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[ライフ]21世紀脳を持つ子供の育て方第2回「機会損失をしないための英語教育の重要性」

[ライフ]21世紀脳を持つ子供の育て方第2回「機会損失をしないための英語教育の重要性」

21世紀を生きる子供たちのための教育を考える上で、避けて通れないのが英語教育です。英語を話すことができるようになれば、グローバルに活躍する機会もぐっと増えるのです。

「子供の頃から英語を自由に使いこなせれば、それは未来への大きな財産となります」


英語が世界のLinguaFrancaリンガフランカ(※1)、世界の共通語であることは、今や誰も疑う人はいません。英語を話す人は、第2言語として話す人を含め20億人以上いるといわれています。インターネットの情報量の80%は英語ですし、プログラミング(※2)言語も英語です。また、国際的な会議や学会も英語です。論文もしっかりとした英語でなければ、世界では相手にされないのです。


「これからは英語はとても重要だから子供には英語を習わせたい」というパパさんはたくさんおられます。その一方で、いまだに英語教育に否定的な意見もあります。「日本語が一番大事だから、まず日本語をマスターしてから英語を習わせたほうがよい」という方々、しかも有識者と言われているような人に実際多くいらっしゃるのです。


何年か前、あるノーベル賞受賞者が「先生はなぜご自分がノーベル賞を受賞できたと思われますか?」という質問に対して、「日本の教科書を使って勉強し、日本語で考えたからだと思います」と答えたことを覚えています。


これは「日本語という特定の言語を使ったから深く思考できたので、ノーベル賞を取ることができました」というような解釈ができます。裏を返せば「バイリンガルでは深い思考はできず、ノーベル賞は取れない」ということなのでしょう。でもそれは本当でしょうか? バイリンガリズムに関しては様々な誤解があり、2ヶ国語を使うと言語がミックスして頭が混乱すると信じている人も多いようです。しかし、最近の研究では逆の結果が出ていることは世界的にも知られています。バイリンガルのほうがモノリンガルに比べて認知タスクや社会タスクで高いパフォーマンスを示し、共感力も高い…つまり頭がよくなるという研究結果が出ているのです。博士のコメントに疑問を持った私は、アメリカのノーベル賞受賞者のバックグラウンドをリサーチしました。アメリカは移民の国ですので、家では母国語を使い、外に出たら英語という家庭で育った人が多いのでは?と思ったからです。全員を調べることはできませんでしたが、少し調べただけでも両親が移民で2ヶ国語を使い分けていたノーベル賞受賞者は数名いました。私がホッと胸をなでおろしたのもご想像に難くないでしょう。日本語をマスターしてから英語ではなく、両方の言語を習得すれば能力は上がる、というのが私の持論です。


日本人の英語力の低さは英語力ランキング(※3)などでも顕著に出ています。TOEFLの成績ランキングで日本人は30位、ほかの英語力ランキングでも49位となっています。原因について様々言われており、日本語の構造が言語学的にあまりにも英語とかけ離れていること。日本人の「恥じらいが美」という文化。日本は1億人以上の人口がいる島国なので海外でビジネスしなくても内需で成り立ってしまうこと。英語の本なども日本語訳がすぐ出てしまうことなどです。


理由はともあれ人口が減っていく現在の状況下で、移民政策も進まず、ほかのアジア諸国の成長力に押される日本で、英語力がないことはあらゆるビジネスでライバルの後塵を拝し、学術論文の引用数も低くなり、日本は莫大な機会損失を被っているのです。将来的には致命傷になっていくでしょう。


ローラスでは1歳半からオールイングリッシュで子供をお預かりし、キンダーの年長さんは毎年卒園発表としてサイエンスのプレゼンテーションをして卒園していきます。


ローラスのキンダー 卒園発表
卒園のテーマは園児自身が決め、英語でプレゼンテーションを行います。

今年の卒園発表のテーマは太陽系、ドローンの運搬システム、磁力浮遊などで、園児が自分で調べ、実験し、結果をまとめてプレゼンしました。初等部ではどの授業でもディスカッションやプレゼンテーションを常に行っています。


英語をコミュニケーションのツールとして自由に使いこなせていることは、生徒たちにとって未来への大きな財産だと実感しています。


ローラスインターナショナルスクール
ローラスでは、すべての授業、日常会話には英語が用いられています。そのため、英語によるコミュニケーション能力も自然と養われるのです。


リンガフランカ
Lingua Franca(※1)

もとはフランク王国の言語という意味のイタリア語ですが、現在では共通言語を持たない者同士が意思伝達手段として使う言語、つまり国際共通語のことを指します。アラビア語やギリシャ語もかつては国際共通語でしたが、現代では英語がその地位を確立しています。


プログラミング(※2)
スティーブ・ジョブズは、誰もが学ぶべきリベラルアーツとして、プログラミングの重要性を力説していました。プログラミングのアクティビティを行うことで、子供たちは変数、アルゴリズム、文字列、ループ、構文についての知識を身に付けることができます。日本の小中学校でも、プログラミングは授業科目として採用されることが多くなっています。


英語力ランキング(※3)
ここではEF EPI(EF English Proficiency Index)の発表する世界88カ国の英語テストビッグテータを活用したベンチマークを参照しました。韓国や香港が標準的な英語能力レベルに区分けされているのに対し、日本は低い英語能力というレベルに区分けされています。TOEFL(Test of English as a Foreign Language)ELS(TOEFLを作成する団体)が公表しているデータを基に作った英語力ランキングでも同様に、日本人の英語能力は低いという評価に区分けされています。


日置麻実さん


日置麻実さん
ローラスインターナショナルスクールオブサイエンス 学園長。
東京、神奈川に8校のSTEMインターナショナルスクール、英語スクールを運営。日本に未来のイノベーターをたくさん輩出することを使命とする。上智大学外国語学部英語学科卒。

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