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【ひと駅手前で降りてみる】新宿駅のひとつ手前でタイムスリップ! 代々木駅編

【ひと駅手前で降りてみる】新宿駅のひとつ手前でタイムスリップ! 代々木駅編

いつもの新宿駅ではなく、JR山手線外回りのひと駅手前、代々木駅で途中下車。ちょっとだけ遠回りをしながら、新しさと懐かしさが共存する街並み、代々木駅から新宿駅までの大人の散歩ルートを楽しみます。

伝統を感じられる代々木駅前交差点

JR山手線の代々木駅、西口改札を出るといきなり目に飛び込んできたのが「明治神宮北参道口の石標」と「国旗掲揚塔」。なにやら古そうで、いきなり昭和を感じられます。
石標は明治神宮への入り口を示す重要なマークとなっています。原宿駅近くの表参道ではなく、裏側の北参道。本殿に行くにはちょっとだけ近いことを知ってか知らずか、多くの外国人観光客がここを通ります。

都会の喧騒の中で、神聖な場所への入り口を感じさせてくれます。建物や街並みが変わっても、この2つは変わらずに鎮座し続けるのでしょう。
国旗掲揚塔は、1964年の東京オリンピックを記念して日の丸を掲げるために設置されたらしい。この日は国旗が掲げられていませんでしたが、今でも使われているのでしょうか。

この石標と国旗掲揚塔、かつてここに通った受験生・大学浪人生たちも毎日目にしていたのでしょう。

街を見守る国際基督教団代々木教会

駅側から代々木駅交差点を見渡すと、向かいに国際基督教団代々木教会があります。1946年に設立されたこの教会は、創立70年以上の長い歴史を感じさせる趣き。
その姿から、不思議と力強さを感じます。戦後の混乱期から現代まで、この教会は変わりゆく街並みの中で変わらぬ存在として多くの人々の心の拠り所となってきたのでしょう、と思ったら竣工は1968年。それでも古い。ずっとこのままの姿であって欲しいですね。
代々木教会は日曜日の主日礼拝や火曜日の集会など、地域に根ざした活動を続けています。礼拝や集会の日は、子供から大人まで多くの人々が集うのでしょう。

かつて代々木ゼミナールがあった場所

教会の隣には、かつて大学受験予備校の大手、代々木ゼミナール本部校あった場所が広がっています。ここがJR山手線の駅前というのが分からなくなるほどの更地。向こうに側に見えるビル群との対比が、目の錯覚のように思える今だけの光景です。
端々にかつての記憶を留めつつ、新たな街へと変わろうとする代々木駅前は、代々木の歴史と変化を象徴するスポットとなっています。

代々木会館(傷天ビル)の跡地、現在は?

代々木駅のすぐ隣には、かつてテレビドラマ「傷だらけの天使」(日本テレビ系)や映画「天気の子」で有名だった代々木会館(通称:傷天ビル)があった場所。約50年もの間ドラマや映画ファンの聖地として親しまれてきた代々木会館は2019年に解体され、当時は多くの人々に寂しさを感じさせました。

昭和生まれの人は萩原健一さんや水谷豊さんの映像と合わせて、あのオープニングテーマ曲が頭をよぎります。
残念ながらボロボロだった代々木会館は解体。2022年に地上9階建てのオフィスビル「プレンジ代々木」へと生まれ変わっています。面影はありませんが、現在もこの場所を聖地として訪ねてくる「傷だらけの天使」や「天気の子」のファンが絶えないそうです。

老舗のジャズバーで大人の小休憩

ひんやりとした冬の空気を感じながら歩いていると、商店街の通りにある老舗のジャズバー「NARU(ナル)」の看板が目に留まります。入口でお弁当が売られているのを見て店員さんに声をかけると、「珈琲だけでもぜひ!」と温かい声が返ってきました。
誘われるままに少し緊張しながら地下1階に足を踏み入れると、昼間とは思えない落ち着いた雰囲気が広がっています。大型のステレオスピーカーから流れるジャズの音色に包まれながら、カウンターで一息。まるで夜の秘密空間に迷い込んだような気分です。
静かで程良い明るさの空間は、一人でじっくり考え事をしたい時に良いかも。最近の出来事を思い出して、あれこれ考えを巡らせる充実した時間を過ごせました。

代々木 NARU
住所/東京都渋谷区代々木1-36-12 TC第77防雷ビルB1F
営業時間/11:30~14:00、18:30~22:00
定休日/日曜日

今も使われている旧本社ビルは歴史的建造物

歩みを進めて小田急線の踏切を渡ったところ、昭和の香り漂う建物はとても静かに建っていました。小田急電鉄の旧本社ビルだそうで、足を止めて当時の賑わいに思いを馳せます。
1927年12月27日に完成したこの3階建ての鉄筋コンクリート造のビルは、小田急線開業(同年4月1日)とほぼ同時期に竣工。近づいてみると、曲線的な壁や特徴的な窓のデザインが昭和初期の雰囲気を醸し出しています。柱の太さからは、関東大震災後の頑丈な造りを感じさせます。
現在は「小田急南新宿ビル」として、グループ会社に活用されていますが、その佇まいは小田急電鉄の歴史を物語っているよう。建設から間もなく100年を迎えるこの建物は、小田急の歩みを見守る証人のような存在かも。

ここが今の受験生たちのランドマーク

小田急電鉄の旧本社ビルのほど近くには、現在の代々木ゼミナール本部校として「代々木ゼミナール本部校 代ゼミタワー」がそびえ立ちます。地上26階、地下3階、高さ134メートルの巨大な建物が圧倒、かつての古く入り組んだ校舎の面影はありません。
2008年に完成したこのモダンな高層ビルは、代ゼミ創立50周年の節目に建設されました。代ゼミタワーの中には広い学習空間だけでなく、学生用共同住宅やレストランも備わっているそうです。また、空中庭園もあるそうで、受験生の必勝祈願の場となっている「日日是決戦神社」という名前の神社も設置されているとのことです。

ちょうど重そうなリュックを背負った学生が中に入って行くのを見かけました。
この建物を見上げていると、まさに受験のシンボルタワーのような印象を受けます。かつて大学受験で経験したさまざまな感情を思い出し、受験生を応援したい気持ちと、自分も頑張らなければという逆にエールを受け取った気分です。

ベンチャー会社立ち上げによく使われる”出世マンション”

道中、「ニューステイトメナー」というマンションを通り過ぎます。このマンションは通称「出世マンション」。近隣の賃料より安いこともあり、多くの起業家が成功への足がかりとして利用し「出世」していったことから、「出世マンション」という呼び名が付いたと言われています。多くの著名人が住んでいたというこのマンションの歴史に想像が膨らみます。
1976年に竣工したこの複合ビルは、892戸もの住居を擁する巨大マンション。建物内にはコンビニやカフェ、スーパーまであり、まるで小さな街のよう。
これからも多くの起業家たちがここから飛躍するだろうと想像すると、胸が高鳴りますが、ここもいつか建て替えられていくのでしょう。

童心に帰れる人形劇団の拠点は昭和レトロなスポット

人形劇団プークの看板を見つけると、懐かしさが込み上げてきます。子供の頃に観た人形劇の記憶が鮮明によみがえり、思わず微笑み。

歴史ある人形劇団(創立1929年)の劇場。建物の竣工は1971年で、やはり歴史を感じさせてくれる雰囲気があります。
お知らせボードとそこに掲示されたポスターも、どこか昭和の雰囲気を感じさせます。大人も童心に帰れるようにあえてそうしているのかも。親子で楽しめそうな場所ですね。

いつも行列が絶えない人気うどん店でお腹いっぱい

お腹が空いてきたところで、評判のうどん店「うどん 慎」に到着。ちょうど昼の時間帯なので長蛇の列ができています。整理券を取り、待ち時間を確認すると、なんと約2時間。せっかく来たので順番を待つことにしました。
1時間半ほどしてLINEで順番が近づいたという通知を受け取り、さらに20分ほど並んで待ちます。客は外国の人が多く、国際的な人気ぶりを実感。

やっとの思いで店内に入ると、コシのある麺と上品なつゆの香りが漂ってきました。
多国籍な言語が店内に行き交う中、美しい巻きで盛り付けられた「つけうどん」と「ちくわ天」が机に届きました。濃いめのつけ汁につけていただきます。
うどんはコシがあり、つけ汁が少し甘めで美味しい。寒かったので軽い衣の熱々ちくわ天と一緒に数分で完食しました。冬の散歩道中にはこんな温かい楽しみもありますね。

うどん 慎
住所/東京都渋谷区代々木2-20-16 相馬ビル1F
営業時間/11:00~22:00(ラストオーダー)
定休日/無休 (年末年始を除く)

賑やかな新宿駅へ

最後に、スペース・ゼロを右に曲がり、新宿駅南口へと向かいます。スペース・ゼロは、多目的に利用できる人気のホールで、演劇やコンサートなどさまざまなイベントが開催されています。この辺りからは人の流れが一気に増し、活気ある新宿の雰囲気を肌で感じられます。 サザンテラスを通り抜け、高島屋や紀伊國屋書店を横目に、賑やかな新宿駅へと足を進めます。

懐かしさと新しさの共存

代々木駅を出発し、途中の寄り道を除けばわずか20分ほどの道のりでしたが、懐かしさと新しさが共存する街の魅力を十分に味わえました。

代々木駅から新宿駅までの散歩道は、新宿や渋谷という大きな繁華街のすぐ近くでありながら落ち着いた雰囲気があり、散歩中に懐かしさと新しさを同時に感じられる魅力的なルートでした。

週末のお散歩や仕事帰りのちょっとした寄り道に、このコースを試してみてはいかがでしょうか。きっと、日常に新しい彩りを加えてくれるはずです。
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