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クロムハーツ、ゴローズの人気と価格高騰は、キムタク、藤原ヒロシに理由あり?/第12回

クロムハーツ、ゴローズの人気と価格高騰は、キムタク、藤原ヒロシに理由あり?/第12回

今までの物を再活用する。単純に捨てるのではなく、リユースしていく。ファッションも然りで、ブランド品をもっとリユースしていこう!と。そんなサステナブルな循環社会を作るために、ファッションでできることを考え、ハイブランド専門のオンラインリセールを展開するRECLOのFounder(創業者)の青木さんと、MADURO総編集長の大久保による連載が「MADURO SUSTAINA CLOSET powered by RECLO」。連載第12回のテーマは「クロムハーツ、ゴローズ人気と価格高騰のきっかけは、キムタク、藤原ヒロシに理由あり?」。

大久保 前回は、クロムハーツ、ゴローズのリセール市場の価格高騰が激しくて、特にレア物になるとネット上で店頭販売価格よりもゼロが1つ2つ高く取引されているお話しをしてきました。今回は、なぜクロムハーツやゴローズが、ここまで人気になり、とてつもない価格で転売されるのか、理由をお聞きしたいと思います。まずは、クロムハーツのファンと、ゴローズのファンの傾向をお聞かせください。


青木 2010年くらいまでは、クロムハーツのファンとゴローズのファンは、お互いにちょっとしたライバル意識というか、垣根みたいな感じがあったんです。クロムハーツのファンはゴローズは買わないし、ゴローズのファンはクロムハーツは買わない、みたいな…。ですが、ここ最近は両ブランドのファンの垣根はなくなり、ミックスして着けている人が多いようです。


大久保 確かに昔は、クロムハーツのファンはラグジュアリーブランド好きな人、ゴローズはアメカジ好きな人…というイメージがありました。雑誌で言うと、ラグジュアリーモード系の雑誌はクロムハーツ推し、アメカジ及び裏原ストリート系の雑誌はゴローズ推しみたいな…。当時、LEONでも、クロムハーツは取り上げるが、ゴローズは管轄外みたいな。


青木 1990年代までは、現在とは違って日本の流通体制が確立していなかったので、クロムハーツの日本に入ってくる量はまだかなり少なかったんです。だから、流行ってはいましたが、なかなか買えなかったんです。日本におけるクロムハーツの聖地が、盛岡にある「インテレクチャルギャラリー」でしたが、90年代当時はここでしか買えないアイテムがあったんですね。加えて、90年代のファッションアイコン、木村拓哉さんが、クロムハーツのキーパーリングなどを着けて、その人気は一層拍車をかけて高くなっていきました。2000年代前半頃までは、クロムハーツのレア度はかなり高かったんです。一方、ゴローズは当初、一部のインディアンジュエリー系が好きな人、ネイティブアメリカンが好きの人だけのマニアックなブランドでした。今のような一般的な人気ではありませんでした。ですが、2010年代になると、急激に価値が上がり、ネットやセレクトショップで高く転売され始めてからは、ラグジュアリーブランド好きな人たちも着けるようになりました。


大久保 徐々に市場やファンの垣根を超えていったんですね! 木村拓哉さんといえば、クロムハーツのレア物を身に着けて、雑誌によく登場していましたよね?


青木 そうですね。なかなか実物をお目にかかることのできないレア物を、たくさん持っているんです。例えば、B’zの稲葉さんが木村拓哉さんにプレゼントしたローラーリンクベルトや、最近ゲリラ販売されたクロスパッチの付いたデニムパンツなどは、リセール市場やネットでの転売マーケットで探している人も多いようです。デニムパンツは、店頭価格の数倍の70万円近くの値で転売されているようです。


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クロムハーツのオーラーリンクベルト、参考イラスト。

大久保 木村拓哉さんは、クロムハーツだけでなく、ゴローズも愛用されてますよね!


青木 そうですね。木村拓哉さんの功績はかなり大きいです。ゴローズに関して言えば、第3次ブームの火付け役と言いますか、牽引役です。


大久保 ゴローズの第1次ブームは、いつ頃になるんですか?


青木 1990年代の渋カジブームの頃に流行ったのが、第1次ブーム。さらにその後に、藤原ヒロシさんたち…いわゆる裏原系ブランドのディレクターたちが火付け役になったのが、第2次ブーム。2000年代後半に木村拓哉さんがゴローズを着けてメディアに登場するようになった以降が、第3次ブームですね。


大久保 木村拓哉さんは、ゴローズのどんなアイテムを着用していたのですか?


青木 木村拓哉さんがよく雑誌で着用していたのは、先金と上金の2枚の特大フェザーと、18金のハート付きホイールフェザー2枚セットです。この木村拓哉さん着用アイテムは、すごく高値で取引されています。先金フェザーは当時ゴローズの店頭では5万円台でした。しかし、今ではリセール市場でも、ネットでの転売価格も100万円は絶対下りません。ゴローズの店頭で発売当時10万円くらいだった爪付き特大フェザーのネックレス、4万円くらいだった全金ホイールも、現在はどれも100万円オーバー。こうした価格の高騰は、木村拓哉さん着用の影響が圧倒的に大きかったです。その後にEXILEメンバーの方たちが着け始めて、第4次ブームに入りました。


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木村拓哉さんのゴローズ着用アイテム、参考イラスト。

大久保 世間で、ネオ・ヤンキーと呼ばれたムーブメントですね。


青木 2014〜15年あたりですね。このムーブメントと平行するように、新宿歌舞伎町を始めとしたホスト系の方たちにブームが広がっていった印象です。


大久保 ただし、4次ブームと言っても、EXILEメンバーの方たちやホスト系の方たちは経済的に豊かなので、高騰した市場で末端の高価格で購入しているイメージなので、ブームを牽引している印象はありません。なので、クロムハーツに限らずゴローズも、結果としては骨太というよりは、艶っぽい印象に変わっています…。


青木 そうですね、結果として、艶っぽいかもですね…。


大久保 ブレゲやパテック フィリップよりも、クロムハーツやゴローズへ向く…ということですね。若くして成功されて財を成したベンチャー系の経営者の方たちも、自然とこの2ブランドを愛用しているイメージが強い…つまり、お客さんの層が変わってきている、と…。他にも、クロムハーツやゴローズの有名人エピソード、ありますか?


青木 クロムハーツだと、ミュージシャンとの関係性がとても強いです。日本人だと、氷室京介さんはクロムハーツの創業者のリチャード・スターク氏と親交が深く、オフィシャルコラボのアイテムをライブ会場で販売しています。この会場限定アイテムは、高騰しているんです。


大久保 確かに、ライブのツアーグッズとして売っていましたね!


青木 はい、ツアーグッズとして販売されていました。あと、歴史をひも解くと、クロムハーツを日本で初めて紹介したのは、コム・デ・ギャルソンの川久保 玲さんでした。ですので、いまだにドーバー・ストリートマーケットで販売していたり、コム・デ・ギャルソンとクロムハーツのコラボを定期的に販売するなど、関係性の深さは継続されています。2016年にリチャード・スタークの奥さんの名前を付けた女性サイズのコラボライダースジャケットがドーバー限定で発売されたのですが、これも現在相当なレア度を誇るアイテムで、数倍で取引されています。変わり種ですと、コム・デ・ギャルソンとコラボしたパール×シルバーのコレクションは依然として人気が高く、ネットでの取引価格も100万円以上の値が付いて、店頭販売価格をはるかに上回っています。


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クロムハーツとコム・デ・ギャルソンのパール×シルバーのコレクション、参考イラスト。

大久保 クロムハーツは、どこかコム・デ・ギャルソンと販売方法というか、マーケットの雰囲気が似ていると感じていましたが、理由がわかりました。


青木 ガンズ&ローゼスのような伝説ミュージシャンが、クロムハーツを支持し続けているのも、グローバルな人気の要因です。1980年代のアメリカで有名になったミュージシャン…ニッキー・シックスとかスラッシュが愛用したことで一般層にまで広まり、多方面から人気が出たのも、クロムハーツの安定的な人気と強さになっています。


大久保 そうなんですね。クロムハーツが世に出る前までは、ロックミュージシャンは、どんなアイテムを着けていたんですか? 例えば、1970年代のローリング・ストーンズとか…。


青木 有名なところだと、キース・リチャーズがクレイジーピッグのスカルリングを着けていましたよね。その後、クロムハーツが台頭してきます。1990年代に入ると、クロムハーツ、ガボール、レナード・カムホードなどシルバージュエリーブランドも増えて、ミュージシャンとリンクするようになりました。


大久保 ミュージシャンとシルバージュエリーの親和性は、1990年代以降に加速したわけですね。ではミュージシャン繋がりで質問を、もう1つ。ターコイズのジュエリー人気のルーツはどこなんでしょうか?


青木 ターコイズは1800年代くらいからジュエリーとして世に出回ってきましたが、1970年代のミュージシャンは、特に有名なブランドがない時代だったので、無名作家のネイティブアメリカンジュエリーやインディアンジュエリーも着けていたようです。おそらくヒッピーカルチャーの文脈からだと思います。日本でネイティブアメリカンジュエリーに市民権を与えたのは、ゴローズだと思います。そこには藤原ヒロシさんの功績が、大きく関与していったんです。エリック・クラプトンやジョン・メイヤーのような海外有名ミュージシャンがゴローズを着けていますが、彼らがゴローズを着けているのも、藤原ヒロシさん起点なんです。


大久保 海外の伝説的大物ミュージシャンも、ゴローズを着けているんですね! ただ、彼らが自国のイギリスやアメリカのブランドではなく、日本人の創るジュエリーを着ける理由は、何なんでしょうか?


青木 日本人が創るジュエリーは、造作がとても緻密で美しいんです。例えば、イーグルですと、フェザー部分の造作が格別で素晴らしい、というのも理由の1つです。「タガネ」の入れ方を1つ取っても、とても丁寧な造作なんです。


大久保 日本の職人芸ともいうべきところに、海外の超セレブも惚れ込んでいるわけですね。では、次回もこんな感じで、クロムハーツ、ゴローズの中で、一般市場には出ていない、誰も見たことないような「マニアックな珍品」について聞きたいです!


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RECLO
Founder 
青木康時さん

事業会社4社のスタートアップ創業に携わる経験を経たシリアルアントレプレナー。2012年11月に現法人を設立。日本最大のラグジュアリーブランドの委託販売&買取サービス「RECLO(リクロ)」の運営をしている。大手企業との提携や、海外180カ国での同時併売システムにより、正規品保証のグローバルリセールプラットフォームを展開。二児のパパとしても活躍しており、読者パパ代表としてMADUROにも度々出演している。
 


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