DINING
2026.07.12
【街中華】横浜・鶴見区東寺尾「京新」で思いがけず辿り着いたラーメンの記憶
鶴見区東寺尾の「京新」へ冷やし中華を求めて訪問するも、わずかに季節をフライングしてしまい断念。代わりに食べた素朴なラーメンと、帰り道の静かな時間、せせらぎ緑道で出会ったほのぼの光景をレポート。
横浜・鶴見区東寺尾、冷やし中華を求めて京新へ、のはずが!?
関東ではまだ梅雨明け前だからなのか、じめっとした暑さの中、無性に冷やし中華が食べたくなりました。そして向かったのが、神奈川県横浜市の鶴見区東寺尾にある「京新」。初めての訪問ですが、赤いオーニング(日除け)と年季の入った外観に「これはきっと本物の味に出会えるはず」と、勝手に期待を膨らませていました。
JR鶴見駅からバスで15分ほどの場所にあるため、クルマかバスで向かうのがベストです。今回はバスに揺られて、平日の開店11時ちょうどに到着しました。バス停に降り立ち、「本当にこの先に店があるのか?」と少し不安になる、住宅街の中を歩いていきます。
赤いオーニング、金の格子ガラス戸、たたずむ自動販売機。入り口には鉢植えの花が飾られ、その脇にはなぜか探偵事務所の広告ポスターが貼られていて、思わず二度見してしまいます。街中華らしい雑多な空気も含めて、どこかプライベートな感じのある外観、少し勇気を出して引き戸を開けました。
開店と同時に「冷やし中華ください」と言ったら
この日、目当てにしていたのは冷やし中華でした。開店直後、意気揚々と「冷やし中華ください」と伝えると、まさかの一言が返ってきました。
「冷やし中華は、梅雨があけてからなんですよ」。
確かにまだ梅雨明け前、だけど頭の中で「え、まさかの空振り?」という焦りが一瞬よぎります。「似ている感じのものはありますか?」と聞いてみると、少し考え込むように「うーん」と一言。無理に似たものを勧めず、正直に悩んでくれるその姿勢に、かえって誠実さを感じました。これ以上粘るのも野暮な気がして、ここは潔く諦め、ラーメンを注文することに。
「冷やし中華は、梅雨があけてからなんですよ」。
確かにまだ梅雨明け前、だけど頭の中で「え、まさかの空振り?」という焦りが一瞬よぎります。「似ている感じのものはありますか?」と聞いてみると、少し考え込むように「うーん」と一言。無理に似たものを勧めず、正直に悩んでくれるその姿勢に、かえって誠実さを感じました。これ以上粘るのも野暮な気がして、ここは潔く諦め、ラーメンを注文することに。
気を取り直して、一杯のラーメンと向き合う
店内は、赤いカウンター5席と、4人掛けテーブル2卓の、計13席。この日は時間が早かったこともあり、店内には私以外に誰もいませんでした。カウンターの丸椅子に腰掛け、卓上の醤油やラー油の瓶を眺めながら待ちます。そして食べ終わるまでの約20分間も、最後まで貸切のような静けさが続きます。
厨房では、年配の女性が手を動かしています。水を運んだり注文を取ったりしてくれるのは、もう少し若い女性。「親子なのだろうか」と思い観察しながら、息の合った様子から、長く一緒にこの店を切り盛りしてきたのだろうと感じさせられました。
厨房では、年配の女性が手を動かしています。水を運んだり注文を取ったりしてくれるのは、もう少し若い女性。「親子なのだろうか」と思い観察しながら、息の合った様子から、長く一緒にこの店を切り盛りしてきたのだろうと感じさせられました。
注文から7分ほどでラーメン着丼。550円という価格に驚きます。出てきたのは、半分透き通った、ほんのり甘みのある醤油スープ。
麺は細めで、昔ながらの中華そばそのものといった味わい。チャーシュー、メンマ、ナルト、海苔、ネギと、具材も過不足なく揃っています。湯気とともに漂う優しい香りに、さっきまでの「冷やし中華ロス」がすっと引いていくのが分かりました。
一口すすると、飾り気のない、素朴な美味しさ。奇をてらったところが一切なく、この価格でここまで丁寧に作られていることに、もう一度じんわりと驚かされます。「ラーメンはこういうのがいいんだよ」。そんな言葉が、自然と頭に浮かびました。
具材に目を移すと、まず存在感を放つのはたっぷりと盛られた青ネギ。渦を巻くピンクの模様が愛らしいナルトと、大きめにカットされた海苔が彩りを添えています。
メンマは控えめな量ながらコリッとした歯応えがあり、チャーシューは一枚だけですが、脂身の少ない赤身がちな一枚で、噛むごとにしっかりとした肉の旨味を感じました。何か一つが突出しているわけではなく、どの具材も静かに、けれど確かにその役割を果たしている。そんな一杯でした。
誰もいない静かな店内で、赤いカウンターに一人腰掛けて味わうラーメンは、なんだか贅沢な時間にも感じられます。冷やし中華を空振りした悔しさも、この一杯とこの時間で帳消しになりました。
誰もいない静かな店内で、赤いカウンターに一人腰掛けて味わうラーメンは、なんだか贅沢な時間にも感じられます。冷やし中華を空振りした悔しさも、この一杯とこの時間で帳消しになりました。
帰り道、一人で歩いたせせらぎ緑道
満腹になったところで、来た道をそのまま戻るのももったいなく感じ、店の近くを流れる「せせらぎ緑道」を、一人でゆっくり歩いてみることにしました。水路沿いに整備された緑道は住宅街の喧騒からふっと離れ、静かな時間が流れています。
歩いていくと、思いがけない光景が。水路のあちこちで、家族連れがザリガニ釣りに夢中になっていたのです。
糸を垂らす子ども、脇で見守る親、足元に置かれた容器の中でうごめく釣果。誰の顔にも、休日を楽しむ穏やかな表情が浮かんでいて、見ているこちらまで、なんだか心が緩んでいくような光景でした。
冷やし中華を食べ損ねてラーメンになり、目的地でもなかったこの緑道でこんな光景に出会うとは、まったく想像していませんでした。一人気ままに歩いていたから、何気ない景色にじっくり目を向けられたのかもしれません。
バス停「西寺尾建功寺前」に着く頃には、帰りのバスの時間よりも、この景色をもう少し眺めていたい気持ちのほうが勝っていました。
計画通りにいかないからこそ面白い、ラーメン散歩
振り返ってみると、この日は最初から最後まで予定通りにいきませんでした。冷やし中華は食べられず、ラーメンに変更。そのうえ、帰り道に立ち寄っただけのせせらぎ緑道では、思いがけずほのぼのとした光景に出会いました。それでも、いや、だからこそ、記憶に残る一日になった気がします。
鶴見区東寺尾を訪れる際は、京新でお腹を満たした後、せせらぎ緑道まで足を延ばしてみてはいかがでしょうか。思いがけない発見が待っているかもしれません。
京新
所在地/神奈川県横浜市鶴見区東寺尾1-3-5
取材・文/SYURI
京新
所在地/神奈川県横浜市鶴見区東寺尾1-3-5
取材・文/SYURI




















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