは京都随一とも言われている人気の名店。食べログ☆4.61という高評価で予約困難店。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260301/26014309/
割烹やました(※9)
京料理割烹のお店。カウンター席で板場の活気や会話を楽しみたいもの。どじょうのコースもあり。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260202/26001867/
案内人
お茶屋生まれの実業家
栄藤仁美さん
京都府出身。事業家。お茶屋の娘として生まれ、幼少時より企業の社長、歌舞伎役者、芸能人などセレブリティとの交流を持つ。花街はもちろん、B級から一見さんお断りの一流店までグルメに詳しい。