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異業種と大胆コラボも!? 地元名物でチャレンジ成功/経営者のONとOFF第7回 江俣正美さん

異業種と大胆コラボも!? 地元名物でチャレンジ成功/経営者のONとOFF第7回 江俣正美さん

格好いい経営者にはON(表)とOFF(裏)がある。今回は、栃木県宇都宮市で地域の総合食材ベンダー、大和フーズの取締役社長、江俣正美さんにお話を伺いました。地元企業の舵取りを受け継ぎ、新しい事業にも果敢にチャレンジする江俣社長、そのオンとオフの姿とは?
大和フーズ株式会社 取締役社長
江俣正美さん
1959年栃木県出身。栃木県のフォークリフトを運用する会社に8年勤め、その後、東京都の物流システム機器を販売する会社に移籍し社長に就任。2010年には大阪府の介護用品を取り扱う会社の取締役に就任し、物流のプロフェッショナルとして活躍してきた。2020年に大和フーズの取締役に就任した。

ON STYLE

「お客様の“顔”を見なければ成り立ちません」

苦境の食品卸にやってきた江俣さん

大和フーズは、まだ冷凍車も少なかった1973年、冷凍食品の可能性にいち早く目をつけて食品の卸売業を始めた。これまでは地域の飲食店やスーパーマーケットなどの小売店を取引先に、地域密着型の商いを続け順調に成長し続け、現在は総合食材ベンダーとして時代に合わせた幅広い商品アイテムを取り揃えている。

もともと食品卸売業界は、近年の業界再編、M&A、価格競争の激化により、小売店がメーカーと直接取り引きするケースが増えてきてきたことで苦境にあった。

「地域の食品卸売が生き残るためには、NB(ナショナルブランド)品の取り扱いだけでなく、自らPB(プライベートブランド)品を作って自社サイトで販売し、消費者とダイレクトに繋がる仕組みづくりが必要です」。

そう力強くそう話す江俣さん。実は前職まで物流が専門分野だった。縁あって地元企業の大和フーズ社長に就任したのは2020年の夏のこと。そして今年(2021年)年初には、さっそくプライベートブランドの開発に取り掛かっている。デジタルに精通する若くて優秀な人材も招き入れながら、自社のWebサイトを立ち上げるなど、時代に合った新事業に力を入れはじめた。

物流のプロが、地元の名物を売り出した

栃木県宇都宮市出身の江俣さんは、自社の強みとなるプライベートブランドを作るにあたり餃子を選んだ。宇都宮は言わずと知れた餃子の街。冷凍の技術が向上し、手作りよりも美味しいチルド品を製造できるようになった今、本場の味を再現して全国にインターネット販売していくことを決めたのだ。

「大和フーズの冷凍餃子のこだわりは国産の食材を使っていることです。同じ食材でも生産元によって味はまったく変わりますから。例えばニンニクひとつとっても、中国産のニンニクは値段が安い代わりに辛味が強いですね。自社製品に使っている青森県産のニンニクは、中国産と比べると5倍の価格ですが、味がまろやかで旨味があるのが特徴です」。

肉も野菜も、美味しさにこだわればコストがかさむ。さらに、消費者に直接配送されるチルド品は、流通に冷凍車で配送するクール便を使うので、どうしても価格が上乗せになる。しかし江俣さんは「企業努力によって本当に美味しいものを、いかに安く提供できるかがポイント」という信念を持って開発に取り組んできた。
商品名/うまい大和餃子 22g×24個入り
価格/1296円
「目標は宇都宮で餃子のナンバーワンになること」。

そう決めて試行錯誤しながら納得のいく宇都宮の餃子を完成させ、4月から自社Web通販サイト「ギョームー」で販売をスタート。立ち上げたばかりの新事業、当初はもちろん認知度が低かった。物流のプロである江俣さんも、

「何しろ宣伝については素人です。世間に広くアピールするには、どうすればいいか模索していました」と話す。

東スポからのオファーで思わぬ展開に!?

そんな時、渡りに船とばかりに思わぬ幸運に恵まれる。

全国的な知名度がある東京スポーツ新聞社(通称:東スポ)から、「東スポがプロデュースする国産食材を使った美味しい餃子を作って欲しい」と声をかけられたのだ。

「最初は正直、『新聞社が餃子?』って驚きましたよ。だって、全国的な新聞社が地域の食材ベンダーと組むなんて、前代未聞でしょう?」

周囲からは戸惑いの声もあったという。これまでの前例や慣習こだわる人もいた。それでも、全国的な新聞社と組めば絶大な宣伝効果が期待できる。東スポ側の担当者の熱意もあり、江俣さんは引き受けることにした。
「私たちのような企業は、まずお客様の御用聞きをすることが伝統です。お客様の“顔”、つまりニーズを見なければ成り立ちません」。

こうして完成したばかりの自社製品をベースに、東スポの要望に答えるべく、さらに試行錯誤して誕生したのが「東スポ餃子」だ。東スポ餃子は青森県産のニンニクを、それまでの自社餃子のさらに3倍も使用している。

そして東スポ餃子は、今年の9月から、Web通販サイト「ギョームー」のほか、関東圏を中心にドン・キホーテなどの業務用食品コーナー、さらに居酒屋のメニューとしても広く流通されることになった。

現在は東スポの強力なバックアップもあって認知度が上がり、全国から注文が入るようになったという。

前途多難に思われた新事業は大きなチャンスを呼び込んだ。今後はニーズに応えるため、工場を拡大し生産体制を整えることも視野に入れているという。
東スポの本気に応えるべく、国産素材にこだわった「東スポ餃子」が生まれた。
商品名/東スポ餃子 青森県産ニンニクマシマシ餃子 22g×50個入り
価格/2484円

OFF STYLE

愛するものに囲まれながら、休日はリラックス

奥様と一緒にゴルフをするのが楽しみ

学生時代はどんなことに熱中していたのか尋ねると、「野球です」という答えが返ってきた。

「中学生の頃、野球部でレフトをしていました。練習はサボらず一生懸命打ち込んでいたんですけどね、試合では1回も勝ったことがないんです(笑)。今では笑い話。同窓会で当時のチームの仲間たちと会うと思い出話に花が咲きます」。

しかし、現在江俣さんのオフの楽しみは、もっぱらゴルフ。奥様と一緒にコースを回ることもあるそうだ。

愛犬と過ごす時間も大切なリラックス法


「それ以外のオフの癒しといえば……家に帰ってもテレビは見ないし、とにかく愛犬がかわいいです。雑種のメスで今年7歳になります。子ども達が巣立って今は夫婦二人。休日は妻と愛犬と、リラックスして過ごしています」。

スマホを取り出し、愛犬ポロンちゃんの画像を見せてくれた。
笑顔で話す江俣さん、仕事とはまた違う笑顔を見せてくれた。

「犬はものを言わないけど、愛情が伝わってきますね。散歩はもっぱら家内の担当ですが一緒に寝るのは私です(笑)正直、デレデレですね」。
●大和フーズ株式会社
栃木県宇都宮市屋板町656-2
028-656-4082
まるやゆういち/撮影、山本櫻子/取材・文
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