[ライフ]九島辰也のFrom EDITOR:新型911を目前にして思うこと
今年の目玉はこれに違いない。世の中トヨタ スープラの復活に沸いているが、それよりもこっち。そりゃそうでしょう、年季が違いますよ。なんたってデビューは1963年のフランクフルトショー。言ってしまえば、僕と同じ学年だ。タメってことね。
そんなこんなの縁で、911は3台乗り継いでいる。空冷も水冷も。だから新しい911の誕生に立ち会えるのは光栄なことだし、ワクワクする。
しかも、今回はワールドプレミアの場となったLAオートショー、国際試乗会が開催されたバレンシアでのテストドライブ、去る5月28日のジャパンプレミアと、一連の流れに参加させてもらった。さらに言えば、この原稿を書いている当日も、富士スピードウェイで開催された "ポルシェスポーツカートゥギャザーデイ2019" に行ってきた。当然そこでもしっかり新型911を拝ませていただきました。
992型の特徴を分析すると2つのトピックスが挙げられる。ひとつはワイド化されたフロントトレッド、もうひとつはウェットモードでの走行性能だ。
ワイドトレッドはこのところのハイパフォーマンスカーのトレンドで、500ps以上のクルマに多くみられる。ロングホイールベースで前後のオーバーハングを切り詰め、トレッドをワイド化するのが一連の流れ。これにより直進安定性をよくし、コーナーでの慣性モーメントをコントロールしようという考えだ。その昔はショートホイールベースがスポーツカーの条件のように言われていたが、今は違う。
ただ、ワイドトレッドになった992型を目の前にすると、やはり大きくなったという印象は強い。「あれ、パナメーラ?」って感じだ。991型のカレラSあたりからの乗り換えだとあまり気にならないかもしれないが、997型オーナーのワタクシにとっては巨大化された感は否めない。まぁ、運動性能の違いは明らかですがね。
それよりも個人的に「これはいい!」と思ったのが2つ目のウェットモード。例えば、雨の日の東名高速。一番右車線を水しぶきを上げてアウディ クワトロに代表される "ヨンク" のドイツ系スーパースポーツが後ろから走ってくる。となるとRRとしてはやはり左にウィンカーを出さざるを得ない(カレラ4はどうなんですかね?)。雨の量にもよるだろうが、RRはドライと違って遠慮がちになります。
ですが、992型は大丈夫。水を撒いたショートコースでテストドライブしたが、ウェットモードにするとアンダーステアもオーバーステアも起きない。RRで。ひたすら電子デバイスが精緻な制御を行う。しかも自然に。
要するに911は全天候型で道を譲る必要のないクルマだとポルシェは言いたいのだろう。なんたって911だから。その考え、同意します!