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【歴史散歩】横浜・センター北駅からすぐ「大塚・歳勝土遺跡公園」で2200年前にタイムスリップ

【歴史散歩】横浜・センター北駅からすぐ「大塚・歳勝土遺跡公園」で2200年前にタイムスリップ

横浜市営地下鉄のセンター北駅から歩いて行ける、「大塚・歳勝土遺跡公園」。住宅街の足元約1.5m下に弥生のムラが眠る場所とは? 竪穴住居、約80mの墓道、そして江戸時代の民家を歩いて2200年の時間を行き来します。

予定を詰めない休日、足元に眠るムラを訪ねてみた

いつもは電車で通り過ぎる街を、予定を詰め込まず、気ままに歩いてみる。そんな余白のある休日に憧れがありました。そこで、思い切って横浜市営地下鉄センター北駅から歩いて「大塚・歳勝土遺跡公園」を訪ねてみました。

港北ニュータウンの住宅街の足元には、約2200年前の弥生時代のムラ(環濠集落)の跡が眠っていて、竪穴住居や高床式倉庫も復元されているらしい。新しい街のすぐ隣に弥生時代の暮らしがあったなんて。柿が色づく秋の晴れ間、初めて訪ねる場所に期待をふくらませて歩き出しました。
博物館の案内では、センター北駅から徒歩5分。駅から続く通りは石畳の歩道に街路樹が影を落とす、ゆったりした道でした。足元には黄色いマンホールのふたがあって、こういう足元の絵柄を見つけると、散歩気分もぐっと上がります。
歩いていくと、マンションのあいだの先に、青緑色の三角屋根が見えてきました。これが横浜市歴史博物館です。

遺跡公園の入口は、なんとビル屋上から!?

博物館の入口は、大きなガラス張りで、「横浜市歴史博物館」の金文字が目を引きます。

公園の入口が分からなかったので、中に入り案内所のスタッフの方に遺跡公園までの行き方を尋ねました。丁寧に道順を教えてもらったうえで、近くに置いてあったパンフレットも参考に進みます。
ロビーの壁には、「大塚・歳勝土遺跡公園 屋上連絡口 エレベーターをご利用ください」の案内板。遺跡公園に行くのには、まず屋上へ上がる。これから時代を遡る始まりが最上階というのは、なんだか面白いなと思いました。
屋上に出ると、白いタイルの広場にベンチが並び、青い案内板に「大塚・歳勝土遺跡公園」の文字と矢印がありました。
矢印のほうへ歩道橋を渡っていくと、橋の先にこんもりとした竹林と雑木林が広がっています。ビルの屋上から歩道橋を渡るだけで、景色が森に変わる不思議な入口。街から時代へ橋一つでワープするような感覚。

「この公園は地下に遺跡が眠っています」

公園の入口に着くと、案内板が3枚、横に並んでいました。
そのうちの一つ、マップに足が止まります。「この公園は地下に遺跡が眠っています」。

「今立っているこの下に?」と、思わず足元を見てしまいました。

弥生時代の遺跡の真上に、当時のムラや墓を復元した、約5.4ヘクタールの公園。案内板にはこの地域の約3万年の歴史が、港北ニュータウンの調査で分かったと書かれています。住宅街のイメージしかなかった街でしたが、そんなに長い歴史があったのかと少し背筋が伸びる思いでした。

パンフレットを手に、竹林の遊歩道を歩く

パンフレットを片手に手すりのついた舗装路を進むと、竹林と雑木林の間をゆるやかにカーブしていく道で、街の騒音は徐々に遠くなっていきます。
道ばたの木の幹には、黒い板に白い文字で「イイギリ」と書かれた名札がかかっています。マップには竹林や雑木林で、地域の方を中心とした公園愛護会が活動していると書かれていて、この静かな道が人の手で守られていることをあらためて知りました。

とがった丸太の柵の向こうに「大塚遺跡」が

広い芝生広場を抜けると、先をとがらせた丸太がずらりと並ぶ柵、そして木の門が現れます。ここが大塚遺跡の入口のよう。環濠の外側には、防御用と考えられている土塁と柵が復元されていて、まさに「ムラを守る」ための造りだと実感。門の向こうの芝生には、茅葺き屋根の竪穴住居がいくつも並んでいます。

ちなみに開園は午前9時から午後5時、月曜日(祝日の場合は翌日)は休園で、入園は無料です。遺跡内は飲食やペット同伴が禁止なのでご注意を。
案内板を眺めていて一番驚いたのは数字でした。発掘調査は昭和48年から51年にかけて行われ、遺跡は約1.5mの盛土で守られ、その真上に住居が復元されているらしい。
つまり、今歩いている足元の1.5m下には本物のムラが眠っている。芝生を踏む足が急に慎重になった気がしました。
さらにマップを見てまた驚くのは、見つかった竪穴住居は85軒、復元されたのは7棟と高床倉庫が1棟。目の前に並ぶ茅葺き屋根はムラのほんの一部、約12軒に1棟だったのです。

環濠の形は今の公園の外側へ大きく広がっています。保存されたのはその東側の部分だけだそう。ムラはかつてはこの先にも広がっていたんだな、と思いました。復元されていない住居の位置も、案内板によると地面に示されています。
復元された竪穴住居は「入母屋造り」で、主柱はヒノキ、屋根は茅でできています。住居の入口の奥は暗く、茅葺きの重たそうな屋根の下、当時の人たちはどんな夜を過ごしていたのでしょうか。

2200年前の墓地へと歩き、思いを馳せる

歳勝土遺跡の芝生には、低い四角形の盛り土が並んでいました。ムラの人たちの墓です。「方形周溝墓」といって、四角い盛り土のまわりを溝がぐるりと囲んだ形をしています。案内板によると25基が見つかり、そのうち5基が復元されています。
案内板には見つかった25基のうち、14基で棺を納めた跡と考えられる四角い穴が見つかった書かれています。棺そのものは土の中で腐って残っていなかったものの、穴の土を細かく観察することで棺があった様子が分かったそう。2200年も前の棺の形が、土の観察から分かるということに驚き。

盛り土も長い年月のあいだに削られて、発掘のときには残っていなかったそう。今見ている盛り土は溝の形などを元に、本来の姿を復元したものなのだと分かりました。
思わず立ち止まって読んだ「墓道」の案内板。大塚のムラと、この墓は約80m離れていて、その間にムラから墓地へ向かう道があったらしいのです。方形周溝墓の列の間にも一定の間隔があり、墓地の中の通路だったと考えられている、と書かれていました。約2200年前の人たちも大切な人を送るために、この道を歩いたのかもしれません。

もう一つの「都筑民家園」で江戸時代にタイムスリップ

遺跡公園のもうひとつの見どころが、都筑民家園です。案内板で、いちばん興味を引かれたのは、解体前の写真でした。
この茅葺きの家はもともと牛久保町(いまの牛久保一丁目)にあって、18世紀の中頃から後半に建てられたらしいのです。港北ニュータウンの開発で部材が横浜市に寄贈され、ここに復元されました。

1971年と1947年の写真には、小高い丘と雑木林に囲まれた、のどかな景色が写っています。いま、すぐそばにマンションが見えるこの場所が、昔は雑木林だったなんて不思議。
庭に入ると茅葺きの大きな屋根の下に、土壁と縁側。飛び石の脇の柿の木には実がびっしりと実っていて、数えようとして途中であきらめてしまうほどの豊作ぶりです。

民家園に江戸時代の暮らしを見る

主屋の中に目を向けると、土間には大きな羽釜をのせたかまどが並び、木の流し台や薪も見えました。
板の間には囲炉裏があり、天井から下がる自在鉤の先には魚の形をした飾りがついています。高い天井に太い梁が組まれ、障子と板戸の向こうには畳の間が続いていました。火を囲んで暮らした家族の姿が、すぐそこに浮かんでくるような空間でした。
民具のコーナーには、「ワラ打ち機」「とうみ」などの札がついた、昔の農具が展示されています。入口の案内板に「民家園建築は文化財です。火気には十分ご注意ください」とあり、中にも禁煙・火気厳禁の表示が出ていました。

掲示板と園児たちの声で実感する2200年

民家園の入口の掲示板には、着付け、茶道、そば打ちなど様々な講座のポスターが並んでいます。「お茶室カフェ」や「竹林茶会」の案内もあり、園内に自動販売機が設置されたというお知らせも。史跡を見るだけでなく、暮らしの場として使われている公園なのだと感じました。
遊具の広場のそばを通りかかると、保育園児たちが散歩に来て遊んでいました。赤い遊具のまわりに広がる、小さな歓声。静かな史跡の公園の空気が、ぱっと明るくなったように感じました。

2200年前のムラにも、きっとこんな子供たちの声が響いていたのだろう。竪穴住居の前を駆けまわる子供の姿を思い浮かべました。弥生のムラ、江戸時代の民家、そして今ここに暮らす子供たちの遊び場。同じ公園の中で時代がゆるやかにつながっていることを、帰り際に実感しました。
大塚・歳勝土遺跡公園
所在地/神奈川県横浜市都筑区大棚西1番
開園時間/9:00〜17:00(大塚遺跡を除く公園部分は24時間)
休園日/月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始(大塚遺跡)
料金/無料
交通・駐車場/公園内に駐車場はなし。博物館の駐車場(30分100円)を利用

横浜市歴史博物館
所在地/神奈川県横浜市都筑区中川中央1-18-1
アクセス/横浜市営地下鉄センター北駅から徒歩5分
開館時間/9:00〜17:00(券売は16:30まで)
休館日/月曜日(祝日の場合は翌平日)・年末年始

都筑民家園
開園時間/9:00〜17:00
休園日/第2・第4月曜日(祝日の場合は翌日)、12月29日〜1月3日
料金/無料


取材・文/SYURI
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