OUTDOOR
2025.12.28
【箱根駅伝】明日発表! 記録を狙う今大会の区間エントリーと見どころ
第102回 箱根駅伝の区間エントリーが、いよいよ2025年12月29日に行われます。当日変更のルールもありながら、どの区間にどんな選手が来るのか? 例年以上に記録への意識が感じられる今大会では、2区、5区、9区という3つの区間に注目してみたいところです。
記録を狙う大会で、勝負はどこから始まるのか
第102回 東京箱根間往復大学駅伝競走、通称:箱根駅伝。今年は例年以上に「記録」が強く意識される大会になりそうです。
青山学院大の3連覇か? 駒澤大の王座奪還は? 國學院大學の初優勝にも期待! など、優勝シナリオが複数成立する混戦が予想されています。その背景には、多くの大学が記録を意識した戦い方をしているのではないかという見方があります。
戦力分析や優勝予想はすでに出そろう中で、一歩踏み込み実際にレースが動き出す瞬間に注目しながら、今回の箱根駅伝を楽しく観るための、3つの視点を整理しましょう。
青山学院大の3連覇か? 駒澤大の王座奪還は? 國學院大學の初優勝にも期待! など、優勝シナリオが複数成立する混戦が予想されています。その背景には、多くの大学が記録を意識した戦い方をしているのではないかという見方があります。
戦力分析や優勝予想はすでに出そろう中で、一歩踏み込み実際にレースが動き出す瞬間に注目しながら、今回の箱根駅伝を楽しく観るための、3つの視点を整理しましょう。
見どころ① 2区は「記録に挑む覚悟」が流れを変える
今年の箱根駅伝、最初にレースの空気が変わる可能性があるのが2区です。例年「花の2区」と呼ばれてきたこの区間は、今大会では華やかさよりも、記録を狙いにいく覚悟が色濃く漂っています。
その中心にいるのが、青山学院大学の主将・黒田朝日選手。これまで2区では、「その時の自分の100%を出す」と、あえて記録への言及を避けてきました。しかし、箱根ラストランとなる今大会では、「区間新を狙っていきたい」という宣言でスタンスは明確に変わりました。
2区後半に待つ登り坂は、脚力が削られるだけでなく、リズムを崩しやすい難所。黒田朝日選手は、学内の坂道タイムトライアルで6連覇を達成していて、登りでペースを落とさずに押し切れる再現性を持っています。「当分破られないタイムを出したい」という言葉からは、単なる意気込みではなく、条件が揃えば記録に挑む意思がはっきりと感じ取れます。
2区後半に待つ登り坂は、脚力が削られるだけでなく、リズムを崩しやすい難所。黒田朝日選手は、学内の坂道タイムトライアルで6連覇を達成していて、登りでペースを落とさずに押し切れる再現性を持っています。「当分破られないタイムを出したい」という言葉からは、単なる意気込みではなく、条件が揃えば記録に挑む意思がはっきりと感じ取れます。
一方、2区を勝負区間と捉えているのは青学大だけではありません。駒澤大学も、主力選手が2区を希望していることを公にしています。中でも、前回大会で区間新記録をマークした佐藤圭汰選手は、「自分が走ってチームに流れを作りたい」と語り、他校エースとの真っ向勝負を望んでいます。
本稿時点では誰がどの区間を走るかは正式には発表されていません。区間エントリー(正選手10名・補欠6名)の発表は12月29日。それまでは、あくまで希望と戦略の段階です。
もし、青学大と駒澤大のエース級が2区でぶつかる展開になれば、その結果は順位以上に、「どのチームが攻め切る大会なのか」を示すシグナルになるでしょう。第102回箱根駅伝の2区は、記録への挑戦が、そのまま大会全体の流れを決める…そんな静かな分岐点として、注目しておきたい区間です。
本稿時点では誰がどの区間を走るかは正式には発表されていません。区間エントリー(正選手10名・補欠6名)の発表は12月29日。それまでは、あくまで希望と戦略の段階です。
もし、青学大と駒澤大のエース級が2区でぶつかる展開になれば、その結果は順位以上に、「どのチームが攻め切る大会なのか」を示すシグナルになるでしょう。第102回箱根駅伝の2区は、記録への挑戦が、そのまま大会全体の流れを決める…そんな静かな分岐点として、注目しておきたい区間です。
見どころ② 5区は脚力よりも「読み切る力」が試される
箱根駅伝の5区は、小田原中継所から芦ノ湖まで20.8kmを駆け上がる山登り。単なる「山の強さ」を競う区間ではなく、今大会でより重要になる「コースをどこまで理解し、想定どおりに走り切れるか」という読みの精度です。
その象徴的存在が、早稲田大学の工藤慎作選手。2年連続で山上りを任された「山の名探偵」の異名で知られる存在です。勾配の変化や風の抜け方、脚力が削られるポイントまで頭に入れ、走りながら微調整を重ねるスタイルは、感覚頼りとは違った強さがあります。
その象徴的存在が、早稲田大学の工藤慎作選手。2年連続で山上りを任された「山の名探偵」の異名で知られる存在です。勾配の変化や風の抜け方、脚力が削られるポイントまで頭に入れ、走りながら微調整を重ねるスタイルは、感覚頼りとは違った強さがあります。
その愛称の由来も印象的。人気漫画「名探偵コナン」の主人公・工藤新一と名前が似ていることに加え、レース中にメガネをかけた姿が重なることから、自然と「名探偵」の呼び名が定着しました。コースの起伏や難所を暗記し、一つずつ謎を解くように進んでいく走りは、そのニックネームにふさわしいものです。
工藤慎作選手の実績も十分で、1年時は区間6位、2年時は区間2位と、経験を重ねるごとに順位を上げてきました。さらに今季は全日本大学駅伝8区で、日本人区間最高タイムを30年ぶりに更新。平地でも結果を出したうえで、なお5区を希望している点が、この区間の性質を物語っています。
工藤慎作選手が山にこだわる理由は、将来のマラソン挑戦を見据えてのもの。箱根の5区を単なる区間勝負ではなく、次のステージへ進むための実戦の場として位置づけています。
工藤慎作選手が山にこだわる理由は、将来のマラソン挑戦を見据えてのもの。箱根の5区を単なる区間勝負ではなく、次のステージへ進むための実戦の場として位置づけています。
記録を狙うチームが多い今大会では、5区でのわずかな判断ミスが、大きな失速につながる可能性もあります。だからこそ、第102回の5区山上りは、速さよりも準備と理解力がものを言う。脚力ではなく「読み切れているか」が静かに差を生むポイントとして注目しておきたいところです。
見どころ③ 9区は最終エースではない、1秒の重みが大逆転を生む
箱根駅伝で、最も多くのドラマが生まれてきた区間のひとつが、戸塚中継所から鶴見中継所を走る松の9区、優勝争い、シード権争いの行方が一気に動き、鶴見中継所では幾度となく大逆転の瞬間が生まれてきました。
この9区は復路最長の23.1km。距離の長さに加え、横浜から都市部へと入っていくコース特性もあり、沿道の声援や周囲の動きに引きずられやすい区間です。ここでは、どこまで自分の走りを保てるかという配分力が見どころ。
この9区は復路最長の23.1km。距離の長さに加え、横浜から都市部へと入っていくコース特性もあり、沿道の声援や周囲の動きに引きずられやすい区間です。ここでは、どこまで自分の走りを保てるかという配分力が見どころ。
この区間の本質を、最も象徴的に示しているのが順天堂大学の近年の戦いです。2024年度の箱根駅伝予選会では、11位とわずか1秒差の10位で本戦出場。そして本戦では、シード圏内の10位に7秒届かず11位。順天堂大にとって、2024年度はまさに「1秒の重み」を痛感する1年となりました。
その悔しさを体現したのが、9区を走った石岡大侑選手。何度も苦しい場面を迎えながら、それでも前との差を詰め、粘り続けた走りは、順位以上の価値を持っていました。長門俊介監督が「本当はやれる男だと確信した」と語るように、9区は選手の本質が最も露わになる区間でもあります。
その悔しさを体現したのが、9区を走った石岡大侑選手。何度も苦しい場面を迎えながら、それでも前との差を詰め、粘り続けた走りは、順位以上の価値を持っていました。長門俊介監督が「本当はやれる男だと確信した」と語るように、9区は選手の本質が最も露わになる区間でもあります。
今大会も、戦力は拮抗しています。多くのチームが9区に入る時点で、致命的な差はつかない可能性が高い。そのとき、9区は「勝負を決めにいく区間」ではなく、勝負を壊さないための区間になります。
シード圏内を争うチームにとっては、繰り上げスタート(トップから20分以上遅れた場合)を避けることが最優先。優勝を狙うチームにとっても、ここで確実にタイムを稼ぎたいところ。攻めの判断を秒単位で積み重ねていく区間です。
シード圏内を争うチームにとっては、繰り上げスタート(トップから20分以上遅れた場合)を避けることが最優先。優勝を狙うチームにとっても、ここで確実にタイムを稼ぎたいところ。攻めの判断を秒単位で積み重ねていく区間です。
登録メンバーを見ると、青山学院大、駒澤大、國學院大、中大といった優勝候補校はいずれも万全の布陣を整えています。しかし、9区に必要なのは「チームの顔」や「最終エース」であることではありません。求められるのは、状況を読み、1秒を失わない走りができる選手です。
青山学院大の原晋監督が語るように、「4強に大きな力の差はない」今大会。だからこそ、第102回箱根駅伝の勝敗は、派手な区間ではなく、静かに耐え切った9区で決まる可能性があります。1秒を笑い、7秒に泣く。その現実を知るチームがいるからこそ、9区は今年もまた、大逆転の舞台になり得るのです。
青山学院大の原晋監督が語るように、「4強に大きな力の差はない」今大会。だからこそ、第102回箱根駅伝の勝敗は、派手な区間ではなく、静かに耐え切った9区で決まる可能性があります。1秒を笑い、7秒に泣く。その現実を知るチームがいるからこそ、9区は今年もまた、大逆転の舞台になり得るのです。
記録を狙う年の箱根は「静かな判断」が全てを決める
速さを競う箱根駅伝ですが、単に速い選手が勝つ大会ではありません。各校が「記録を狙う年」と位置づけるからこそ、レースは序盤から速く、同時に一つひとつの判断がより重くのしかかる大会になります。2区では記録に挑む覚悟が流れを作り、5区では準備と理解力が流れを繋ぎ、9区で耐え切る配分力が最終結果を左右する。
派手な逆転や劇的なアンカーだけではなく、攻めるか、抑えるか、1秒を取りにいくか。その静かな選択の積み重ねが、第102回箱根駅伝の見どころと言えるでしょう。区間エントリーの正式発表は12月29日。誰がどこを走るのかが明らかになったとき、この3つの視点で観戦すれば、箱根路はこれまで以上に立体的に見えてくるはずです。
第102回 箱根駅伝は、そんな大人の目線で味わいたい一戦になりそうです。
取材・文/SYURI
第102回 箱根駅伝は、そんな大人の目線で味わいたい一戦になりそうです。
取材・文/SYURI





















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