パパ的資産運用の回し方実用ノート第9回「デジタル社会においてアナログ感の価値がより重要に!」
新型コロナウイルスが世界的に蔓延し、これからはウイズコロナの新しい生活様式求められる時代、つまりニューノーマルな時代に大きく変化しました。ここ数年は多くの外国人が日本各地に訪れ、観光産業が大変に盛り上がっていましたが、インバウンドが大幅に減少してしまい、観光地も大きなダメージを受けています。今回は京都出身で、お茶屋の跡取りとして生まれたものの舞妓の道に進まず、事業家として活躍している栄藤ひとみさんがゲストとして登場。京都出身の西川社長との京都あるある話を交えながら、京都独特の地域性や伝統芸能など京都の観光コンテンツをこれからの時代に合わせて、どのようにプロモーションして、価値訴求をしていくかについて、コロナ禍の中、Zoomを介してお話ししました。
マデュロ(以下M) 栄藤さんは生粋の京都人で、著名人や財界人など名だたる有名な方々と繋がっていますよね。
栄藤 京都の老舗お茶屋の娘として生まれたので、自然と知り合う機会が多かったんですよね。
西川 私も京都出身で、高校から龍谷に通っていたのですが、栄藤さんの曽祖父様が龍谷大学(※1)を、学長を務めていたんですよね。ビックリしました。
栄藤 仏教の研究をしていたようで、親族もお寺関係者が多いんです。
西川 私の龍谷の高校大学時代の友達もお坊さん多いんですが、私は不動産投資を含めた資産運用会社の道に進みました。最近の京都の不動産事情はいかがですか?
栄藤 京都のマンションや土地はここ数年すごい値上がりを続けています。東京の港区と同じような状況ですね。富裕層が多く集まる下鴨西通り(※2)は、東京の白金台エリアと同じくらいの土地価格になっているようです。
西川 そうですよね。私は京都の中で北山出身なのですが、栄藤さんのご出身はどちらのエリアなんですか?
栄藤 昔から自宅は先斗町の近くですね。子供の頃は近所の鴨川にはホタルが普通に飛んでいました。今は道も舗装されて近代的に変わってしまいましたが、人は変わらないですね。京都人って外から見ると良いイメージかもしれませんが、中に住んでいると窮屈なことも多いんです。
西川 京都人の実業家や投資家の方は、どんなことに投資されているでしょうか?
栄藤 京都の中にいる実業家や投資家の方は、京都を変えないことに投資していることが多いと思います。土地にしても特に風致地区(※3)に指定されているところでは、土地の売買に関してとてもシビアです。京都出身でない新しい人が入ってくることに対してとてもシビアなので、参入障壁はとてもハードルが高いと思います。
西川 いまだにそういう京都気質が残っているんですね。
栄藤 食事からお付き合いや文化財まで「京都の中でお金を使う」という目に見えない昔からの慣習は根強いです。京都の文化は自分たち京都人で育てた!という自負が強いんです。京都人なら京都の人と結婚しなさい!なんていう価値観もいまだにありますもん。謎の京都国憲法的なものですね。
M 京都って、そういう一見さんお断り的な、囲い込みの文化(※4)が根付いていますよね。
栄藤 そうですね。そこには先代、先先代と家族代々での長いお付き合いがベースにありますよね。お茶屋さんをはじめ、その場で支払いしない請求書ベースの「信用貸こそ粋!」ということで、いまだに成立していますから。タクシー代ですらツケでOKなところがあり、財布を持たずに京都で遊ぶのが粋!なところがありますから。
M とはいえ、世界中から多くの観光客が訪れる京都ですから、時代に合ったシステム導入やデジタル化を進めていく必要はありますよね。特に海外の富裕層はクレジットが常識ですよね?
栄藤 そうですね。特にコロナ以降、キャッシュレス化はますます進むと思いますので、いくら伝統を重んじる京都文化であっても柔軟に対応する必要はあると思います。お料理屋さんでも値段の表記がなく、お客さまによって金額が変わるといった仕組みも、時代に即して変えていかなければならないとは思います。
西川 ただ進めすぎると、京都らしさを失いかねませんよね。
栄藤 そうなんです。周りと足並みを揃え京都の伝統を守りながら、徐々に時代に合わせたデジタルを取り入れていく。そのためにも京都をご案内するコンシェルジュ的なサービスを私たちや京都のお茶屋さんが提供できればと考えているんです。コネがないと入れないようなお店でも、定額で楽しんでいただき、京都の魅力を知ってもらえる方法を模索しています。
M そういった京都の特別な体験を通して、お客さまのライフタイムバリューを上げるということですね。
西川 我々のエレファントのサービスにも通じる考え方ですね。
栄藤 ただし、古くからのしきたりを重んじる京都ですので、品格が求められます。無闇にSNSにアップしたりして自慢するのではなく、日本の文化と歴史を肌で感じていただき、その特別な体験自体を楽しんでいただきたいですね。
西川 栄藤さんはお茶屋さんを通して、そういう価値観を提供していく動きをしているんですね。
栄藤 私は京都の伝統芸能や花街の常識で育ってきたので、ガチガチの古い京都人的な価値観が自然と身についてしまっていました。でも新しい時代の価値観も積極的に取り入れないと、京都の素晴らしい文化を知ってもらう機会が減ってしまうと感じて、メディアやデジタルの世界に身を置き、発信方法を学んでいます。
M あらゆる業種で新たな価値観創りというのが、これからは重要になりますよね。西川さんも資産運用を利回りだけではない、数字に見えない価値観をどれだけ提案できるかを意識されていますよね。
西川 そうですね。不動産を収益性や立地など数値だけで見るのではなく、その地域の中にある魅力をワクワクドキドキするようなエモーショナルな切り口で情報を提供したいと思っています。
栄藤 花街も「見えない価値観」を大切にしています。100年、200年と続くお茶屋の中で、お客さまとのご縁を紡いできたからこそ信用をしていただき、その結果として接待場所として大きなビジネス取引が成立することも多く目の当たりにしてきました。
西川 オンラインで繋がりやすい世の中だからこそ、オフラインならではの特別な信頼感というのはさらに価値が高まり、もっと絶大になっていきますよね。
栄藤 今はコロナの影響でインバウンドも激減しましたが、海外の富裕層の方にも本物の日本文化を体感していただきたいと思います。そうするとファンになってもらえますから。世界的IT企業の超有名なアメリカ人経営者(※5)が京都に家を買われたりという話もあります。海外の富裕層にとっても京都は特別の場所だと感じていただいているようです。
M 凄いですね。そのように世界の富裕層から日本の価値観を認めてもらえるのは嬉しいですね。
西川 デジタル時代だからこそ、数字には見えないプライスレスな価値観やサービスを提供できることはとても重要なことだと再認識しました。
栄藤 お茶屋文化や伝統芸能などをしっかり発信することで、この京都文化、日本文化の理解を深めていただき、投資していただけるような活動を今後も続けていきます。
センチュリオン代表取締役社長
西川将史
2008年に不動産売買やコンサルティング、ファイナンスアレンジをメイン事業として創業されたセンチュリオン。特に優良物件情報と資金調達コンサルをセットで提供する資産運用は、高い実績を誇る。資産運用希望者との対面面談を元にした、資産運用コンサルティングを行っている。
今月のゲスト
事業家
栄藤 仁美さん
1989年、京都府生まれ。足利尊氏の直系の子孫にあたり、京の花街で7代続くお茶屋の娘として生まれる。17歳で事業家となり、レコード会社やバーの経営などを行う。また東京ガールズコレクションのスーパーバイザーを務め、「ミスiD2017」では安藤美冬賞を受賞。現在は多種多様なコンテンツのプロデュースを行っている。
エレファントの使い方
↓
↓
↓
Elephant˚Cとは!?
多言語対応の音声認識により、顧客属性にマッチした資産運用を提案するシステム。資産運用や相続全般に関わる総合サービスで、場所や時間に制約されず、無料相談を受けられます。www.elephant-cent.jp
【注釈】
龍谷大学(※1)
京都市伏見区深草に本部を置く仏教系の私立大学。大学は1922年に創立しましたが、1639年に西本願寺13代宗主の良如が僧侶の教育機関として創立した学寮を起源としています。僧侶の教育機関として有名なだけに、建学の精神は浄土真宗の精神にもなっている「真実を求め、真実に生き、真実を顕かにする」が方針。また歴史ある僧侶の教育機関なだけに、京都の有名寺院の僧侶はもちろん、全国各地の寺院に卒業生がいます。全学部1年次必修科目として「仏教の思想」を開講しています。また野球が強いことでも有名で、数多くのプロ野球選手を輩出しています。
下鴨西通り(※2)
世界文化遺産の下鴨神社や参道に原生林が広がる癒しのスポットの糺(ただず)の森、京都府立植物園など、風光明媚な地域として知られる下鴨エリア。なかでも下鴨西通沿いには京都が世界に誇る大企業や上場企業の経営者たちの大きな邸宅が立ち並んでいるのが特徴で、京都の中でも1、2位の高級エリアとなります。別名「社長通り」とも呼ばれています。
風致地区(※3)
自然の景観を維持するために、都市計画を定められた地域地区のこと。1919年に制定された土地計画法で、建築物の建築や樹木の伐採などに制限が加えられます。京都市では、景観や自然を守るために1970年に京都市風致地区条例を制定。風致地区の中でも、世界遺産や歴史的建築物や自然が多い地域を特別修景地域に指定し、きめ細かな規制をしています。鴨川、比叡山、東山、醍醐、伏見桃山、鞍馬山など62ヶ所が特別修景地域に指定されていて、毎年8月16日に執り行われる京都の伝統行事である五山の送り火…いわゆる大文字焼きとして有名な如意ヶ嶽が代表的。
囲い込みの文化(※4)
一見さんお断りは、京都ならではの文化。一見さんお断りとは、いわゆる紹介制システムのことで、お店の常連さん、もしくは常連さんから紹介されたお客さんのみが入店を許されるシステム。常連のお客さんを第一義に大事に扱い、徹底的に最大限にもてなす…例えばお会計はツケで回すなど、信用払いのビジネスが成立する、京都の花街ならではのしきたり文化です。
世界的IT企業の超有名なアメリカ人経営者(※5)
大学在学中に立ち上げたITサービスが世界中で広まり、今や世界的な超メジャーIT企業となった超有名なアメリカ人経営者。保有資産額は数百億ドルを超えて、世界長者番付のトップ10の常連としても名を馳せています。よく京都にお忍びで訪れていることでも知られ、2019年には京都にある美しい借景のお屋敷を購入したそうです。なるべく手を入れずに、木を感じられる平家のままで別荘として使用するとのウワサで、最新最大限のセキュリティシステムを導入をされているそう。