今、値上がり中のエルメスのバーキンで、さらに3000万円クラスに値上がるバッグとは!?/第10回
大久保 前回まで、値上がるエルメスのバッグについて、ケリー、バーキンからオータクロア、ボリードまで、いろいろとお聞きしてきました。で、今回はその中でも、ウン千万円クラスのミュージアムピースクラスのエルメスのバッグは存在するか?について、お聞きしたいと思います。
青木 はい!存在します。今、オンラインリセールサイトのRECLOでも、エルメスのバッグの中で一番高値をつけるのが、クロコのバッグです。それでも1000万円には到底届きません。しかし、オークションでは数千万円クラスのクロコのバッグが出てきています。
大久保 クロコの素材の中でも、良し悪しの見極めはどこですか?
青木 一般的に腑(ふ)(鱗部分)の目が揃っていて、細かいほど良質とされています。流通量がとても少ないので、当然値が上がります。
大久保 最上のクロコは、すべてエルメスに集まると、まことしやかにささやかれていますよね。エルメスのクロコのド級クラスって、どんなモデルで、どのくらいの価格が付いてますか?
青木 エルメスのバーキンでクロコダイル素材は全体的にかなり値上がりしていて、中でも「ヒマラヤ」というモデルがウン千万円という価格を付けています。世界的なオークションのクリスティーズでは、2016年にエルメスのバーキンの「ヒマラヤ」が3300万円、2018年には同じくバーキンの「ヒマラヤ」が2440万円で落札されています。
大久保 「ヒマラヤ」というと、最上級のクロコをグラデーションで加工したクロコですよね!
青木 エルメスが厳選したクロコの中でも、ナイル川流域だけでごくわずかに採れる「ニロティカスマット」というクロコダイルを使用しています。そのクロコの真ん中部分に向かってグラデーションをかけて色素を抜きながら加工していくのですが、その真ん中部分が白く雪をかぶった山頂…それがヒマラヤ山脈に見えることから、「ヒマラヤ」と名付けられました。その加工には非常に高い技術と時間を要し、傷が1つでもあると流通しません。10年ほど前なら800万円くらいが落札価格の上限でした。でも、ここ最近では、安くても1000万円台、状態が良い「ヒマラヤ」だと2000万円台以上で落札されているようです。ちなみに同じ高価なクロコでも、別名スモールクロコダイルと呼ばれる「ポロサス」という種類のクロコダイルも、クリスティーズで2018年に1030万円で落札されています。
大久保 上質なものをより突き詰めてゆくと、結局「一点物」にたどり着きます。オーダーで1点ずつ手作業で加工していく「ヒマラヤ」は、まさにその代表格ですよね。
青木 はい、新品での購入価格が基本500万円前後で、顧客の中でも最上階層でないと購入やオーダーができません。一般的に市場に出回るバッグでは決してありませんから、相当なエルメス通な人でも、手に取ったことがある人はごく稀でしょう。
大久保 もはや都市伝説的なバッグですね! となれば、普段使いできるようなものではありませんね。
青木 それこそ、映画祭のレッドカーペットやモナコのパーティなど華やかな舞台で、ジュエリーとともにドレスに合わせるバッグです。だから、金具にダイヤモンドをあしらったものが、さらに人気です。そうなると、オークションで数千万円という落札価格がつくのもうなずけます。ちなみに、世界的オークション会社のクリスティーズでは、そのような高額商品を「ユニコーン」と呼んでいます。
大久保 ますます、都市伝説めいてきました(笑)。RECLOさんで取り扱ったことはございますか?
青木 以前、リセールの買取交渉をさせていただいたことがありましたが、価格で折り合いがつかず実現できませんでした。
大久保 他にどのようなレザーが人気ですか?
青木 オーストリッチやリザードといったエキゾチックレザーは人気が高く希少ですが、正直クロコの前では、どれも横並びといった印象です。
大久保 格が違うということですね。確かに、美しさにおいてはダントツ。ただ、クロコという素材は、バッグ以外だと使い方が難しいですよね.。
青木 確かに。ジャケットやコートでクロコを着ている威圧感ありすぎで、圧倒されすぎます…(笑)。反対に、名刺や財布では、左右対称のクロコの腑(ふ)の美しさを際立たせるには、もったいない感じがします…。
大久保 つまり、クロコを極めれば、最終的にエルメスのバーキンにたどり着くということですね!
RECLO
代表取締役社長 Founder/CEO
青木康時さん
事業会社4社のスタートアップ創業に携わる経験を経たシリアルアントレプレナー。2012年11月に現法人を設立し代表取締役社長に就任。日本最大のラグジュアリーブランドの委託販売&買取サービス「RECLO(リクロ)」の運営をしている。大手企業との提携や、海外180カ国での同時併売システムにより、正規品保証のグローバルリセールプラットフォームを展開。二児のパパとしても活躍しており、読者パパ代表としてMADUROにも度々出演している。
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