TOP / FASHION / その革カバンは縁を呼ぶ。「TOUR RECORD」未発売コレクションについて伊禮門 悟さんインタビュー
その革カバンは縁を呼ぶ。「TOUR RECORD」未発売コレクションについて伊禮門 悟さんインタビュー

その革カバンは縁を呼ぶ。「TOUR RECORD」未発売コレクションについて伊禮門 悟さんインタビュー

高級レザーブランド「TOUR RECORD」(トゥールレコード)には、商品化されず未発売となっているNFS(Not For Sale)バッグが多数ある。幻ともいえるこのバッグたち、その理由とは?

TOUR RECORDで未発売のバッグたち、その理由とは?

製品化されず未発売となっている、いわば幻のバッグたち。ここに写る革バッグの他、その数は20~30点ほどもあるが、どれもTOUR RECORDの代表でありプロデューサーである伊禮門 悟さんの私物ということだ。なぜ製品化や発売がされていないのだろうか?
撮影・編集/加藤大地
株式会社BiS
代表取締役 伊禮門 悟(いれいじょう さとる)さん
1994年12月22日生まれ、神奈川県出身。2021年4月、神奈川県綾瀬市に株式会社BiSを設立し、テレビパブリシティに関する代理店業務を開始。レザーウォレットや革ジャンなど革製品の「TOUR RECORD」(トゥールレコード)、高級スカジャンの「JacksonSquare Tokyo Shibuya」(ジャクソンスクエア)など、数々のブランドをプロデュースしている。最新著書に「経営者の羅針盤」(発行:ファストブック)がある。

最初から商品化するつもりが無かった革カバンたち

―― ここにあるバッグたちはTOUR RECORDのブランド刻印のあるものが多いようですが、そもそもなぜ発売されていないのでしょうか?
伊禮門 「これらは革職人さんが作ってくれた作品で、僕が一点ものとしてオーダーしたものとか、職人さんが僕にプレゼントしてくれたりとか、(モノ作りの)哲学とかお話したらそれを形にしてくれたりとか。それぞれに事情はありますが、私的なもので最初から商品化するつもりが無かったんです。ただ好きで集めたという男の収集魂みたいなところもあって。元から自分用のカバンとして作ったので、売りたくないものがあるのも本音ですね」。
―― いつくらいからこの未発売コレクションが始まったのでしょうか?
伊禮門 「4年間ぐらい前からかな。ブランド立ち上げの前からです。最近ものすごく数が増えましたね。なんかやっぱりハマっちゃうと『これもこうしてみたい』とかやっていて、だんだんラインアップが増えていくんです。もちろん、その中でTOUR RECORDの商品としてリリースしたものもあります。数多くの作品の中から私が実際に使ってみて、本当に良いと思うものだけを商品化したりしています」。
―― なるほど、モノの段階でTOUR RECORDのラインアップを決めているのでなく、実際に使ってみてその価値を決めているということなんですね。
伊禮門 「はい。革職人さんと一緒に作っていく感じです。僕がデザインしたのは牛革だけど、それをあえて馬革でやり直してみて、ちょっと高級ラインにしてみたりとか。そうやって製品に試行錯誤していく中で未発売のものを自分で使ってみて、商品化する前に気に入っているものを後輩にあげたり、誰かに使ってほしくなっちゃうものも結構あるんですよ」。
表面は高級ラインとしての顔を持ち「TOUR RECORDの顔」とも言える革カバンだが、裏面には「M」のマークの傷が入っり遊び心ある。これも未発売もの。

マーケティングだけでない「作る」「届く」「仲間が増える」喜び

―― そういうプロセスで製品化されない幻の作品が多数生まれるんですね。
伊禮門 「はい。ただ、その試行錯誤のプロセスは無駄ではないと思うんです。作品を通して僕の哲学とかを職人さんとお話してたら、ブランドの哲学的なものも伝わるじゃないですか。結果的に今それを構築(可視化)していったり、理解してくれる仲間も増えてきていて。そうして作ったりみたいなこと繰り返してたら、気づいたら、やっぱり物が増えすぎてきたっていう」。
―― 試行錯誤に必要なプロセスや、出来上がった一点もが人の手に渡ることで仕事になっていくんですね。それにしても今TOUR RECORDで発売が決定される”決め手”は、具体的にどういったことなのでしょうか?
伊禮門 「決め手はやっぱり『欲しい』って言ってくれたり、使っていて『いいね』って言ってくれることです。欲しがる人がいるところはニーズがあると感じます。
撮影・編集/加藤大地
―― そこがモノ作りの原動力になっているということなんでしょうか。
伊禮門 「それだけじゃなくて、僕の喜びもあります。オーダーを受注しているわけじゃなかったけど(初期の頃は)製品が届く喜びがいつもありました。なんて言うんだろう、オーダーしたものが届いたその瞬間、すごく僕の中で嬉しくて。自分でデザインした革製品を販売用で職人さんに注文して、同じものが10個届いた時にも、自分用にオーダーした時と同じ喜びがあったので。これはビジネスにしても、その喜びが変わらないはずだと。趣味の範囲を超えて仕事になってくると責任も伴いますけど、作る喜びとか、仲間が増えていく喜びとか、たくさんの喜びができるのが嬉しいですね」。

仲間が増え、仕事になってゆく「出会い」と「運命」

伊禮門 「職人さんもそうですし、ロゴを作る人とかもそう。あと、世界観作ってくれる美術家の人もいて。その出会い一つひとつを結晶にしていくことができるのがブランドだなって思っています。趣味だとそこまでできないし、やっぱり仕事としてやっていくことの楽しさっていうのも見つけて、最近そういったことを痛感しています」。
―― 伊禮門さんの頭の中のイメージを形にして、周りの人たちや身近な人たちの反応を得て、それを職人さんがまた形にするといったチームワークの繋がりが仕事になっているんですね。
model/高橋唯花さん、竹林雄瞬さん。
伊禮門 「そうですね。繋がりといえばちょっと遠回りな話ですけど、いつも通ってい寿司店で沖縄の魚で寿司を握るというイベントがあって。そこで宮古島の漁師さんと知り合って、一緒に素潜りやってみようってことになって、実際僕宮古島行ったんですよ。そうしたら宮古島の革職人さんを紹介いただいたんですけど、その職人さんからさらに『韓国のこの人知ってる?』って言われて。知らないけど連絡してみますって言って連絡したら、すぐ東京来てくれて、今その人と仕事してます」。
―― 良いもの、良い革製品を作っていると、人との縁が繋がっていくということでしょうか。

伊禮門 「運命的なものを感じてやってるっているところもあります。僕の頭の中にあることをデザイナーさんや職人さん、周りの仲間たちが協力してくれて、アウトプットしてくれるんですよ。全部形にしてくれるので、それが仕事になると面白くてしょうがないと思っています」。
「MADE IN SEOUL」と刻まれた革カバンも。伊禮門さんは多くの出会いを経て、韓国のパートナー達とも深い信頼関係を持ち、より良い革製品を作りはじめている。

TOUR RECORDというブランドが繋ぐ「縁」

model/高橋唯花さん、竹林雄瞬さん。
―― ここにある伊禮門さんのために作られた一点ものや商品化前の革カバンも、それぞれの縁があって人を繋げてくれるのでしょうね。TOUR RECORDの商品として誰かの手に取ってくれたら、またそれも縁ですね。
伊禮門 「良い革は使っていくと育つじゃないですか。それは革好きな人みんなそう思うはずなんですけど、育っていくことが本当に嬉しくて。良いものだからこそ誰かに使ってほしくて、多くの人に育ててもらいたい。この喜びをシェアしたいと思うようになると、それはつまり育ててくれる人との縁なんだなと」。
傷だらけの革の表情がかっこいいこのケース、「これはタブレットケースにしようと思って作ったんですけど、(この大きさが)便利すぎて結局タブレットは入れずに使っています」という。
―― 多くの未発売革カバンたち。この名前も無い、それぞれのストーリーを持つカバンを伊禮門さんは大切に使っている。いつか誰かの手に渡ることがあれば、そこからまた新たな縁に。そして、TOUR RECORDのラインアップに加われば、私たちもその縁に加わることができるのだろう。
撮影・編集/加藤大地
撮影・編集/加藤大地
TOUR RECORD公式サイト https://tourrecord.jp/

取扱店
National Point(ナショナルポイント)
東京都新宿区西新宿6-12-4 コイトビル5階
 都営大江戸線都庁前駅 A5出口から徒歩約3分
 東京メトロ丸の内線西新宿駅 E4出口から徒歩約3分
営業時間/10:00~19:00(不定休)
TEL/03-6900-4713
https://shop.nationalpoint.jp/
LINE/https://lin.ee/RvkTyUo
TOUR RECORDでは革ジャンも手掛けている。新宿区の取扱店、National Point(ナショナルポイント)で袖を通してみることもできる。
撮影・編集/加藤大地
バッグ撮影・編集/加藤大地、model/高橋唯花さん、竹林雄瞬さん 取材・撮影・文/垣野雅史
  • SHARE   
  • facebook
  • twitter
  • LINE
  • Pinterest
同じカテゴリの記事一覧
RECOMMENDS