この20年どんどん価値が上がるエルメスのケリーとバーキンの中で、さらに値上がりモデルは？／第7回

今までの物を再活用する。単純に捨てるのではなく、リユースしていく。ファッションも然りで、ブランド品をもっとリユースしていこう！と。そんなサステナブルな循環社会を作るために、ファッションでできることを考え、ハイブランド専門のオンラインリセールを展開するRECLO社長の青木さんと、MADURO総編集長の大久保による連載が「MADURO SUSTAINA CLOSET powered by RECLO」。連載第7回のテーマは「人気のエルメスのケリーとバーキンの中でも、これからさらに値上がりしそうなモデルは？」。ケリーとバーキンの人気ディテールについて解説していきます。

大久保　前回、このコロナ禍にあってもエルメスのケリーとバーキンのリセール市場の価格相場は、まるで影響を受けていないとお聞きしました。

青木　はい、手放される人も若干増えてはいますが、常に需要が供給を上回っている状況なので、販売価格が下がったということはありません。エルメスのケリーとバーキンは、不況の影響をほぼ受けないんです。前回、お伝えしたように、この20〜30年の間に、販売価格が3〜4倍ほど値上がりしたモデルもあります。

大久保　凄いですよね！

青木　そもそも、新品の価格が30年前と比べて3倍ほどになっています。1990年代はケリーやバーキンは平均で50万円ほどでしたが、今では平均150万円ほどに。リセール市場の販売価格は、それにプラスして品薄なこともあり、さらに値上がりしたというわけです。

大久保　当時、購入して今も大事に使っている人は、今まさに価値が高騰し、高値になっていると実感しているでしょうね！

青木　はい、サステナブルな良い投資をされたといえます。しかも、今後まだ値上がりする傾向です。

大久保　需要がまだ伸びているってことですか？　中国をはじめとしたアジアでも、富裕層がどんどん増えていますからね。

青木　その影響は大きいです。だから、今150万円ほどで購入した新品がリセール市場に出ると、最大で250万円の価格が付きますから。

大久保　リセール市場の販売価格相場のほうが、高いってことですよね？　ケリーやバーキンは新品で購入できる人は、エルメスの顧客の方に限られていますが、欲しい人の数はそれ以上に多い。となると、リセール市場の相場の方が高くなるのは、当然ですよね！　

青木　なので、新品を買ったその足でリセールで売れば、瞬時に数十万円の儲けが出ます。しかし、ケリーやバーキンにはシリアルナンバーが入っていて管理しているので、顧客でもエルメスで希少なバッグを購入できなくなる可能性があります。あとケリーやバーキンだからといって、何でも値上がりするかといえば、そうではありません。やはり、色や革、形、サイズによって、人気不人気はあります。

大久保　それはぜひ知りたいですね。

青木　まずサイズですが、日本だと25cmから30cmサイズが人気。一番人気は30cmです。25cmサイズはパーティバッグとしての需要が高いのですが、普段使いとなると30cmサイズがちょうどいいんです。35cmサイズになるとA4書類が入るくらい収納力が高まりますが、その分重くなります。40cmサイズだと女性にはかなり重くて大きく感じますが、男性にとってはバランスが良いサイズで人気です。

大久保　海外では、大きめサイズが人気ですよね。青木　海外では、女性でも40cmサイズを持つ人は多いです。海外は総じて大きめサイズの需要が高いので、大きめサイズがあまり好まれない日本で買った方が、安く手に入るケースが多いです。革においては、トゴやトリヨンクレマンスといった、いわゆるシボの入った柔らかな革が人気です。持ちやすいことに加えて、傷が目立ちにくいので、リセール市場の販売価格も高くなります。表面がツルッとしたボックスカーフは、光沢があるので見栄えは良いのですが、どうしても傷が目立ちやすくなります。その分、買取&販売価格も下がります。

大久保　エキゾチックレザーや派手な色、カスタマイズものだと、価格は上がるのですか？

青木　稀少性の高いものだと新品時の価格が高いので、リセール市場の価格ももちろん上がります。とはいえ、個性が強いカスタマナイズされたモデルは、エルメスでも相当な顧客しかオーダーできません。また個性が強い分、リセール市場でも購入する人は限られてきます。価格としては高くとも、直ぐにレスポンスがあるかどうかは微妙なところです。

大久保　知れば知るほど、奥が深いですね。では、次回は、具体的にケリーとバーキンのそれぞれ売れ筋ベスト3をお聞きしたいと思います。

青木　了解しました。では、また次回に。

RECLO
代表取締役社長 Founder/CEO
青木康時さん
事業会社4社のスタートアップ創業に携わる経験を経たシリアルアントレプレナー。2012年11月に現法人を設立し代表取締役社長に就任。日本最大のラグジュアリーブランドの委託販売＆買取サービス「RECLO(リクロ)」の運営をしている。大手企業との提携や、海外180カ国での同時併売システムにより、正規品保証のグローバルリセールプラットフォームを展開。二児のパパとしても活躍しており、読者パパ代表としてMADUROにも度々出演している。