[LIFE]パパ的資産運用の回し方実用ノート、連載第4回アナログとデジタル、リアルとネットの融合
今回は、元セブン&アイホールディングス取締役CIOで2017年にデジタルシフトウェーブを起業した鈴木康弘さんがゲスト。リアルとネット、アナログとデジタルの融合の必要性を、リアルな流通とネットのECを両面見てきた鈴木さんに聞いてみました。
マデュロ(以下M) 鈴木さんは富士通、ソフトバンクを経て、セブンネットショッピングを創業され、セブン&アイホールディングスでも取締役CIOを勤められましたよね。現在の会社ではどのようなことをされていますか?
鈴木 企業のデジタルトランスファーに対するコンサルティングがメインです。ネットの発達によって各業界の壁がなくなった現在、生活者個人の様々な行動をデジタルでつなげることが価値のあるデータベースになります。洋服や本を買ったり、不動産投資をしたり、個人資産や遺産相続の悩みがあったりと…様々な行動がデジタルでつながってデジタルで何でもできる時代。でも、これは単にデジタルだけで全てを解決できるということではなく、アナログな部分もより必要になってきます。
西川 弊社もお客様と直接面談をするというアナログ的な営業活動で得たデータをオンラインの世界につなげて、さらに有益な情報を提供するという仕組みに。それを発展させたのがエレファントです。
M 鈴木さんは、遺産相続の税理士事務所のデジタルシフトのコンサルティングをされてますよね?
鈴木 100人規模の税理士さんが所属している、遺産相続専門の日本で一番大きな税理士事務所なのですが、遺産相続での家族の揉め事を解決する一番のノウハウは、生前に家族間で相続の会話をいかに多くしておくか、ということに尽きるそうです。結局デジタルが進んでも、直接話すというアナログ的な行動も重要なんです。
西川 医療業界も再生医療(※1)などデジタルを使って、海外とのマッチングを求めています。異業界がデジタルでつながることでデータベースが共有されて、社会が活性化していくわけですね。
鈴木 2020年以降、5Gが行き渡り、レスポンスが速くなることで、様々な業界が横にデジタルでつながっていきます。不動産、資産運用、グルメ、健康…それぞれバラバラだった情報がデジタルでつながります。個々のライフスタイルが明確になり、生活が満たされる情報やサービスが受けられるようになると思っています。
西川 他業種も含めて横軸のデジタルでつながっていけば、生活者も社会も活性化していきますね。
鈴木 私自身、最近業種を超えて企業同志をつなげていくことの面白さに気づきました。弊社はメーカーや小売、外食、放送事業など様々な企業のデジタルシフトのお手伝いをしています。そこでデジタルの相談を受けた時に感じたのは、各企業は業界内の論理だけで動いていることが多いということです。また、抱えている悩みは皆さん一緒。今やデジタルで異業種の業界がつながり始めています。ですので私の役割は、業界の論理を飛び越えてアナログの視点で異業種の人と人をつなげ、悩みを一緒に解決していくことです。
M デジタル分野のエキスパートの鈴木さんが、アナログの視点で動くというのは新鮮です。でも実は理にかなってる!と実感します。
鈴木 デジタルの人がアナログに、アナログの人がデジタルに触れると、新発見やアイデアが生まれます。また、大企業とベンチャーはそれぞれ断絶している感がありますが、私はそれをつなぎたいです。
西川 ちなみにエレファントではSBIホールディングス(※2)様の商品も取り扱っています。
鈴木 北尾吉孝さん(SBIホールディングスCEO)には、ソフトバンク時代に、「人が人を信じるというのは、言ったことをきちんとやり遂げた時だ。自分で決めた目標をきちんと成し遂げたお前を信じる」と評価していただいたことが今でも心に残っています。その時、これこそが信頼なんだと感じました。北尾さんは義理人情を大事にして、いつもすごく勉強されているんです。若い起業家の方は資金調達やIPOをしてゴール!という人を見かけますが、それではダメ。人間関係を大事にして、勉強して「五徳(仁・礼・信・義・智)」を積んで、実業を継続。社会に貢献、還元してほしい。西川さんも頑張って!
西川 いいお話ですね。私もエレファントのサービスをもっと良くするために、もっと突き詰めていきたいと思います。
鈴木 Yahoo時代、孫正義さんからは大義というものについて学びました。弊社の事業はデジタルシフトのコンサルティングですが、人と直接会って、正しい商売をして、周りの信頼を得ないと、真の成功とは言えないと思っています。私自身はリアルとネットが融合すると、必ずいい世界になると信じています。古い商慣習との摩擦を乗り越えるのは大変な作業ですが、アナログ的に直接話をして相手の業界の土俵で結果を出さないと、デジタルシフトの協力は得られません。仕事では常にリアルとネットの融合、アナログとデジタルの共有を意識しています。
西川 やると決めて反対されるとやり通せるか不安に。仕事で折れない秘訣って何でしょうか?
鈴木 先ほどの北尾さんの言葉「言ったことをやることが信頼だ」のように、ブレずに信念を持っていることです。孫さんに初めて会ったのは1995年なんですが、その時からデジタル情報革命(※3)を起こす!と孫さんはおっしゃっていて、それを今でも一貫しておっしゃっております。セブン&アイホールディングスの鈴木元会長(※4)も「美味しい弁当が必ず売れる」と40年間言い続けていました。
西川 ブレない信念は大切ですね。今後エレファントをさらに進化させていくためには、どのような分野に注目すればいいですか?
鈴木 不動産と遺産相続は相性がいいですから、そこは必須ですね。そういう意味でも弁護士や税理士業界はよりデジタルシフトが必要です。これからの遺産相続にもスマホを活用する時代になります。
M さらに再生医療などの健康分野もあるといいですよね。いつまでも元気で若々しく健康いられるのは、富裕層の最終テーマです。
鈴木 遺産相続はドロドロしがちです。なので「心をつなぐ」をキーワードにしたwebサイトの立ち上げを予定しています。そのためにCXデザイン(※5)を作成したのですが、遺産相続は親が亡くなってから自分が亡くなるまでの約30年間。この期間には、子供の成長や家族関係、住宅、健康など様々な問題が出てきますので、各分野の情報が求められます。
西川 昨年からエレファントを本格的にスタートしましたが模索中だったので、参考になります。
鈴木 今、世界を動かしているGAFA(※6)だって、たくさんの失敗があります。小さな企画をたくさん立てて、多角化に動かしていくことが成功の秘訣です。勉強し続けて、諦めないことが優れた人の条件だと30代後半で気づきました。同年代や同業種の方とはお付き合いがあるかと思いますが、20歳以上年上の異業種の人と積極的に交流すればいい影響を得られると思います。
西川 ぜひ心がけて実践していきます! ありがとうございました。
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