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【ひと駅手前で降りてみる】東京駅のひとつ手前で歴史探訪! 八丁堀駅編

【ひと駅手前で降りてみる】東京駅のひとつ手前で歴史探訪! 八丁堀駅編

東京メトロ日比谷線(JR京葉線)八丁堀駅から散策をしながら東京駅まで歩いてみました。オフィス街のイメージがある約3kmの道のりは、江戸時代以来の歴史と東京の今が交錯するルートです。

江戸の歴史を感じる碑

八丁堀駅を出て歩くこと2分。まず目に入るのが「堀部安兵衛武庸之碑」(ほりべやすべえたけつねのひ)。

忠臣蔵で知られる堀部安兵衛は、赤穂浪士四十七士の一人で剣術の達人と名高く、江戸急進派のリーダーとして活躍。彼のゆかりの地であることを刻む石碑を目前にすると、江戸時代にまでタイムスリップするような気分になりました。

石碑は亀島橋の西詰にひっそりとありますが、堀部安兵衛の生き様に思いを馳せると胸が熱くなります。
亀島川と八重洲通りが交差する亀島橋を渡ると、遠くにはスカイツリーが。江戸の面影と現代の東京を一望できる面白さがあります。

赤穂浪士が渡ったといわれる橋

川沿いを歩いているとまたしても橋を発見。この「高橋」は亀島川に架かる橋で、江戸時代に船舶の出入りが頻繁だった場所に架けられていて、赤穂浪士が討ち入り後に泉岳寺へ向かう際に渡ったともいわれる橋です。

そもそも八丁堀の地名の由来は江戸時代初期に切り開かれた水路に由来します。この水路は長さが約8町(873m)あったことから「八町堀」と呼ばれ、後に「八丁堀」となりました。
明治以後に水路の「八丁堀」は「桜川」へと改称されましたが、水路としての機能は維持され、船での物資輸送や人々の移動に利用されてきました。その後桜川は1960〜1969年にかけて埋め立てられ、現在の桜川跡地には道路や公園などが整備されています。

上の写真、亀島川の右側奥のくぼみが、今はなき桜川との合流点だったと考えられます。
上の写真に写るポンプ場(赤いバスの後ろ)は、桜川跡地の一部に建っています。今は川の面影がなく、不思議な感覚を覚えます。

江戸の名残りはここにも

亀島川沿いを散策していると、すぐ近くに「鐵砲洲稲荷神社」(てっぽうずいなりじんじゃ)を見つけました。諸説ありますが、江戸時代にこの辺りは鉄砲の試し打ちをする場所だったといわれ、その名残を今に伝えています。
神社の静寂な雰囲気に包まれると、都会にいることを忘れそう。凛とした空気の中で石畳を踏みしめる音だけが静かに響き、喧騒とは無縁の場所にほっとします。
社殿は1935年に建てられたもので、関東大震災後の復興建築を今に伝える貴重な文化財。拝殿の特徴的な幅広屋根や彫刻の施された木鼻など、細部にまで江戸の伝統的な建築様式が息づいています。毎年1月には「寒中水浴大会」という独特の神事が行われ、八丁堀に住む人々の信仰と絆を深める場となっているそうです。

明治~大正~昭和初期の面影

歩を進めると、「南高橋」に到着。南高橋は、1932(昭和7)年に架けられた鋼鉄トラス橋で、1990年に中央区の区民有形文化財に登録され、2016年には土木学会選奨土木遺産にも認定されました。都内に残る自動車が通行可能な道路橋としては最古の鋼鉄トラス橋で、全国でも6番目に古いらしいです。
橋の正面にはデザインが素敵な尖塔や三角形の装飾板が並び、昭和初期の物づくりを感じさせてくれます。南高橋の特徴的な三連のトラスですが、関東大震災1923(大正12)年後の予算不足から、1904(明治37)年に架けられた旧両国橋の中央径間部分を再利用しているという、橋マニアにはたまらないディテールとなっています。

マニアのみならず、今も現役の歴史ある橋にはグッとくるものがありますね。

桜川公園のベンチでひと息

そのまま進むと「桜川公園」に到着。ベンチに腰掛け、穏やかな午前の日差しを浴びながら休憩することに。桜川公園は桜川の埋め立て地の一部を使って作られた公園です。
江戸時代はここにたくさんの船舶が往来していたのかと想像すると大きな時代の流れを感じます。船舶の汽笛の音や、人々の活気あふれる声が聞こえてきそうです。しばらく目を閉じて当時の桜川を想像してみました。

新しくシュッとしたな図書館

公園を出ようとすると、すぐ向かいに「本の森ちゅうおう」という図書館を発見。この場所も桜川跡地です。

2022年に竣工・開館した新しい図書館は、東京らしいシュッとした外観に思わず見とれてしまう。1階にはカフェ、屋上には庭園があり、平日はビジネスパーソンの姿も多く見られるそうです。近くに住んでいる人がうらやましい。

隠れ家のようなモダン銭湯

公園を出て少し歩くと、銭湯「湊湯」の看板が。一見銭湯には見えないようなシックな外観は、まるで高級バーのようなお洒落さ。さすが八丁堀です。
日比谷線八丁堀駅からだと徒歩7分、都会にひっそりと佇む隠れ家のような銭湯。お湯は柔らかな軟水を使用し、ジャグジーやジェットバスの他にサウナも人気があるそうなので、サウナ愛好家としては気になるところ。再来を誓ってこの日は前を通り過ぎました。

湊湯
住所/東京都中央区湊1-6-2
営業時間/15:00~24:00(最終入場 23:30, サウナ最終入場 23:00)
定休日/土曜日

老舗和菓子店の豆大福を食べ歩き

さらに進むと、創業100年以上の老舗和菓子店「伊勢屋商店」が。店内に入ると、奥で和菓子を作る甘い香りが漂ってきます。
200円の豆大福を購入し、歩きながら頬張ります。やや小ぶりな豆大福は柔らかな餅の食感と塩の効いた豆とあんこの優しい甘さが絶妙。疲れた体に染み渡ります。伊勢屋さんは豆大福が有名だそうですが、他にも「みたらし団子」や猫のかわいい焼き印が入った「猫どら」も人気だとか。和菓子好きの家族を連れてまた来よう。

八丁堀 伊勢屋
住所/東京都中央区八丁堀3丁目18-11
営業時間/8:00〜19:00
定休日/土日祝

名店のカレーで締めくくり

八丁堀最後の目的地は「食べログ カレー TOKYO 百名店 2020」にも選ばれたカレーの名店「ロダン」。ここで名物のロースカツカレーを食べたい。
特製カレーソースは自家農園で栽培したスパイスやハーブ、野菜、果物に、厳選した外国産の香辛料を加えられ、一口頬張るとスパイスの豊かな風味と旨味が広がります。
サクサクのカツとコクのあるカレーの相性が抜群で、八丁堀駅から東京駅までの散歩の締めくくりにぴったりです。さらにテーブルには、自家農園の季節の野菜やハーブなどを使用した「自家製」の福神漬が用意されており、これもまたカレーと同様にうなる美味しさでした。

ロダン
住所/東京都中央区八丁堀3-8-4
営業時間/ランチ11:00〜15:00、ディナー18:00〜22:00
定休日/不定休

東京駅へ到着

ロダンを出て、京橋駅を通り過ぎると、いよいよ東京駅に到着。

八丁堀駅から歩いてきた道のりを振り返ると、わずか3km弱の道中で江戸時代から現代までの東京の歴史と文化を体験できたことに驚きます。
この散歩ルートは、普段は通り過ぎてしまう街の魅力を再発見させてくれました。東京駅までの移動時、時間があったら八丁堀駅で降りて、江戸時代から現代までの時の流れを感じながら歩いてみてはいかがでしょうか。きっと新しい東京の魅力に出会えるはずです。
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