MADURO STYLEの家創り第18回「家族代々100年受け継がれるサスティナブルな家/後半」
大久保 前回、ご紹介いただいた梅原さん邸にお邪魔させていただき、サスティナブルな2世帯住宅についてご取材させていただきました。子世帯の梅原さんご主人と奥さまにお話を伺ったのですが、大満足といったご様子で、本当に幸せに暮らしています!とおっしゃられておりました。
植松 そうですか! それは本当に良かったです。確かに梅原さんとご両親は2世帯住宅を建てられて、またご一緒の敷地に暮らし始めてから、より仲良く過ごされているとお聞きしております。コンシュルジュ冥利に尽きます。
大久保 共用部分を一切設けない、お互いの居住スペースから向こう側が見えないなど、2世帯間のプライベートを守るために随所に凝らした工夫にとても感心させられました。設計のテーマは、「程良い距離感」といったところですか?
久保 そうですね。子供って、あまり親に干渉されすぎたくないものです。なので、2世帯の建物自体は外見上シンメトリーに作り、親世帯に広さと日当たりの良い南向きを譲りながらも、子世帯のプライバシーを最優先に考えた創りとなっています。
大久保 シンメトリーな感じは、確かに外観から見て取れますね。白を基調にネイビーのラインが入った2トーンカラーの外観が爽やかでシック&シンプルで、とてもセンスの良さ、上品さを感じました!
久保 親世帯の内装の基調カラーであるネイビーはお父様のフェイバリットカラーで、外観にもネイビーを用いました。2世帯住宅ではありますが、この土地はまだご両親の代ですよ!という梅原家代々の想いや現在がわかるよう外観に表現しました。
大久保 親御さん世代を立てたのですね。すばらしい配慮だと思います。これは2世帯どちらからのリクエストだったのでしょうか?
久保 いえ。設計士である私の発案です。2世帯住宅は、2世帯のパワーバランスがどちらか一方的な場合以外は、親世代、子世代別々にヒアリングして、細かい部分の設計は一任していただくほうがスムーズに最終的に家族みんなが満足するご自宅にできあがるのです。お互いの思うところも、設計士やコンシェルジュに責任転嫁できますからね(笑)。例に漏れず、内観や色使いなどのディテールは2世帯別々にヒアリングしました。
大久保 ちょうど2世帯のシンメトリーな建物の中間に位置する、実は親世代側に設けられた仏間の配置も久保社長のアイデアでしょうか? あの仏間はこの土地を親から代々受け継いできたご先祖さまはもちろん、今世代の親世帯に対する敬意であり、子世帯に向けた親の想いも詰まっていると感じました!
久保 その通りと言いたいところですが、あの部屋を提案したのは私でも親世帯でもなく、子世帯の梅原さんご主人なんです。彼は梅原家を、先祖を、とても大切に考えておりまして、それが最も端的に表れているのが、梅原さんご主人の子世帯側の玄関正面に飾られた、先祖代々受け継がれてきた梅原家の金の家紋でしょう。この大切な家紋を上手く家の中にキチンと納めたい!というリクエストをいただいたので、玄関にライトアップできるクリアケースを設けて、納めました。一見するとおっとりとした優しい好青年ですが、梅原家は自分が守る!といった強くてたくましい気概に溢れているんです。
植松 この2世帯住宅を建てるときは独り身だったのに、結婚して子供を設けることまでの計画を踏まえた設計をリクエストして、しかもご自宅の完成時には結婚して、その後、娘さんも生まれて…きちんと実現させる行動力、意志の強さ、先見の明、行動力、どれも素晴らしい!
大久保 他の特筆すべき点はございますか?
植松 納得住宅工房の得意技である、リビングダイニングの天井を高く自然光が差し込む開放感あふれる創りは2世帯両方に採用しており、漆喰の壁、無垢のフローリングはそれぞれの世帯のフェイバリット仕様にしています。さらに中庭、パティオもしっかり設けています。親世帯側のリビングの横に中庭、そして、シンメトリーの2世帯の建物の中間…仏間の後ろスペースには、デッキになったパティオが設けられていて、仏間は親世帯に、デッキのパティオは子世代に設けています。デッキのパティオは子世帯のリビングダイニングから出入りでき、親世帯からは見えない創りになっています。
大久保 それは素晴らしい! 上質を基本に、細かい配慮! さすがです!
久保 最後に、梅原さんみたいに、5年後、10年後を具体的に思い描ける人って意外と少ないんです。さらに、それを実現できる人はほんの一握りです。だから僕たち納得住宅工房は依頼主の性格やライフスタイル、将来の夢までを徹底的にヒアリングします。単なる家という箱のプランニングでなく、実際住む人の中身…ライフスタイルをプランニングします。家創りは、将来の理想像を具現化できなければいけません。だから完全注文建築、上質な素材でなければいけないのです。その点、梅原さんは先の見通しが具体的だったから、話がとても早かった。子供部屋を2つ設けたことを考えると、まだお子さんは1人だから、彼の夢、将来像の計画が完全に叶うのは、もう少し先ということでしょう。まさに5年、10年先の生活設計と家の設計が噛み合っているから、実際に住んで満足していただけたのです。
大久保 なるほど。じゃあ久保社長含めて納得住宅工房の設計士さん、コンシェルジュさんたちは “夢の将来設計士”ともいえますね。英訳するとDream Lifestyle Architect…略して「D.L.A.」って肩書き、どうですか!?
久保 また面白いこと考えますね。以降、そう名乗ることにします(笑)。
[納得住宅工房Co.,Ltd.]代表取締役CEO 久保 淳
1999年、納得住宅工房を設立。2019年現在、静岡県内にショールーム5店舗とモデルハウス2棟を展開。住宅、エクステリアに関する数々の賞を受賞。施主の感性や理想を引き出す設計提案、欧州のトレンドや伝統を取り入れた建材やオーガニック素材、ハイスペックな住宅性能をトータルコーディネートしたオーダーメイド住宅を年間150棟ほど手掛けている。アパレルショップ「ポルタロッサ」のオーナーでもある。https://www.maduro-style.com
[納得住宅工房Co.,Ltd.]三島店店長 植松大輔
東部営業部のエリアマネージャーも兼任。広告代理店通信営業での勤務経験を経て、納得住宅工房に入社し9年目の名物コンシェルジュ。設計士の資格を取得し、納得住宅工房初のマルチプレイヤー、ユーティリティープレイヤーとなるため目下勉強中。2人の子供を持つパパとして、育児や家事、家族サービスも抜かりない。https://www.maduro-style.com
[RRデジタルメディア]代表取締役 大久保清彦
『LEON』を企画創刊し、その後『OCEANS』、『ローリング・ストーン日本版』を企画創刊。『ヨガジャーナル日本版』のオンラインを立ち上げ、セブン&アイ出版の常務執行役員を経て、2018年に設立したRRデジタルメディアでは、自身が総編集長を務める『MADURO』の他、『ソトコト』、『THE RAKE』を傘下に収め、オンライン化を果たす。自身も一児のパパとして、仕事と子育ての両立に奮闘中。https://maduro-online.jp