テイクアウトメニュー連載第49回 東京・渋谷/中華 「スーツァンレストラン陳 渋谷」
予めお伝えしておきます。今回ご紹介させて頂く「スーツァンレストラン陳 渋谷」さんですが、思いの外、原稿が長くなりそうです(長くなりました…)。
先日の4月20日で、開店から20年目を迎えられたこちら、なんと今の料理長の井上和豊さんは、2001年に「四川飯店」に入社後、すぐにオープンホヤホヤの「スーツァンレストラン陳 渋谷」さんに配属となり、それから現在に至るまで同店を離れることなく、20年間もお店を支えてらっしゃるんです。
20年も同じ場所に立ち続けるなんて、まさに家族ですよね…。
2004年の「青年調理士のための全日本中国料理コンクール」熱菜・魚介部門金賞をはじめ、数々のコンクールにチャレンジし、日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35 2016」ではグランプリを獲得なさったという受賞歴も多数の井上さんですが、グランプリを受賞したことで、若くして、名実ともに中国料理の名店「四川飯店」の看板を背負うことに。。。
そもそも日本の四川料理の元祖とも言われる陳建民氏が創業し、今なお3代目の陳建太郎氏が伝統の味を守り続けている「赤坂 四川飯店」さんですが、そんな正統な系列店として、渋谷「セルリアンタワー東急ホテル」内に「スーツァンレストラン陳 渋谷」さんは誕生しています。私も17年位前から伺ってましたが、毎回オーダーしていたお料理が、なんといっても名物中の名物でもある「四川飯店伝統の麻婆豆腐」です。
四川の赤花椒と、和歌山の青花椒の両者が使われているのもポイントですが、優しさ溢れるツルツルな木綿豆腐と、エキサイティングな刺激のバランスもたまらないんです。。。しかし、どうやら、豆腐の状態も日々違っていたり、四川省から仕入れている手作り豆板醤も塩分や濃度が毎回違うため、常に状態が変化する中でも、安定した味を保てるようになったのも、5年位前とのこと。料理も立派な生き物ですから、他の料理も含め、日々、素材達と向き合って調理しなくてはですよね。。。
私は麻婆豆腐を作るたび、こちらの麻婆豆腐を思い出してましたが、嬉しいことに、昨年からテイクアウトできることになったんです。しかも、もっと出来立てを食べてほしいという思いから、「麻婆豆腐の素」まで発売になったとのこと。自宅で豆腐を用意すれば、簡単にプロの味が作れるのですが、、、さらに驚くべきことが…。「麻婆豆腐の素」と一緒に、「長葱のみじん切り」も入っているのですが、片栗粉がまぶしてあるんです…。つまり、水溶き片栗粉を用意しなくてもできちゃうというわけ…。心配り&気遣いの神様です…。
「エビチリの素」も同様に、片栗粉を纏った長葱がセットになってますが、どちらの素も、工場に委託せず、スタッフさん手作業で袋詰めなさってるんです…。手間暇惜しまずとは、こちらのことです。いやはや参りました。。。ちなみに、「エビチリの素」は、エビを入れなくても、例えば、茹で卵や鶏肉・白身魚・厚揚げ・アボカド・ジャガイモ・アスパラ等と合わせても最高なんです。アレンジも利く「素(ソース)」って、ありがたいですね。
そうそう、こちらのお店のテイクアウト可能な料理ですが、ほぼメニューに載ってるものはOKとのことで、これまたビックリです…。
私の大大大好物「気仙沼産毛鹿鮫ふかひれの姿煮」や、艶々に輝く食べ応え満点の「黒酢のスブタ」、毎日新鮮な群馬の豚肉を仕入れて、その日中に使い切るという「1日限定4食の回鍋肉」、季節によって中身も異なる「春巻き」、まさにヨダレが出そうなピリ辛テイストの「よだれ鶏」、オープン当初から大人気の「五目炒飯」、1つ食べたら止まらない「胡麻団子」etc...数えきれないほど沢山の料理がお持ち帰りできるので、家庭でこんなに素晴らしい中国料理が登場したら、美味しさのあまり、家族仲も良くなりそうです(^^)。
書きたいことがまだまだ山のようにあるのですが、すでに文字数オーバーなので、そろそろクライマックスといきますが、、、もし、新しい「ふかひれの煮込み」に挑戦してみたいという方には、ぜひ「スーラー味」を。ベースは白湯スープですが、「腐乳」と「野山椒」が入っているため、発酵特有の酸味と、山椒の辛味が融合し、ありそうでなかなかお目にかかれない「ふかひれ煮」に仕上がってるんです。大人の味わいですが、この味を覚えると、かなりハマります^_^。
私は、自宅では、2/3はそのまま食べて、残りは「磯海苔」を少し添えてみたのですが、これがまた最強で…。「ふかひれ」と「海苔」の“海で生きるもの”同士、相性抜群でした。。。その「ふかひれ」様は、毎日でも食べたいぐらいの大好物なので、頑張って働かなければです(笑)。
「魚の辛〜い辛〜い名物鍋」や「バクテースープ」等も気になってますが、スープ多めのものは、店内で頂くのがベストですね。。。3日前には予約必須の「北京ダック一羽」もトライしたくてたまりませんが、とにかく皆様、キリがないので、まずは『スーツァンレストラン陳』さんのメニューをHPから眺めてみて下さいませ。食べたいものがありすぎて困ると思いますが(笑)、メニューに載ってない料理でも、可能な限りリクエストに応じて下さるとのことで、電話口で、「今日何かありますか?」と尋ねてみて下さいとのことです(井上料理長曰く)。
「いやいや、そんなリクエストだなんて…」と、申し訳ない気持ちにもなりますが、井上さんは、きっとお客様に喜んでもらえるのが大好きなんだと思います(私もですが)。「美味しかった〜」って言葉は、作り手も食べ手も、幸せになる愛の素ですね。
東京・渋谷/中華
「スーツァンレストラン陳 渋谷」
Data
☎03-3463-4001
東京都渋谷区桜丘町26-1セルリアンタワー東急ホテル2階
営業/11:30〜14:00、17:30〜21:00LO
※新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。ご来店時は事前に店舗にご確認ください。
定休日/無休
業界グルメ通・園山真希絵さん
紹介制飲食店「そのやま」経営者。自ら厨房に立ちながら、ゴーストレストランも手がけ、雑誌やTV出演・著書本出版・商品開発・講演会・料理教室や、メンタル心理カウンセラー・食育アドバイザー・ベビーシッター・六次産業・全国各地の親善大使も務める。YouTube「正義の味塊YouTube」、Instagram「正義の味塊のインスタ」公開中。新刊著書「大切な人と大切な自分に贈りたい365日の愛言葉」が好評発売中。