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お茶屋の娘が教える!300年以上続く超老舗からミシュラン星獲得の新鋭まで京都人の京和食の使い方

お茶屋の娘が教える!300年以上続く超老舗からミシュラン星獲得の新鋭まで京都人の京和食の使い方

今回で3回目。生粋の京都人が京都の食文化をご案内する連載。これまでは、京都らしからぬ京のお肉文化やパン文化事情など、一般的な京都案内では「ん?」と思うようなローカルなテーマでしたが、今回はいよいよ京都の王道、京和食をご案内。日本を代表する料亭が京都に集まっているだけあり、老舗だらけです。そんな料亭の老舗事情から、そこから派生した新鋭、新和食まで、京都人が地元的な京和食の使い方をご案内。

これまで、肉料理やパンなど京都以外の肩から見ると、本当にこれ京都なの!?というお店を取り上げてきました。そこでで、今回はいよいよ京都人御用達の、京ならではの和食の使い方をご案内していきます。私の実家のお茶屋では、法事といえば、たん熊(※1)の松花堂弁当が定番でした。あとお弁当で言えば吉兆(※2)も有名ですね。それと1837年創業の歴史ある瓢亭(※3)もおすすめ。瓢亭はコロナ禍でも、テイクアウトのお弁当だけ出なく、3密を避けた個室だけを開けて営業していたのが印象的でしたね。私たち京都人からすると瓢亭さんといえば、朝粥。あと茶懐石のお席でも、瓢亭が定番でした。


お茶屋の娘が教える!


それと京懐石といえば、忘れてはいけないのが菊乃井(※4)。あとは和久傳(※5)。高台寺の和久傳はいつ行っても、味もサービスもホスピタリティも変わらない良さがあります。1人4万円くらいしますが、設えも料理もサービスもトータル的に本当に素晴らしいんです。
前述した瓢亭と同じように、江戸時代の古くから存在するのが、ちもと(※6)。1718年から続く超老舗で、創業300年! 我が家では舞妓さんが襟替えしたり、宴会などハレの食事は、必ずちもとでした。ちなみに先代の女将さんは、ジブリの映画「千と千尋の神隠し」の湯婆婆のモデルになった方。本当にそっくりなんです!  老舗にはこういった名物女将さんが必ずいらっしゃいます。
これまでに挙げた料亭は歴史が古いものばかりですが、一方で草喰なかひがし(※7)飯田(※8)にしぶち飯店(※9)啐啄つか本(※10)など、老舗で修業された料理人がオープンした新鋭店も大人気です。老舗の京料理の基礎をしっかり身に付けた上で、そこに亭主の個性を発揮した新鋭メニューで提供しており、ほとんどが予約が取れない店として有名です。そんな京都の新鋭京和食の中でメディアにも取り上げられて大成功している代表格といえば、祇園ささ木(※11)が挙げられます。修業先できちんと基礎を学んでいて、セルフプロデュースも上手いんです。


お茶屋の娘が教える!


京都の今おすすめの京和食店って、ミシュランの星が付いていて、予約できるのが2〜3年先という状況。その人気のゆえに、どこも値段が上がっています。私が小学生の頃にオープンした旬席鈴江(※12)は、当時1人2〜3万円だったのですが、今は8万円くらいするそうです。人気が出るのは嬉しいのですが、京都に住んでいる者としては、やっぱり気兼ねなく行けるお店であってほしいですね。


たん熊(※1)
昭和3年京都で創業。四季の風趣を凝らし、真心の伝統を受け継いだ京料理として親しまれている。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260201/26001494/


吉兆(※2)
「食の基本と最高の料理は、家庭にある」と残した創業者の想いを引き継いだ料理で、もてなしてくれる。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260403/26001312/


瓢亭(※3)
京都の中でも老舗中の老舗。名物の瓢亭玉子をはじめ、懐石料理や朝粥、お弁当なども人気。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260301/26001012/


菊乃井(※4)
大正元年(1912年)創業。「きれい寂び」を心情にした料理は、京都人なら誰しもが一度は味わったことがあるもの。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260301/26001346/


和久傳(※5)
東京ではお菓子も有名。旬のお料理や、京都の四季を届けるだけでなく、京の料亭の味を楽しみたいなら、こちらに。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260101/26000863/


ちもと(※6)
古くからの店が多い京都の中でも、300年以上続く老舗中の老舗。泉鏡花「祇園物語」の舞台でもある。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260201/26000760/


草喰なかひがし(※7)
店主の中東久雄氏が自ら摘んできた山菜などの料理が自慢。京都で予約がとれないお店としても有名。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260302/26001800/


飯田(※8)
茶懐石を基とした和食店。ご主人の飯田真一氏は金沢と京都で研鑽を積む。魯山人や永樂などの器も見事。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260202/26016833/


にしぶち飯店(※9)
祇園ささ木で修業した西淵健太郎氏の中華と和が融合した料理を提供。週末の予約は困難になりつつある。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260301/26022200/


啐啄つか本(※10)
懐石料理の人気店。一見さんはなかなか予約が取れないので、知り合いがいたら、頼んでみましょう。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260301/26013373/


祇園ささ木(※11)
とにかく予約が取れないお店として有名。老舗の基礎と自由な発想の新世代の京料理がいただける。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260301/26001863/


旬席 鈴江(※12)
一軒家の人気店。極上の素材と丁寧な仕事の和食に加え、明代や乾山の器なども素晴らしい。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260301/26014309/


案内人
お茶屋生まれの実業家
栄藤仁美さん


京都


京都府出身。事業家。お茶屋の娘として生まれ、幼少時より企業の社長、歌舞伎役者、芸能人などセレブリティとの交流を持つ。花街はもちろん、B級から一見さんお断りの一流店までグルメに詳しい。

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