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MADURO STYLEの家創り第24回「東京から移住!大きなリビングと庭のアメリカな家/後半」

MADURO STYLEの家創り第24回「東京から移住!大きなリビングと庭のアメリカな家/後半」

納得住宅工房が建てた家の魅力に迫るご自宅探訪企画。今回連載24回目は、前回ご紹介した静岡市清水区の高台にあるチャップマンさん邸を、納得住宅工房社長の久保社長が建築家目線でヒモ解きます。“3人の子供とダイナミックに広々幸せに暮らせる家” ならぬ、30人のママと子供が集まっても平気なほどの広さを誇る空間と、その設計の秘密について、さらに東京から静岡に移住するメリットについてお聞きしました。

大久保 チャップマンさんのご自宅にお邪魔してきました。ダイナミックという言葉があれほど似合う家は、そうありませんね。とにかくドーンと広いし、天井も高い。200坪の土地の広さはちょっとした小旅館並みですよね!


久保 しかも高台に200坪ですよね! 天井も6mあります!


大久保 東京だったら10億円くらいはしますよね!?  広い芝生の庭もさることながら、巨大なリビングと家族のプライベートゾーンの各個室に続く長い廊下のコンビネーションがかなり斬新だと思いました。あの設計にはどういう意図が込められているのでしょうか?


久保 ご夫婦とも富士山に強い思い入れがあるようで、山のてっぺんという立地で、高台の向こう側が崖になっているため、半永久的に視界が遮られないことも、あの土地を選んだ理由だとおっしゃっていましたので、まず一番最初に一番パワーのある富士山を囲むように設計しました。つまり北側に開けているワケで、建築のセオリーからすると光が入らないから、絶対にあり得ない設計なんです。でも、そこは、光を取り入れるのが得意な納得住宅工房の出番です。可能な限り大きく窓を設けたので、十分明るい家に仕上がっています。しかも高台の大きな窓から全面に富士山が眺められる…リビングからも、家族のプライベートゾーンに続く長い廊下からも、もちろん一番奥にある夫婦の寝室からも、富士山の全貌を眺められます。


大久保 富士山側が北だったんですね。お昼過ぎにお邪魔したのですが、北側に明るさを採っていることを全く感じさせないくらい自然光がたくさん入り、明るかったです。ちなみに住み始めてから3年以上経っているのに、まだカーテンやブラインドをつけていませんでした。いつか理想のものが見つかったら、つけます!とチャップマンさんはおっしゃっていましたが、リビングや廊下や寝室の窓の向こうは芝の庭と崖斜面なので、周りから覗かれるような立地ではないため、もはや必要ないのでしょう。


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久保 それはチャップマンさんらしい。でも、そこから伸びる各個室がある家族のプライベートゾーンは、オープンなリビングとは一転して、奥まった感のあるレイアウトにすることで、プライバシーが守られるように配慮しました。あと、ご夫婦の意向で子供部屋は寝るだけでいいから!と、とても小さくしてあります。小さな部屋にこもるのではなく、起きている間はリビングや庭に出てきなさい!という意思が感じられます。


大久保 玄関から子供部屋に入る際、必ずリビングを通らなければいけないように設計をお願いしました!ともおっしゃっていました。家族とのコミュニケーション、子育てに何よりも重きを置いている家というのが、よくわかる意向です。


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久保 キッチンに立つ奥さまからの見通しを重視したんです。でもダイニングテーブルは少し奥側に創ることで、食事中はテレビが見えない創りになっています。家族の会話とコミュニケーションを大切になさっている証拠ですね。また、人工芝でなく、あえて手入れの大変な天然芝にしたのも、チャップマンさんが小さい頃にケンタッキーのご実家でいつもお父さんと芝刈りをしていた思い出があったからです。いつか自分も子供たちと一緒に芝刈りして、庭の手入れができる家に住みたいと。まさに東京では実現できないことですよね!


大久保 チャップマンさんのお国柄であるアメリカンスタイルに寄せた部分もありますか?


久保 ゲスト用の大きなユニットバスはもちろんですが、やはり暖炉が一体型になった石造りのアートウォールと、富士山が一面によく見えるロフトですね。ロフトにはお酒を飲んだり、ビリヤードをしたり…と大人が遊ぶ空間にしたい!という意向があり、ホテルのリビングバーのようなかなり大きなロフトにしました。ビリヤード台を置くことも想定されていたので、下のリビングに音が響かないようにじゅうたん張りを採用しました。


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大久保 大きなロフトは素晴らしいアイデアですね。今はチャップマンさんがお酒を嗜むバースペースとしてお気に入りなようです。つい最近、チャップマンさんのご自宅に9家族、計30人のママ友と子供たちが集まったらしいんですが、ロフトだけは立ち入り禁止にして、チャップマンさんは避難していたとか(笑)。ロフトから落ちたら大変なので普段から子供たちは立ち入り禁止で、上にはタイガー(虎)が住んでいることになっているそうです(笑)。


久保 ハハハ、いい話ですね。しかし家の中に30人を招いたというのは…私が創った家の中でも過去最高記録ですね(笑)。とても嬉しく思います。リビングの暖炉は使っておりましたか?


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大久保 全面光が入るリビングで無垢のフローリングなので冬でも暖かいからと、今年はまだ一度も火をくべていないそうです。でも、あの6mの高さの天井まで届く石壁も圧巻ですよね。巨大なリビングを引き締める象徴的な役割はしっかり果たしていました。そもそも火の上にテレビを設置して、安全上は問題ないんですか?


久保 全く問題ありません。火とテレビを一緒に見たり、テレビを上側に設置するのも、アメリカンスタイルの最大の特徴なんです。チャップマンさんがケンタッキー州のご出身だということで、あの壁にはアメリカ中東部の風土を感じさせる、ディズニーランドっぽい石にこだわりました。住む人にとってローカルな雰囲気やアイデンティティを感じさせる仕掛けは、実はいつも必ず設計に取り入れているんです。ですので、もし大久保さんの家を創らせてもらうなら、ご出身地の新潟から木を調達して、どこに使うかは、もうイメージが湧いていますよ!


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大久保 それは面白い。キッチンにも外壁と同じ石を使っていましたね。あと、リビングから伸びる廊下の一番奥にご夫婦の寝室という配置にも理由があるのでしょうか?


久保 はい。寝ていても、いつも子供部屋の奥にご夫婦の気配を感じさせることが、特に子供たちがもう少し大きくなってから意味を持つのではないかと思いました。最深部でしっかりいつも見守っているよ!という意味を込めて、この配置にしました。あと、家族の時間はもちろん、2人の時間もすごく大切にするご夫婦ですから、単純にこのレイアウトしかない!と思いました。


大久保 なるほど。いろいろな考慮しての配置なんですね。最後に創り手として、この家で一番苦労なさった点はどんなところでしたでしょうか?


久保 そもそも土地が傾斜していたので、本来は真っ平らな地面にならしてから家を建てる必要があるのですが、そうすると500万円以上余計な経費がかかってくるため、その勾配も利用して設計しています。実は一番のポイントが、この傾斜を生かした創りなんです。デザインや暮らしぶりもさることながら、基礎の構造もダイナミックな家なんですね。とにかく何から何まで全部がダイナミック! しかもチャップマンさんの思いを全て詰め込んで、これからも進化し熟成させていく家…東京から静岡に移住しなければ、成し遂げられなかった家です。まさにこれからのMADURO STYLEのSDGsな家創りのお手本なんです。


大久保 お見それしました! 素晴らしい!


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[納得住宅工房Co.,Ltd.]代表取締役CEO 久保 淳
1999年、納得住宅工房を設立。静岡県内にショールーム5店舗とモデルハウス2棟を展開。住宅、エクステリアに関する数々の賞を受賞。施主の感性や理想を引き出す設計提案、欧州のトレンドや伝統を取り入れた建材やオーガニック素材、ハイスペックな住宅性能をトータルコーディネートしたオーダーメイド住宅を年間150棟ほど手掛けている。アパレルショップ「ポルタロッサ」のオーナーでもある。https://www.maduro-style.com


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[RRデジタルメディア]代表取締役 大久保清彦
『LEON』を企画創刊し、その後『OCEANS』、『ローリング・ストーン日本版』を企画創刊。『ヨガジャーナル日本版』のオンラインを立ち上げ、セブン&アイ出版の常務執行役員を経て、2018年に設立したRRデジタルメディアでは、自身が総編集長を務める『MADURO』の他、『ソトコト』、『THE RAKE』を傘下に収め、オンライン化を果たす。自身も一児のパパとして、仕事と子育ての両立に奮闘中。https://maduro-online.jp

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