DINING
2025.10.14
【ラーメン】ミシュラン・ビブグルマンを獲得した「入鹿TOKYO六本木」の高級ラーメンを体験
グルメサイトの高評価で気になっていた、東京「入鹿TOKYO六本木」。2023年に続き、2026年のミシュランガイド東京でビブグルマンに選ばれたという安心感も後押しとなり、初めての訪問に胸を高鳴らせて行ってきました。
六本木駅から徒歩約2分で出会う特別なラーメン

その店は東京メトロ日比谷線(都営大江戸線)六本木駅7番出口から徒歩2分ほどにあります。ミシュラン・ガイドのビブグルマンに選ばれた入鹿TOKYO六本木、今国内外から注目を集める人気のラーメン店です。

訪れたのは平日の14時、小雨が降る午後。時間も中途半端だし、雨も降っているからそれほど混んでいないだろうと高をくくっていましたが、店の前にはすでに20人近くが並んでいました。


列は道路を挟んで、AとBに分けられて整理されています。客層はほとんどが外国人観光客で、六本木という立地ならではなのか、ミシュラン・ビブグルマン獲得からなのか、国際的な人気を感じました。

40分ほど待ってようやく入店することに。店頭には多言語対応のタッチパネル式券売機が設置され、現金は使えずキャッシュレス決済のみなので気にしておきましょう。
限られた店内の席で味わう高級ラーメン

厨房には3人のスタッフが立ち、きびきびとした所作で丁寧に仕上げていく様子は、もはやラーメン店というよりレストラン。食券を購入するとスタッフに案内され、カウンター席に腰を下ろします。
店内はカウンターが9席、さらに4席の半個室テーブル席が1室だけという構成で、限られた空間の中で一杯に集中できる雰囲気が漂っていました。
店内はカウンターが9席、さらに4席の半個室テーブル席が1室だけという構成で、限られた空間の中で一杯に集中できる雰囲気が漂っていました。

注文したのは「ポルチーニ醤油らぁ麺」(1800円)。金色のトレーにのせられて提供された瞬間、まずは見た目の美しさに目を奪われます。スープの表面からはポルチーニ(※)の芳醇な香りが立ち上り、期待感を一気に高めてくれました。
※ポルチーニとは、トリュフや松茸と並び世界三大キノコのひとつ。
※ポルチーニとは、トリュフや松茸と並び世界三大キノコのひとつ。
まるでフレンチ!? 奥行きを生み出す4種の出汁

スープをひと口含むと、まず最初に広がるのはシジミやムール貝による清らかな旨味。その透明感ある味わいのあとに、伊勢海老を白ワインで炊き上げた芳醇な香りが追いかけてきます。さらに奥からは名古屋コーチンや比内地鶏の滋味深いコクが押し寄せ、最後に松阪牛の力強い余韻が全体をまとめ上げる、という、まるでフレンチのような食レポになってしまいます。

そこに京都九条ネギの爽やかな香りとみずみずしい食感が加わり、重層的なスープに鮮やかなアクセントを与えていました。ひと口ごとに清涼感が広がり、濃厚な旨味の中で口をリセットしてくれる存在になっていました。

中細のストレート麺はしなやかで、スープをしっかりと抱え込みながら喉ごしは軽やか。ひと口ごとに香りと旨味を運び、最後の一滴まで飽きずに楽しませてくれます。

薄切りの鶏チャーシューは見た目にも上品で、柔らかく仕上げられていて、スープの旨味をまとって口の中でほどけていきます。貝、伊勢海老、地鶏、和牛の出汁に、九条ネギや麺、そしてチャーシューが重なり合い、ひとつの料理としてバランスよくまとまっていました。ラーメンという枠を超えた完成度を感じさせる一杯です。
ブラックデュクセルペーストで変化する味わい

器の縁には、トリュフと数種のキノコを和えたブラックデュクセルペーストが専用スプーンに添えられています。スープに溶かす前から豊かな香りが漂い、途中で溶かすと洋風のニュアンスが加わり、香りの立体感が一気に増しました。

ポルチーニの香りとトリュフの芳香が重なり合い、麺を啜るたびにまるでパスタを味わっているかのような感覚へと変化。最後まで飽きることなく楽しめる工夫が、一杯の中にしっかりと込められていました。
行列の先に待っていた特別な体験

スープ、麺、香りのすべてが緻密に計算され、一杯の完成度は群を抜いていました。貝や伊勢海老、地鶏、和牛を重ねたスープに、九条ネギやブラックデュクセルペーストの香りが加わり、食べ進めるほどに新しい表情を見せてくれる。1800円という価格は単なる食事代ではなく、むしろ体験料として納得できるものでした。

六本木駅から徒歩約2分という立地ながら、40分並んででも味わいたいと思わせるのは、その完成度の高さに尽きます。ラーメンを超えた大人の食体験として記憶に残る一杯に出会えたことは、まさに行列の先に待っていたご褒美のようでした。
入鹿TOKYO 六本木
所在地/東京都港区六本木4-12-12 穂高ビル 1F
取材・文/SYURI
入鹿TOKYO 六本木
所在地/東京都港区六本木4-12-12 穂高ビル 1F
取材・文/SYURI