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 [LIFE]21世紀脳を持つ子供の育て方第9回「IT企業が立ち並ぶ都市の生活と教育の光と影」

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[LIFE]21世紀脳を持つ子供の育て方第9回「IT企業が立ち並ぶ都市の生活と教育の光と影」

2019.12.15

サンフランシスコ、スタンフォード、シリコンバレーを訪問。 そこで急成長した世界有数のIT会社が集まるからこそ、起きている光の部分と影の部分とは…。

先日、サンフランシスコ、スタンフォード、シリコンバレー(※1)を訪問しました。今年ローラスでは数名の生徒がスタンフォードのサマーキャンプに参加したこともあり、その現地視察も兼ねてました。世界のイノベーションの中心に行けるということで、期待に胸を膨らせました。

パームツリーがシンボリックなスタンフォード大学(※2)の広大なキャンパス(広さは約990万坪)を、カリフォルニアの陽光を浴びながら巡りました。気分は、大学のモットー『The wind of freedom blows.(自由の風が吹く)』そのものです。このキャンパスで世界を変える様々なイノベーションが生まれたことも非常にしっくりしました。

インターナショナルスクール

シリコンバレーではGAFA(※3)の中の3社、Google、Apple、Facebookを訪問。外からだけの見学でしたが、社屋がとてもカラフルで、自転車や恐竜のレプリカ、ビーチバレーのコートや川、オリーブ畑などいろんなアミューズメントが敷地内にあり、噂にたがわず遊園地のよう。実はローラス初等部の新校舎作りのインスピレーションになっています。そして道路には数えきれないほどのテスラのクルマ。車にこだわりのない私でも、テスラが欲しくなってしまいました。

インターナショナルスクール

シリコンバレーは目に入るものすべてが楽しく美しい場所。世界有数のIT企業が集結したエリアに隣接する街サンフランシスコは、最もリッチな都市と言われています。世帯年収の真ん中値が約9万9000ドル(約1070万円)。アメリカ全体の平均値約6万8000ドル(約730万円)を遥かに超えています。この数字だけみると素晴らしいのですが、実は数字のトリックで、実際は違う状況になっているんです。その証拠は現在のサンフランシスコの街を見ると一目瞭然。街中にホームレスが溢れかえっています。またそのホームレスも年老いて働けなくなった人ばかりではなく、まだ若く元気そうな人たち。これは成功した多くのIT長者達が物価を急騰させ、年収1200万円以下は貧民層! と言われる信じられないインフレな状況を生み出したのが原因です。
家賃にしても2ベッドルームで最低40万円からですし、家を買うにも最低価格が1億円からなので、真面目にコツコツ働いていても、家賃すら払えない。だから、ホームレスになってしまうのです。さらに公衆トイレに対してホームレスの数がキャパオーバーしており、街が汚染。公共の環境が大問題になっているようです。Amazonが第二本社をNYに置こうとしたとき、地元で大々的な反対運動が起き、AmazonはNYに進出できなくなりました。このような事態が起こる懸念からの反対運動かもしれません。

アメリカは格差社会と言われて久しいですが、今回、改めてアメリカの光と影、まさに「光が強いほど影は濃くなる」事を実感しました。

最後に、このイノベーティブなエリアでのSTEM教育(※4)についてひと言。シリコンバレーにはコンピューター歴史博物館、インテル博物館など、教育機関も含めて気軽にコンピューターや半導体の歴史を学べる環境が整備されています。またサンフランシスコではExploratriumという博物館が秀逸で、ハンズオンのアクティビティーでいっぱいです。物理学、工学、化学、生物学等アクティビティーは多岐に渡りますが、あまり学術的に難しい見せ方でなく、触ったり試したりしてワクワク好奇心を鷲掴みするような楽しい仕掛けで、大人が一日中いてもあきません。
このように学校以外でもカジュアルにSTEM教育に触れられる環境、文化こそが、自由な発想とイノベーションを育み、アメリカが最新イノベーションをリードする源なのかもしれません。サンフランシスコ、スタンフォード、シリコンバレー訪問でアメリカのIT社会の闇と光が見えました。

シリコンバレー(※1)
カリフォルニア州北部のサンフランシスコ・ベイエリアの南部に位置し、多数の半導体メーカー(半導体の主原料 Silicon)が集まっていたこと、および周辺の地形(渓谷、Valley)からこの名前が付いた。この地域からはアップル、インテル、Google、Facebook、Yahoo、アドビシステムズ、シスコシステムズなどに代表されるソフトウェアやインターネット関連企業が多数生まれ、IT企業の一大拠点となっている。

スタンフォード大学(※2)
カリフォルニア州にある私立大学。1885年、州知事スタンフォード夫妻が、若くして死んだ息子を記念して創設。1891年開校。シリコンバレーに近いことからヤフーやグーグルなどIT企業の創業者を輩出している。

GAFA(※3)
Google、Apple、Facebook、Amazonの4社のこと。頭文字を取って称される。いずれも米国を代表するIT企業であり、4社は世界時価総額ランキングの上位を占めている。

STEM教育(※4)
STEMとはScience(科学), Techonology(技術), Engineering(工学)、 Math(数学)の頭文字を取ったもの。その4分野を統合して行う問題解決のプロセスを学ぶための教育。

インターナショナルスクール

日置麻実さん
ローラスインターナショナルスクールオブサイエンス 学園長
東京、神奈川に8校のSTEMインターナショナルスクール、英語スクールを運営。日本に未来のイノベーターをたくさん輩出することを使命とする。上智大学外国語学部英語学科卒。

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