TRAVEL
2025.06.11
【ひとりドライブ】なぜ群馬県にレトロな自販機ドライブインが多いのか
群馬にあるレトロな自販機ドライブインはなぜこの地域で愛され続けているのか、現地取材を通じてその理由を調べて考えてみました。
現在、群馬にある自販機ドライブインの数は10店舗

現在群馬県にあるレトロな自販機が稼働しているドライブインの数を調べたところ、10店舗ありました。閉店してしまった店舗のことを考えると、全盛期には20店舗以上存在していたのではと思われます。全国的に見ても群馬県は多い方で、他に店舗数が多い地域は島根県となっているようです。
なぜ群馬に自販機ドライブインが多いのか

店舗を巡って取材してみると、年配のお客さんがパチンコ機やテレビゲーム機を楽しんでいる姿が目立ちました。店舗によっては若いお客さんがゲームを楽しんでいるところもあり、付近に住む人の憩いの場となっているのがわかります。

またレトロな自販機はないですがパチンコ機、パチスロ機を楽しめるゲームセンターがところどころにあります。群馬県にはこのようなレジャー施設への需要が高いことが、レトロ自販機を生き残らせるドライブインも支えられてきた理由のひとつであると思われます。

また、群馬ではパチンコ店の大型化が進んでいる一方で、店舗数は決して多くなく、県内におけるパチンコ店の数は全国23位(※)。今回の自販機ドライブインを巡っている途中にもパチンコ店を見かけることはありませんでした。近隣に娯楽施設が少ないないことも、要因なのかもしれません
(※群馬経済研究所・ぐんま経済'22.8.1より引用)
(※群馬経済研究所・ぐんま経済'22.8.1より引用)

群馬県は長い国道と合わせて関東でも有数のドライブスポットが数多くあり、輸送車や観光客が多い地域です。ふと立ち寄れる食堂やドライブインは運転に疲れたドライバーやライダーのお腹を満たし、癒してくれる存在となっています。
自販機ドライブインを利用して良かったところは、一般的な飲食店のように並んで席を確保する必要もなく、気軽に利用できる点。ロードサイドに点在しているのも、ドライブの旅情を感じさせる印象でした。
自販機ドライブインを利用して良かったところは、一般的な飲食店のように並んで席を確保する必要もなく、気軽に利用できる点。ロードサイドに点在しているのも、ドライブの旅情を感じさせる印象でした。

近年ではレトロ自販機があれば地元の人だけでなく、県外からの来店者を取り込めるので、一般的なゲームセンターとは差別化できる点も、生き残るための強みになっているのではないかと思われます。
何よりも昭和世代に訴えかける風景が魅力

取材時に見かけたドライバーの多くが40~50代以上の人々でした。レトロ自販機が活躍したのはおそらく1970年代以降なので、50代なら当時の稼働姿を見た人も多くいるはず。現在稼働中のレトロ自販機は、メーカーが撤退後も運営の人の努力や工夫により、販売ランプを点灯させ続けています。そんな自販機の姿に、何かこみ上げてくるものもあるのではないでしょうか。

当初、自販機ドライブインについては、気軽に立ち寄れるドライブスポットとして取材を行いました。単にレトロな風景を撮影するのが目的でしたが、行ってみると地元民のライフスタイルが垣間見える存在にも見えてきました。
ノスタルジックな風景に触れて自分の感性が刺激された結果、この先も好奇心を持って旅を続けていくモチベーションにもなりました。
ノスタルジックな風景に触れて自分の感性が刺激された結果、この先も好奇心を持って旅を続けていくモチベーションにもなりました。
取材・文/田中一馬