エルメスのバッグの中で、ケリーとバーキンの次に価値が上がりそうなモデル3選/第9回
大久保 前回までは、エルメスのケリーとバーキンの人気がサステナブルで、これからもどんどん価値が上がり続けていくお話をお聞きしました。今回は、そんなエルメスのバッグの中で、次に価値が上がるモデルについてお伺いしたいと思います。
青木 確かに、エルメスのバッグで価値が上がっているのは、ケリーやバーキンだけではありません。その中で、まず1番目に上げるのが、最近人気がどんどん上がっている「ボリード」。丸みのあるシルエットがとても女性的。軽くて、ショルダーバッグとしても使えるので、実に使いやすくて実用的。ケリーやバーキン並みに人気が高いです。
大久保 確かに、ボリードは人気が高いですね! 妻もいくつか持っていて、普段使いできるエルメスバッグという印象です。
青木 そうですね。ボリードなら、ご近所の奥さまの目も気にならないので、日常的に使いやすいのではないでしょうか。
大久保 ケリーやバーキンは、希少で高額な分、ともすれば威圧感がありますからね。子供の学校の行事に参加する時も、ボリードは持って行きやすいようです。とはいえ、ボリードにはサメ柄や野球のボールモチーフなど、ユニークなタイプも多いですよね。でも、あまりにキャラが強いと、人気も乱高下しそうですが、実際はどうですか?
青木 その通りです。発売された直後は話題性があるので、価値は上がりますが、ほとぼりが冷めると、一気に価値が下がる可能性もあります。
大久保 派手すぎるボリードは、サステナブル的には難ありですね。ちなみに、ボリードのリセール市場の価値相場はいかかですか?
青木 リセール市場でも人気は高く、たくさんのボリードが出ていますが、色や状態にもよりますが、新品の7割ほどで買取されているようです。ボリードの場合、現在はまだケリーやバーキンのようにリセール市場の販売価格が新品価格を上回ることはありません。しかし、人気の高さから鑑みて、これからはもう少し価値が上がっていく可能性もあります。
大久保 なるほど。他に、ケリーやバーキン並みに高価なモデルは、他にありますか?
青木 では、2番目を上げましょう。ケリーやバーキンを持っている人が次に選ぶバッグが、「オータクロア」。130年近く前にエルメスが初めて作ったバッグで、バーキンの原型となったバッグ。それゆえに昔からオーダーメイドで頼むことが多く、真のエルメスの上顧客が所有してきたバッグです。オーダーすると価格は一気に跳ね上がり、500万円、600万円はザラで、1000万円以上のオーダーメイドをする上顧客もいるようです。
大久保 確かにエルメスのバッグの中でも、究極ですよね! 上顧客となると、革もクロコとかパイソンとか、高価なエキゾチックレザーでオーダーしたり、さらなる差別化を図ってオーダーするので、どんどん高価になっていきますよね!
青木 オーダーメイドといっても、お店に行ったらすぐに作ってくれるわけではありません。何年も待たされるのは当たり前。仕上がるまでの期間はお約束なしの不確定。もちろん、オーダーできる顧客はごく僅か。だから、オーダーメイドのオータクロアが市場に出回る数は、圧倒的に少ないんです。
大久保 ケリーやバーキンよりも、ヒエラルキー的には上って感じですね!
青木 斜め上といったところですね。真のエルメス通が選ぶモデルといった感じでしょうか?
大久保 となると、リセール市場の相場も高くなりますよね。
青木 基本的にはそうなんですが、出回っている数が少なく、しかも個性が強すぎるモデルが多いので、相場が不確定なんです。オータクロアに関しては、気に入った革や色柄があれば、価格には糸目はつけないみたいな世界なので…。ある意味、絵画みたいな市場です。
大久保 キャンバス生地のオータクロアを一時期よく見ましたが、リセール市場での価値相場はどうなっていますか?
青木 実は、オータクロアだけに限らず、エルメスのバッグの中で、キャンバス生地は総じて価値はあまり高くないんです。布製なので、どうしても汚れが目立ちやすく、ヘタりやすいので…。
大久保 ちなみに、その他にもおすすめできない素材ってありますか?
青木 好みがあるので、一概にどの素材が良い悪いと言えませんが、コンディションを保ちにくい素材という基準はあります。ちなみに、汚れが付きやすく目立ちやすいキャンバス地、傷が付きやすく目立ちやすいボックスカーフ、そして柔らかいがゆえにクシャッと劣化しやすいスイフトレザーです。どれも注意して丁寧に使ったり、こまめなケアをすれば、良い状態を保てます。しかし、現実的には難しい。トゴやトリヨンクレマンス、エプソンの革が価値が高いのは、傷や汚れが付きにくく、丈夫でヘタりにくく、お手入れもラク…この3拍子が揃っているからなんです。
大久保 サステナブルなバッグを選ぶには、革の素材選びも重要ってことですね。
青木 最後に、とっておきのエルメスバッグをご紹介しましょう。エルメスのバッグの中で最近価値が上がりつつある、知られざるモデルがあるんです…。
大久保 えっ? それはぜひ知りたいです!
青木 ズバリ「ピコタン」です。元々は高級馬具メーカーだったエルメスらしいバッグです。馬のエサ入れにインスピレーションを得たモデルなんですが、超シンプルなバケツ型で、使いまわしやすいのが魅力です。実は、2003年から5年間くらいの期間しか作られていないんです。しかも、ケリーやバーキンと同様に、いわゆるエルメスのお店の「秘密の小部屋」に通された顧客しか買えないバッグ。それでいて、元々の価格は40万円ほど。リユース市場での販売価格も50万円程度。ケリーやバーキンと比べると、値ごろ感があります。ただし数は少ない割に人気が高いので、入手困難。ある意味、ケリーやバーキンよりもピコタンの方が手に入りにくいかもしれません。
大久保 名前はかわいらしいのに、かなりのツワモノ感がありますね! しかし、さすがはエルメス。ネタにこと欠かないですね!
青木 どんなモデルでも、海外有名セレブが愛用していることが知られると、一気に価値は上がっていきますね!
大久保 となると、常にチェックしておいた方がいいですね。
RECLO
代表取締役社長 Founder/CEO
青木康時さん
事業会社4社のスタートアップ創業に携わる経験を経たシリアルアントレプレナー。2012年11月に現法人を設立し代表取締役社長に就任。日本最大のラグジュアリーブランドの委託販売&買取サービス「RECLO(リクロ)」の運営をしている。大手企業との提携や、海外180カ国での同時併売システムにより、正規品保証のグローバルリセールプラットフォームを展開。二児のパパとしても活躍しており、読者パパ代表としてMADUROにも度々出演している。
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