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【お雑煮のギモン】餅は四角い?それとも丸い?味噌は入れる派?具材は?気になったので調べてみました

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【お雑煮のギモン】餅は四角い?それとも丸い?味噌は入れる派?具材は?気になったので調べてみました

  • 2022.01.01

お正月に家族みんなでいただく料理と言えば、お雑煮。実は地方によって、作り方や中身が大きく違うようなんです。東京育ちの〇〇さんちのお雑煮、大阪育ちの〇〇さんちのお雑煮。ちょっと気になりませんか?

お雑煮事情のキホン、関東風と関西風

お雑煮のちがいで比較的よく知られているのが、いわゆる関東風と関西風。よく、お出汁(だし)は関東が濃いめ、関西は薄味などと言われますが、お雑煮の場合はちょっと事情が異なるようです。
【関東のお雑煮】
餅の形状/四角い(切り餅)
餅の調理/焼いたものを入れる
出汁/すまし仕立て
具材/鶏もも肉、人参、三つ葉、かまぼこ etc


【関西のお雑煮】
餅の形状/丸い
餅の調理/出汁と一緒に煮込む
出汁/味噌仕立て(おもに白味噌)
具材/大根、人参、里芋、しいたけ etc


ザッと特徴を挙げると、だいたいこんな感じ。具材は関東と関西で共通するものも多いようですが、餅のカタチと調理方法、出汁の取り方は、どうやら「らしさ」が出やすいポイントのようです。

土地によってバラエティ豊か、アレンジレシピも

じゃあ、それ以外の地方はどうなの? ということで、まずは筆者の出身地である静岡県のお雑煮をご紹介。両親とも静岡市葵区で生まれ育っており、母親が祖母(静岡市清水区出身)から聞き覚えたというお雑煮のレシピがこちら。

【静岡市のお雑煮】
餅の形状/四角い(切り餅)
餅の調理/出汁と一緒に煮込む
出汁/すまし仕立て(しょうゆ)
具材/大根、水菜(または京菜)、里芋、鶏もも肉
餅のカタチと出汁の取り方は関東風ですが、餅は「煮込む派」の関西風なところがポイントでしょうか。

母親いわく「焼いたお餅をお雑煮に入れる家なんて聞いたことないわねぇ、おしるこじゃあるまいし」。大根については「お餅が胃にもたれやすいから、大根を入れるといいって母から聞いたのよ。ホラ、大根って七草の一つでしょ?」とのことでした。

知り合いにもLINEで聞いてみた

せっかくなので、普段連絡を取り合っている友人・知人にもお雑煮事情について聞いてみました。カッコ内の地名は回答してくれた方の出身地です。
【東京都目黒区のお雑煮】 ※お母様は世田谷区出身
餅の形状/四角い(切り餅)
餅の調理/焼いたものを入れる
出汁/すまし仕立て
具材/鶏もも肉、小松菜、かまぼこ、いくら、柚子


【東京都西東京市のお雑煮】 ※お母様は北海道出身
餅の形状/四角い(切り餅)
餅の調理/焼いたものを入れる
出汁/すまし仕立て
具材/鶏肉、人参、三つ葉、しいたけ、かまぼこ


【東京都杉並区のお雑煮】 ※お母様は山梨県出身
餅の形状/四角い(切り餅)
餅の調理/焼いたものを入れる
出汁/すまし仕立て
具材/鶏肉、しいたけ、三つ葉


杉並区在住のIさん宅ではお父様の実家がある鹿児島県姶良市の流儀にしたがって、元日の朝は里芋のみの(餅は入れない)白味噌のお雑煮をいただくそうです。元日の晩にいただくお雑煮は上記のとおり。

【愛知県犬山市のお雑煮】
餅の形状/四角い(切り餅)
餅の調理/出汁と一緒に煮込む
出汁/すまし仕立て
具材/葉菜のみ


【滋賀県東近江市のお雑煮】
餅の形状/丸い
餅の調理/出汁と一緒に煮込む
出汁/味噌(白味噌)仕立て
具材/大根、人参、しいたけ、ねぎ


八日市(滋賀)にお住まいのNさん宅では、元日は白味噌仕立ての出汁で、翌2日はすまし汁で作るそうです。これは「子供がすまし汁のほうが好きだから」という理由によるものだそう。

そもそもお雑煮って?ガチで調べてみた

民俗学辞典/東京堂、昭和26年初版(写真は昭和27年発行の9版)。
なぜ、お雑煮の作り方や具材が土地によって変わってくるんでしょうか? どこかにヒントが載ってないかと思い、以前に古書店で買った「民俗学辞典」をパラパラめくってみると、ありました!
ここで「雑煮」について説明されている内容をかいつまんでみると…

・雑煮は正月三が日のハレ(非日常、特別な日)の食物である
・九州では雑煮のことを直会(なおらい)またはその訛語で呼んだりする
・直会とは神様にお供えした飲食物をみんなで分け合って食べることを言う
・餅、大根、人参などは神饌(お供え)であって、それをぶっこんだのが雑煮である

つまり元々は、神様にお供えした産物を料理して食べたのが(直会)、雑煮のルーツなのだそう。そのうえで「餅を焼くも煮るも、汁に味噌を入れるも入れぬも、要するにナオラヒの心持は一つであった」と結んでいます。お雑煮の神髄は直会にあり!という訳ですね。
山村生活の研究/民間伝承の会、昭和13年初版(写真は国書刊行会、昭和50年発行の復刻版)。
もう少し具体的に、昔の人がどんなお雑煮を食べていたのか知りたくて辿り着いたのが「山村生活の研究」という本。食物の項目に、お雑煮の具材についての記述がありました(283ページ)。お餅の他にどんな具材が入っていたのか見てみましょう。

【高知県檮原村のお雑煮】
具材/豆腐、里芋、こんにゃく、昆布

【宮城県筆甫村のお雑煮】
具材/ハラ子(イクラ)、人参、牛蒡(ごぼう)、スルメ

【福井県五箇村/山口県嘉年村のお雑煮】
出汁/味噌仕立て
具材/大根のみ


ちなみに、この本に掲載された論文は昭和9~11年にかけて実施されたフィールドワークに基づいているので、およそ90年近く前の記録になります。

ここでも各地のお雑煮について「要するに正月飾りを一緒に煮込んだ食物には違ひない」と総括していますので、その土地で採れた産物を神様にお供えした後、ごった煮にしたものであったことが伺えます。

皆さんのご実家のお雑煮のルーツは?

お雑煮の作り方や中身の違いは、その土地ならではの産物や古くからの慣習と紐づいている訳ですね。それが時代と共にアレンジされて、多様化していったのが現代のお雑煮であると言えそうです。

せっかくのハレのお正月、皆さんもお雑煮について思いを巡らせてみてはいかがでしょうか?
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