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 [ライフ]21世紀脳を持つ子供の育て方第7回「アントレプレナーを育成するための起業家教育」

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[ライフ]21世紀脳を持つ子供の育て方第7回「アントレプレナーを育成するための起業家教育」

2019.10.27

新しい時代を作るアントレプレナーを育成する教育とは。

「今から18年前に、私たちがインターナショナルスクールを創った理由とは…」

時代が変わろうとしている時、現状に満足しない人たち、イノベーションの波に乗って革新的なビジネスを起こそうという人たち、そんな人たちがアントレプレナー(※1)と呼ばれ、新しい時代を作っていきます。今がまさにそういう時代だと思います。『MADURO』の読者の中にも起業をされている方、または起業を考えていらっしゃる方が多いことでしょう。

華々しいデビューのスタートアップ(※2)とは違いますが、私も今から18年前の2001年にスクールを立ち上げました。夫の赴任先のオランダで娘がインターナショナルスクールに入学した時、そのスクールで英語がネイティブでない子供たちも流暢に英語を話しているのを見て衝撃を受けました。そして、日本の子供たちにもこういう英語教育が必要だと強く思ったのがきっかけでした。

帰国してからは子供英会話スクールの開校を皮切りに、プリスクール、キンダーガーテン、そして現在ではプライマリースクール(初等部)も開設しています。起業にとって一番のコアとなるものは「この事業、自分がやらねば誰がやるんだ!」という〝熱い思い〟 =Passionです。加えてこれで現状を変えたい、世界を変えたいという〝使命感〟=Missionも必要だと思います。その勢いが実際に起業するという行動につながります。

起業してからは毎日がジェットコースターのようでした。自宅の8畳の和室から始まったスクールは、今ではインターナショナルスクール6校を含む8校に広がり、生徒数も1000人近くになりました。もちろん18年間、常に順風満帆で成長してきたわけではありません。大小の波を何度も何度も乗り越えなければなりませんでした。ただ、自分の理想を誰にもとがめられず追求できる自由を手に入れたことは、どんな困難でも耐えられると思えるほどに価値のあることでした。私は子供たちにそういう自由を手に入れてもらいたいと思い、スクールでも起業家教育を始めました。

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ローラスのメイカーフェアでは子供たちがジュエリーショップ、アンブレラショップを開きました。取り引きのお金はローラス円。どの店も大盛況。

イギリスで大人気の「Dragons' Den(※3)」というTV番組があります。起業したいと考えている人たちが自分のアイデアをDragons(審査員)の前でプレゼンし、気に入られたら起業のための資金を得られるというものですが、ローラスでも子供版「Dragons' Den」を行いました。子供たちは自分や他の人が困っていること=Pain Point(※4)を見極めてアイデアを創造し、その企画した商品のプロトタイプを作成するのです。そして子供たちが企画した商品の値段を決め、収支まで計算。そして審査員の前でピッチ(※5)するのです。子供たちの発想は本当に豊かです。ある男の子が「Home work Watch」を企画しました。「宿題を忘れないようにしたい!」という強い思いから発想を得ましたが、普段のシャイな彼からは考えられない自信を持ったピッチは感動的ですらありました。自分で考えて作ったものを他人に認めてもらうというプロセスを小さい頃から繰り返し、学習していくことが、アントレプレナーのマインドセット(※6)を育成するうえでとても重要なファクターだと確信しています。

もうひとつアントレプレナーに不可欠なものは〝行動力〟=Actionです。私は「想像力×行動力=創造力」と思っています。どんなに良いアイデアがあっても、行動が伴わなければ価値はゼロなのです。有名ビジネススクールの高額な起業家教育セミナーに参加し、起業とはなんぞやを学ぶよりも、小さなお祭りなどで何か売ってみる方がよっぽど役に立つというのが私の持論です。その一環として、生徒がお店を開いてモノを売るローラスアントレ祭を計画中です。実際に自分が作ったものが売れて誰かの役に立つ。その醍醐味を若い時から経験することは、成長してこれはと思った時、躊躇なく起業するための踏切板となるでしょう。

本文
彼はローラスの「Dragons' Den」で審査員の前でホームワークウォッチを発表しました。普段の彼からは創造できないほど熱意のこもったピッチでした。

アントレプレナー(※1)
独創的なアイデアや技術で新しいビジネスモデルの構築や新たな市場を切り開く起業家のこと。 「間を取り持つ者」という意味のフランス語「Entrepreneur」が語源。

スタートアップ(※2)
革新的な技術やアイデア、ビジネスモデルによって急速な成長をする創業して間もない企業のこと。または、新たな市場の開拓を目指す動き、概念。 

Dragons' Den(※3)
イギリスのTV番組。日本の「マネーの虎」のリメイク。起業家が投資家の前で3分間ピッチを行い、Dragon(審査員)たちは厳しい質問を起業家に投げかけます。

Pain Point(※4)
ビジネスの見込み客が現実に被っている問題。問題を突き詰めることで、どんなビジネスモデルが必要か、どんな製品を作るべきかが浮き出てきます。

ピッチ(※5)
シリコンバレー発祥の言葉で、起業家が投資家の興味をひくために行う短いカジュアルなプレゼン。共感のしやすさや分かりやすさが問われます。

マインドセット(※6)
物事や状況への対応や判断を積極的にできる心構え。サイエンスを学ぶプロセスを習慣化することで、サイエンス的な判断を習得することができます。

本文

日置麻実さん
ローラスインターナショナルスクール
オブサイエンス 学園長

東京、神奈川に8校のSTEMインターナショナルスクール、英語スクールを運営。日本に未来のイノベーターをたくさん輩出することを使命とする。上智大学外国語学部英語学科卒。
 

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