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[九島辰也のFrom EDITOR]髪とiPadと六本木スクエアビル

[九島辰也のFrom EDITOR]髪とiPadと六本木スクエアビル

   

髪が心配だ。このところ、明らかにパワーダウンしている。
洗っているときの感触が柔らかいというか手応えがない。
それにテッペンの勢いも弱りヘナッとなる。そういえば、寝ぐせも前より簡単に直せる。
かつてのようなヘアワックスへの抵抗は…ない。


美容師のコメントもそうだ。
学生時代から二十余年ボクの髪を切ってきた美容師曰く、「髪の毛が細くなりましたね、昔よりだいぶ切りやすくなりました」と。
確かに昔はかなり硬く、よく冗談でハサミの刃がダメになる!なんていわれてた。
その意味では、彼女にとってこの状況はウェルカムらしい。ただ、このままでいいのかが心配。
小学生のときに父を亡くしたわが身にとって、お手本となる将来像がない分どう覚悟したらいいのかわからない。


イラスト


そんな折、親戚の集まりがあった。伯母のお葬式だ。
久しぶりに顔を見た従兄弟たちはみな髪がフサフサしていた。
従兄弟衆の中で下から二番目のボクにとってのある意味将来像である。
しかも、みな黒髪。還暦前後ばかりなのに黒々している。
思わず「染めてる?」と聞きそうになったが、場が場だけにそこはわきまえた。


それはともかく、いきなりハゲることはなさそうなのでひと安心。
ただしXデーがいつ来るかはわからないので心の準備は必要だろう。
それと対策も。マデュロでも男の美容対策をもっと積極的にやらないと。
ある日突然そんなページができたら、Xデーが近いとお察しくだされ。


でもって美容室のハナシ。


先日初めて飛び込みで駅の近くの美容室に入ってみた。
ホットペッパービューティーで調べることなく、目についたので恐る恐るドアを開けた。
小さなアドベンチャーね。


するとそこで雑誌の代わりにiPadを渡された。「そこに入っている雑誌を選んで読んでください」と。
まぁ、イマドキを考えれば何ら不思議はない。
抵抗なく雑誌を選びページを眺める。


でも全然落ち着かない。慣れないこともあってページに集中できない。
しかも、雑誌の表紙がずらっと並ぶからまるでテレビのザッピングのように次から次へ切り替えたくなる。
ちょっと見てハイ次、ちょっと見てハイ次、というように。なんだろうこの感覚。


ということでiPadで雑誌を読むことを諦め、美容師さんとお話しすることにした。
するとすぐに出身が福岡だということで食の話となった。といっても水炊きと一風堂くらい。
でも実は食べ物の話をしながら別のことを考えていた。それは学生時代の思い出だ。


何を思い出したかというと、昔六本木のスクエアビルにあった玉椿(ツバキ・ボール)というディスコ。
新宿・ツバキハウスの姉妹店だ。その月曜日の夜が〝熱かった〞。
というのも火曜日定休の美容師たちが全力で遊んでいたからだ。
閉店後自分たちで髪型を作品化して訪れていた。
「当時の美容師はめちゃくちゃ格好よかったな~」、と心で呟く。
あれから三十余年。そりゃ髪も不安になるってもんだーねー!

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