MADURO STYLEの家創り第10回「一見ガレージハウス、実は子供の頭が良くなる家/後編」
大久保 浜松のガレージがある家ですが、施主のMさんがおっしゃるには、久保社長がこれまでのMさんの概念をひっくり返してくれたおかげで、今の家の形に仕上がったと。Mさん家族皆さんが大変に満足をされておりました。その経緯をお聞かせいただけますか?
久保 このMさんの家は高低差が大きい土地だったので、とにかく建築家泣かせだったんです。当初は急な坂道を登る途中の崖の下にガレージを作る案でした。しかし、その案を覆して、愛車がゆっくり坂を登り蛇行しながら家に辿り着くような、崖の上にガレージがあるような愛車を大切に扱うイメージで創りました。愛車マクラーレンのドアがガルウィングで上に大きく開くので、通常のガレージよりも縦横に大きくサイジングしました。リビング横にこの専用ガレージを作った理由は、いつでも愛車の存在を感じられるから。さらにガラス窓にして、いつでも愛車が見えるようにしました。さらにリビングとガレージの間に中庭を挟んだのは、エンジン音が大きいマクラーレンだからこその、ひと工夫。家を白基調のデザインにしたのも、オレンジ色のマクラーレンを主張させるための工夫です。
大久保 なるほど。久保社長が極めてシンプルにデザインしてくれたので、いつまでも飽きない家になって本当に良かったとMさんはおっしゃっておりましたが、車好きのMさんの第一義を考えてのことだったんですね。
久保 そうなんです。新築の家は、まっさらな白いキャンバスでなければいけません。Mさんのご家族はお子さんが3人いらっしゃるとお聞きしていましたので、実際に家族が住み始めたら、住空間の中にランドセルやコート、食器、雑貨など赤や青や黄やカラフルな色が足されていきますから、シンプル過ぎるくらいの空間デザインでちょうど良いのです。
大久保 玄関の大理石をキッチンまでずっと伸ばしたい!というMさんの当初の要望も、今となれば久保社長に却下されて良かったとおっしゃっておりました。
久保 はい、そのMさんの要望は今もはっきりと覚えています。家に帰って玄関に上がったときに、大理石のヒンヤリ感を足に感じるのは、あぁ家に帰ってきたなぁ!とテンションが変わり、とても良いリラックス効果を生み出します。大理石は見た目も美しく、五感に訴えかけるので、大理石を多用したいのは山々です。しかし、玄関からリビングまで大理石が続くのは、見た目も身体もヒンヤリするだけでなく、リビングがヒンヤリしてしまい、家族関係までヒンヤリしてしまう感じがしてしまい、やりたくなかったんです。だから、大理石は玄関だけに使い、玄関からその先のリビングまでは素足で歩いても気持ちいい凸凹のある無垢のフローリングを敷きました。足裏の刺激は、頭の働きを活性化させます…こんな毎日触れるディテールに、五感に訴える上質感、毎日の生活をランクアップさせる、頭が良くなる要素を家の中に詰め込んでいます。
大久保 玄関横の小上がり的な和室は一段上がる仕掛けになっていて、上手く大理石がポイントに使われ、和室に続く導線の仕上がりがとても美しかった…この何気ない大理石使いこそが、白を基調としたモダンな住空間と日本の和室を見事に調和させるポイントになっていました。
久保 大理石と照明を上手く使い合わせることで、小上がり的な和室がまるで宙に浮いている感じになります。それはちょっとした竜宮城です。とにかく照明にもこだわりました。ライトアップした夜に見ると、また違った表情を見せる家…つまり生きているかのように表情を変える家なんです。
大久保 高い天井や檜使いなど、Mさん邸には子供の頭が良くなる様々な工夫がなされているのだとか!?
久保 天井の高さと子供の偏差値の関係性や檜から出る有効成分の話までは、流石に私も知りませんでした。でも、確かに天井を高くした吹き抜けは私のデザインの要ですし、納得住宅工房の標準仕様である漆喰の壁を施してある肝心な構造材には県産無垢檜を使用しています。また、洗面台の滑らかな手触りやドアレバーの重み、自然な凸凹感のある無垢のフローリングなど、毎日の生活の中で触れるモノ、目にするモノこそ、上質なモノを標準で使用する、それは私のポリシーです。家族の毎日の生活を向上させ、結果、健やかな子供に育つ。大人たちが子供の将来のためにより良い環境を提供していく。それは親の当たり前の義務で、未来の日本のため、世界のため。地域活性化やSDGsの原点であると思います。
大久保 あと、Mさんの新居の家具も久保社長が東京まで同行し、一緒に選ばれたとか。さらに東京での食事までエスコートしていただいたと感謝しておりました。他にもMさんは家を建てたことでマインドが180度変わったと。今まで掃除機など一度もかけたことがなかったご主人が、今は奥さまから“階段を上るルンバ”と呼ばれるぐらい毎日掃除して、家事に従事するようになったそうです。家族みんながパパを見る印象がガラリと変わったと。これはもう、建築士の枠を超えた影響力です。
久保 それは嬉しいお言葉です。建築士という枠を超えたライフスタイルコンシェルジュとして家族のための家創りを推進していきたいです。それがMADURO STYLEの家創りです。Mさんに子供の教育を考えた空間創り、家創りについて、また話を聞いてみたいと思います。毎日の生活の中に、上質に暮らすヒントがあり、その上質なヒントを日々アップデートしながら、MADURO STYLEの家創りをさらにバージョンアップしていきます!
[納得住宅工房Co.,Ltd.]代表取締役CEO 久保 淳
1999年、納得住宅工房を設立。2019年現在、静岡県内にショールーム5店舗とモデルハウス2棟を展開。住宅、エクステリアに関する数々の賞を受賞。施主の感性や理想を引き出す設計提案、欧州のトレンドや伝統を取り入れた建材やオーガニック素材、ハイスペックな住宅性能をトータルコーディネートしたオーダーメイド住宅を年間150棟ほど手掛けている。アパレルショップ「ポルタロッサ」のオーナーでもある。https://www.maduro-style.com
[RRデジタルメディア]代表取締役 大久保清彦
『LEON』を企画創刊し、その後『OCEANS』、『ローリング・ストーン日本版』を企画創刊。『ヨガジャーナル日本版』のオンラインを立ち上げ、セブン&アイ出版の常務執行役員を経て、2018年に設立したRRデジタルメディアでは、自身が総編集長を務める『MADURO』の他、『ソトコト』、『THE RAKE』を傘下に収め、オンライン化を果たす。自身も一児のパパとして、仕事と子育ての両立に奮闘中。https://maduro-online.jp